「また来たい」と思わせよう!顧客満足度から考えるリピート対策
「販促ツールに頼らない!サロン集客の質を左右する考え方とリピート施策」という記事で、サロンの安定を支えるのはリピート売上だとお伝えしました。
リピーターが増えると、売上の予測を立てることができます。リピーターが口コミや紹介を広げることでファンも増えていきます。
新規客を増やすのも、最終的にはリピーターを獲得するためです。
新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの美容室がますます「リピート」獲得に重きをおいた施策を出しているように思います。
お客さまが「このサロンいいね」「また来たい」と思ってもらえるようなサービス内容、つまり顧客満足度を上げることがサロンの課題になります。
今回は、この顧客満足度を少し掘り下げて、リピート対策について考えてみたいと思います。
目次
顧客満足度は技術と接客だけじゃない
これから開業を目指す人は、おそらく今のサロンでも多くの指名客を抱えていると思います。
お客さまがスタイリストにつくのは、当然、お客さまが「このスタイリストにカットしてほしい」と思うからです。
スタイリストの立場からすると、「お客さまが満足するだけの技術を身につけること」「お客さまとのコミュニケーション力や提案力を磨くこと」が顧客満足度につながると知っています。
しかし、オーナーという目線で顧客満足度を語るときは、技術や接客だけでは不十分です。スタイリストだけでなくサロン全体の満足度も求められるからです。
それを怠ると、いくら技術や接客が高いレベルであってもリピート率が落ちてしまいます。
顧客接点はどこにあるか
サロンの満足度を上げるためには、お客さまとサロンの接点をすべて把握する必要があります。
お客さまがサロンを探して、予約して、来店して施術を受ける、という一連の流れの中にいくつかのポイントが存在します。
認知
お客さまがサロンを見つけた時、ホームページやチラシなどにお客さまが欲しい情報が提示されているかを確認しましょう。
基本情報だけでなく、「地図や道順」「メニューの目安時間」「新型コロナウイルス感染症対策」といったお客さまが来店するのに判断できる材料を盛り込んでおくべきです。
予約
お客さまとサロンのファーストコンタクトです。お客さまは「自分の行きたい時間に行けるかどうか」が知りたいのです。ネットでは席を開放して24時間予約の取れる状況にしておくべきです。
また電話での予約の場合「何度かけてもつながらない」「予約の調整に時間がかかる」などお客さまのストレスにならないよう気をつけなければいけません。
予約経路が複数ある場合には、バッティングにも注意が必要です。
来店
期待に胸をふくらませてお店に来たのに「誰も挨拶をしてくれない」美容室はどうでしょう。
ポータルサイトなどの悪い口コミを読んでみると、施術内容よりも、こうした来店時の対応で顧客満足度を落としているケースがよくあります。
来店時のサロンの印象は「挨拶」だけでなく、「店内が清潔である」「スタッフ全員がマスクをしている」「すぐに席に案内される」など、様々な要素があります。チェックリストなどにしてサロンの第一印象を良くする対策を練りましょう。
待合
来店してすぐに席に案内できるのが理想ですが、万が一待たせる必要がある場合にはそれ相応の対応が求められます。
お客さまを待たせる場合の「声掛け」「待合での雑誌」「他のお客さまとの距離」など想定しておくべきでしょう。
施術
開業される方は、美容のプロとして「技術」「接客」を磨いてきているのであえてここは書きません。
会計
お客さまがサービスの対価を支払うシーンです。当然ですが、メニュー金額の間違えや、お釣りの間違えなどのミスはなくさなければなりません。
また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、現金を通した接触を嫌がるお客さまもいます。電子マネーやスマホ決済など様々な決済手段を用意しておくことも大切かもしれません。
しかし、カードや電子マネーによる決済も、サロン側が操作を学んでおかないと「会計にもたついてしまう」ということも起こりえます。
アフターフォロー
お直しやクレームに対しても真摯に素早く対応しなければなりません。そのためには、担当したスタッフだけでなく、全員がお客さまの情報を共有することが大切です。
そこで肝になるのがカルテの共有です。POSシステムなどを活用して、誰もがお客さまの情報を瞬時に把握して、対応に当たれるように環境を整えましょう。
顧客接点すべてに注意を払う
これまで見てきたように、お客さまがサロンを評価するポイントはいくつもあります。人によって、どんな場面で評価するのかは異なります。
「うちのサロンは、とにかく技術だけで人を呼べる」と思ってしまうと、施術以外のシーンで評価を落としてしまえば、リピートが遠のく可能性があります。
お客さまがサロンを知って、予約をして、実際に施術を受けて帰るまでのプロセスの中で、顧客満足度を高めていきましょう。
再来店を促す施策も積極的に
リピートを増やすためには、顧客満足度を高めることが大切といいながら、現実的なことを伝えなければなりません。
それは「どんなに満足度が高くてもリピートしない人は必ずいる」という事実です。
美容業界のように供給過多のビジネスでは、満足度が必ずしもリピートに直結しません。
そのサロンがどんなに素晴らしいと感じても、次は別のサロンに行ってみようと思うからです。
飲食業や観光業と同じです。とても素晴らしいレストランだとしても、次回は別のレストランで食べてみたいとなります。
素晴らしい旅館に泊まっても、次回は違う宿に泊まりたいと思います。
「ポータルサイトの新規客がリピーターにつながらない」と感じるのは、お客さまの質が低いからでも、サロンのサービスが悪いからでもありません。選択肢が多いからなのです。
だからこそ、顧客満足度を高めると同時に、再来店を促す施策を講じなければならないのです。お客さまがリピートしたくなるインセンティブを設けましょう。
適切なタイミングで再来店を促すメルマガを送る。3回来店するとヘッドスパが無料で受けられるステップアップカードを作る。お客さまがまた来たくなる仕掛けを積極的に打っていきましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。