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知らなければいけない!『 労働保険 』と『社会保険』

労働保険と社会保険の加入について

開業すると加入するべき保険の種類が増えます

保険というと、個人で加入する場合は「生命保険」や「損害保険」等がありますが、サロンのオーナー、つまり、事業主になると、加入すべき保険に「労働保険」と「社会保険」の二つが加わります。
社会保険とは「健康保険」と「厚生年金保険」、そして労働保険は「労災保険」と「雇用保険」で構成されています。

まずは労災保険の説明です。

労災保険とは?
従業員の通勤途中の怪我や、仕事中の怪我や病気への補償する保険を指します。この保険を使うと、従業員は治療費の自己負担が一切なく、完治までの補償を受けることができます。また、万が一、治った後に障害が残ってしまった場合には、別途、障害年金が支給されます。さらには、従業員だけではなく、サロンオーナーも、特別加入という手続きをおこなえば、保険に加入することが出来ます。

保険料の負担
全額事業主の負担になります。平成24年度の事業主負担率は、美容サロンの場合、従業員の総賃金額の0.3%でした。例えば、月額給与が20万円で保険料は600円/人となります。

未加入のリスク
美容室はハサミを使う仕事であり、他業種と比べると業務上負傷する可能性が高いし、また通勤に自転車や車を使用するスタッフも多いため、通勤途中で怪我する場合もあります。この場合に、加入していれば保険給付がありますが、加入していない場合、事業主が治療費を全額払わなければなりません。これは、金銭的にも大きな負担になるものと思います。

次は雇用保険の説明です。

雇用保険とは?
主に従業員が失業した場合の生活補償のため、失業後の一定期間、失業手当として給付をうけられるものです。あまり知られていませんが、実は他にも育児休業給付や介護休業給付、従業員の教育訓練給付などの給付もあり、この保険は、事業主というより、従業員からみるとメリットの大きい保険になるわけです。

保険料の負担
基本は経営者と従業員が半分ずつの負担。ただ事業主にはプラスアルファーの負担金があるので、平成24年度の美容サロンについては、総賃金の0.5%分が従業員負担、0.85%分が事業主負担となっています。
例えば、20万円の給与だと従業員負担が1,000円/月、事業主負担分が1,700円/月となります。

さて次に、事業主の保険加入の義務について説明します。
ます、労災保険は従業員を一人でも雇った時点で、法律的には事業主の加入義務が発生します。また雇用保険については、労働時間が週20時間以上で、1か月以上の雇用期間がある従業員を雇えば、雇用保険の加入義務が発生します。これは正社員、パートさんともに同じ条件です。ですからパートさんと契約する際には、保険加入の手続きも伴うことがありますので、注意が必要です。

ではそれに反して、未加入の場合に、どんなリスクがあるのでしょう。

●労働保険の未加入でペナルティーが発生。
●従業員に未加入を指摘され、遡及して加入を求められる。
●労災事故が発生し、多額の治療費が発生する場合がある。

等々、経営に関するリスクは枚挙にいとまがない、ほどたくさんあります。

労働保険は、保険料負担もそれほど大きくなく、また何より加入することで従業員が安心して働けることを考えれば、ますは、パートも含めて、労働保険加入手続きを行うことが重要です。

次は社会保険について説明します。

社会保険は、大きく「健康保険」「厚生年金保険」に分けることが出来ます。
こちらは労働保険に比べて馴染みが深いと思いますが、念のため、その内容を簡単にみておきます。
健康保険は「業務外」の負傷や死亡に対して補償を行う制度です。大まかに区別すると「業務中」が労災保険で、「業務外」が健康保険という事になります。また健康保険からは、出産時に一時金が支給されたり、産前産後休業中に出産手当金が給付されます。
一方、「厚生年金保険」とは、国民年金の支給額に加えて、さらに上乗せして年金を給付する制度です。
これらは毎月の給与や賞与から一定の保険料を納めていく形となります。

