第5回最低限抑えておくべき労働基準法
第5回目は「最低限抑えておくべき労働基準法」と題し、
経営者であるサロンオーナーがお店の運営にあたり最低限知っておくべ労働基準法について解説致します。
今回は、法律の話が中心になるので、すこし堅苦しくなりますが出来るだけ皆さんの身近な話題を取り上げながら説明したいと思います。
まずは、経営者自身が「労働時間」に関する認識を持つことが大切です。どこからどこまでが時間内労働で、どの時間が時間外労働時間(いわゆる残業)であるかを把握する必要があります。具体的にいうと「営業時間」と「労働時間」をしっかり分けて労務管理を行う必要があります。営業開始時間から閉店時間までが「労働時間」ではないということですね。
現状では、労働時間に誤った認識を持っていたり、思い込みがあったりなど労使トラブルがいつ発生してもおかしくないような労働時間管理が行われているサロンがまだ、多いのではないでしょうか。
それでは、誤った認識や思い込みの事例を少しあげてみたいと思います。
例1)朝礼時間は業務ではないので、労働時間ではない。業務とは営業時間以降で接客等を行っている時間である。
⇒朝礼を強制参加にしているにも関わらず、労働時間としていないケース。例えば、朝礼に遅れた場合には、遅刻として賃金控除しているにも関わらず、労働時間にカウントしていないなど。朝礼も、強制参加であるならば、法律上は明らかに労働時間となります。
例2)割増賃金(残業割増等)の単価を独自の基準で決めている。
⇒例えば、残業時間は1時間につき1000円などと、決めている場合です。残業代の割増賃金は労働基準法で決められており、従業員が納得していても、お店独自で割増率を決めることは出来ません。
例3)勤務シフトによって、休憩時間が取れる時間が人によって異なる。
⇒法律では、休憩時間は、労働時間の長さに応じて、次のように定められています。
・労働時間が6時間の場合には、与える必要はない。
・6時間を超え、8時間未満の場合には45分
・8時間を超える場合には1時間
当然ながら、従業員が一斉に休憩することは出来ませんので、交代で休憩をとる事になります。細切れ時間(例えば20分づつ)でも法律上問題はないので、一日トータルで、上記の休憩時間を従業員全員にとらせなければなりません。
例4)「社員旅行の積立金」や「研修費用自己負担金」などを毎月給与から控除している。
⇒給与計算を正しく行い、月に一度は「きちんと」払う事は当然必要になりますが、その「きちんと」の意味の問題です。法律では、税金、雇用保険料、社会保険料以外で給与控除する場合は、手続き(労使協定)が必要としており、また、社内預金として会社が社員の給料の一部を預かってはいけないというものもあります。
皆さんのお店の状況はいかがですか?美容サロンによくある「認識違い」」や「思い込み」はまだまだあるものと思います。ただ、経営者は、そのような内容は「知らなかった」ということは言えないのが、この労働基準法です。つまり全ての経営者はこの法律を守ることが義務付けられているのです。
このように、労働基準法とは、そもそも従業員の働く環境を守るという趣旨で作られている法律です。
そこで、経営者として必要な視点は、働く上での「社内ルールブック」(就業規則)を決めておくことだと思います。もちろん法律を守った上でのルールですが、実際の職場では、法律では割り切れないことも多く発生します。そんな時の「職場での運用上のルール」があれば、それを従業員に事前に説明することも出来ますし、何より、万が一、労務トラブルが発生した場合でもそれが、経営者を守ってくれることになるのです。
今回のポイント
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