集客手段を決める前にすべきこと!エリアマーケティングの重要性について
今や美容室の集客方法の定番といえばホットペッパーです。集客効果の面ではおそらく他の媒体よりも高いのだと思います。
また、最近はGoogle Mapに掲載すれば認知度が上がるという話も聞きます。
しかし「無条件にホットペッパーに載せておけば来る」とも言えません。「地図に載っていれば認知度が上がる」とも言えません。
集客施策を考える時には、手段の前に、エリアマーケティングをしっかり行うことが大切です。
出店エリアの特性を調べて、ターゲットを選定して、訴求メニューを決めて、はじめてホットペッパーやGoogleの集客手段が活きてきます。
目次
お客さまのサロン探し
ホットペッパービューティーアカデミーは定期的に『美容センサス』というレポートを発表しています。その資料をみると、消費者のサロン利用について示唆的なデータがあります。
「もっともよく利用するサロンの立地」という項目では、自宅近くにあるサロンが56%、通勤・通学圏内にあるサロン22.1%。約7割の人が自分の生活範囲、通勤・通学範囲のサロンを選んでいます。
「現在利用しているサロンのきっかけ」については、「友人・知人の口コミ・おすすめを聞いて」25.9%、「予約サイト・口コミサイト」34.1%に次いで「サロンを街で見かけて」が15.9%と3位に入っています。
このお客様の心理を考えると「出店エリア」がとても重要であることがわかります。
エリアマーケティング
出店場所は消費者の認知、利用に大きな影響を及ぼすため、出店エリアの情報を集めることは大切です。
出店エリアの特徴を踏まえて、マーケティングを行うことをエリアマーケティングと呼びます。
では出店エリアのどんな情報を調べればよいのでしょう。
人口動態
エリアにどんな人がどれだけ住んでいるか、あるいは働いているかを調べます。これは住民基本台帳や市のホームページなど公的機関から入手することが可能です。
あるいは不動産会社などからも、そのエリアの特性を詳細に聞くことができます。
例えば「最近30代のファミリー層が増えている」とか「将来駅南に大きなショッピングモールができる予定だ」など、そのエリアを商売にしている事業者に聞くことも有益です。
人通り
実際にそのエリアを歩いてみて、実際にどんな人がいるか、どんな施設に人が集まるかを調べます。朝昼晩、あるいは土日と平日など、様々な日時で数回実施することで、特徴が見えてきます。
どの道に、あるいはどの施設に人が集まるかも観察しておくと、より実態に即した情報が得られます。道を歩くだけでなく、施設に入ってみたり、カフェを利用したり、施設に停まっている自転車などを見たりするのも効果的です。
競合サロン
ポータルサイトやホームページで同エリアでのサロンについて調べることも可能です。
ここでは「どんなお客さまが利用しているのか」「どのような訴求をしているのか」「価格帯はどうか」を調べてみます。
もちろんサロンの規模や価格によって異なりますので、自分の作ろうとするサロンに近いサロンをベンチマークすることは大切です。
ターゲットを選定する
エリアの情報を使って、ターゲットを絞り、サロンをどうやって訴求していくかを考えていきます。ここがエリアマーケティングの醍醐味です。
得られた情報から仮説を立てていく作業になります。ここでは少し例を用いて説明します。
エリア情報から推定
エリアの情報からターゲットにする層を絞っていきます。あるエリアで以下のような情報が得られたとします。
・1~2人世帯が多い
・平日の昼間人口が少ない
・平均所得も高い
ここから、以下のような仮説を立ててみましょう。
・都心に働きに出ている人が多いのではないか。
・まだ子どもがいないため、自分に投資できる金額もあるのではないか。
・仕事帰りにサロンが空いていたら、立ち寄ってくれる可能性があるのではないか。
自分のお客さまの情報から推定
同エリアですでに働いている場合には、自分の指名客からの情報も有益です。
・バリバリ働いている人が多い。(ストレス)
・自分へのご褒美としてサロンを利用する需要がある。
・平日有給をつかって来店するお客さまも多い。
・年齢が上がることでな髪質の変化が気になっている。
こうした情報からウリになりそうなメニューを考えます。
・リラクゼーションメニュー
・髪質改善・頭皮改善メニュー
競合サロンから推定
今度は競合サロンの情報から、自分のサロンで差別化できそうなポイントを探します。以下が、競合サロンの情報です。
・価格は比較的安め(自分のサロンと比較して)
・19時が最終受付
・近くに住んでいる50代以降がターゲット(口コミやメニューから)
そうした情報から、「カット・カラーを訴求している。白髪染めが多く出ているようだ」と推測します。
そこから「スパやトリートメントで差別化できるのではないか」と仮説を立てます。
このようにエリアの情報を集めて、仮説を立てて、ターゲットイメージを固めていきます。このケースでは最終的に、以下のターゲットとコンセプトに決めました。
「都心に働きに出る20代後半~30代女性に、仕事帰りのリラックスタイムを提供する最終受付20時の美容室」
集客手段に反映させる
ターゲットが設定できて初めて集客手段を考えます。
しっかりターゲットとセールスポイントを設定できれば、ホットペッパーやホームページに訴求できるポイントを入れることができます。
「エリア名」
「ウリのメニュー」
「最終受付時間」
「リラクゼーション」
オープン後は集客効果を測定して、修正していくことも忘れないようにします。
実際にエリアマーケティングで組み立てた集客施策は仮説です。自分の仮説があっていたのかを確認する作業は欠かせません。
まとめ
とりあえず広告を出すのではなく「誰にどういうメニューを訴求するか」を考えるのが重要です。
意図をもって掲載することで、うまくいかなかったときの原因分析にも役に立ちます。そのエリアで商売を行うためには、そのエリアの情報をしっかり集めておく必要があるのです。
商圏分析や競合分析を行うことによって、
・ターゲットのボリュームが少なかった。
・競合が同じメニューを低価格で訴求していた。
・人通りのない場所だった。
といった失敗を防ぐことができます。
出店してしまえば、お客様が来ないからと言って店舗を移動するのはほぼ不可能です。
だからこそ、出店前にはエリアマーケティングをしっかり行い「お客さまが来ない」リスクを減らす努力をしましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。