さて次に、事業主の保険加入の義務について説明します。
社会保険の加入については、個人経営であれば実は義務ではありません。美容室は、社会保険の適用における法定業種に指定されておりません。ただ、義務ではないというだけで、労働者を雇っていれば任意で加入することは問題ありません。また、法人の場合は、法的に加入義務を課せられます。加入していない場合、最大で2年間、遡って適用される場合もあるので注意が必要です。

それでは、社会保険の費用負担についてです。費用負担の割合は、事業主と労働者で半分ずつ負担するのが原則です。この点は、事業主からすれば最も気になるところだと思いますので、下記に月間の給与と、それ対する健康保険料と厚生年金保険料の事業主負担額の一例を記します。

社会保険料率は毎年上昇しておりますが、概ね、人件費の15%程度の事業主負担というのが現状ではないでしょうか。

仮に、事業主が社会保険に加入していない場合に、労働者は個人として健康保険では「国民健康保険」、年金では「国民年金」に加入しなければなりません。では、その違いは具体的にはどんなところにあるでしょうか。
まず、社会保険の健康保険と国民健康保険との主な違いを説明します。

違いその①
国民健康保険の場合は、「出産手当金」が支給されない。
これは、産前産後の休業時は働いていない為、会社から給料はもらえませんが、社会保険(健康保険)に加入していれば、保険から給与の3分の2が支給されるため、生活費の心配をしなくて済みます。これは女性スタッフにとって大きな違いとなります。

違いその②
国民健康保険の場合は、「傷病手当金」が支給されない。
傷病手当金とは、業務外の傷病などで働けなくなった場合は、健康保険からは最大で1年6か月間、給与の3分の2が保険から支給されます。そのため治療に専念できるというメリットもあります。

次に社会保険の厚生年金と国民年金の主な違いを説明します。

違いその④ 
国民年金は全額自己負担だが、厚生年金は事業主と労働者が半分ずつの負担
これは、社員にとってみれば、厚生年金の方が負担が少なくてすむため、大きな違いとなります。
また収入多くなると厚生年金の負担の方が大きくなりますが、その分は将来年金になって帰ってきます。

違いその⑤ 
国民年金は配偶者の分も全額負担となる。
厚生年金の場合には、配偶者の年収が130万円未満であれば被扶養者となり、保険料負担はいらないのですが、国民年金の場合は、配偶者は被扶養者ではなく、被保険者となるので保険料は全額自己負担となります。つまり、配偶者の年収が130万未満であれば、厚生年金の方が保険料負担の面では断然有利となるのです。

以上、社会保険に加入した場合と未加入の場合で、従業員にとっての、その違いを見てきました。

そしてその違いが最も顕著に表れるのが「採用」の場面ではないでしょうか。最近では特にこの違いが人材確保するための、非常に重要なファクターになってきているものと思います。

新卒者であれば、両親が社会保険に加入しているサロンかどうかを確認するでしょう。中途採用であれば、家族がいる場合には社会保険に加入しているサロンの方が安心して働けることになるでしょう。
また厚生年金の保険料が労使折半であることを知っている方であれば、老後のことを危惧して、社会保険が完備している所へ転職を考えることもあるでしょう。いずれにしても、サロンの数は増え続けている為、社会保険に加入していないサロンには優秀な人材が集まらない、またはスタッフそのものが集まらないことは、これからは十分に考えられます。従って、今後益々、厳しくなる競争に勝つためにも、まずは優秀なスタッフを確保するためにも、スタッフに安心して働ける環境を作り上げること必須となってくるでしょう。

ただ、そうは言っても、保険料の支払いで毎月の出費が増えることになりますので、事業主としては慎重にならざるおえないというのが本音だと思います。保険加入に際しては、まず保険加入に向けての第一歩を踏み出すことが重要です。例えば、社会保険料の試算をしたり、その他財務面での無駄をなくすべく調査をしたり、また必要な部分は専門家に相談したりして、具体的な検討をしていき、計画的な加入をご検討されることをお勧めいたします。

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