見逃せない空席への貢献度! ネット予約から考えるポータルサイト活用法
サロンビジネスは時間が命です。限られた営業時間の中で、空いている席をいかにして埋めるかが課題になります。
多くの固定客を抱えて開業した場合でも、席数が少ないのなら、バッティングしないようきれいに予約を取らなければ無駄が生まれてしまいます。
こうした「空席を埋めること」に大きな貢献をしているのが、ポータルサイトでのネット予約です。
お客さまがサロンの空席をすべて閲覧できる。これは、航空券のチケット販売に似ています。
ネット予約の利便性を理解していても、ポータルサイト=クーポンというイメージが強く、敬遠する方もいます。
今回は、ネット予約という視点でポータルサイトを見ていきましょう。
空いている席を意識する
スタイリストが3人いて、3席稼働するサロンを想定してみましょう。スタッフ1人が1日5人接客できるとしたら、1日の稼働席数は3席×5人=15席あるということになります。
固定客が多いサロンは、上記のように席が埋まっていきます(埋まっている席は黄色で表示)。しかし、15席がすべてきれいに埋まるということは、開業の段階ではあまり見かけません。
この例でみると、14時~16時は一人もお客さまが入っていません。スタッフ3人が誰も接客していない状態です。
席が埋まらなければ売上は生まれず、スタッフの人件費だけが発生します。
小売業であれば、今日売れなかったとしても、商品を在庫として残すことができます。明日以降売れればよいのです。
一方で、サロンビジネスは時間のビジネス。この日この時間の席を逃したら、売上は立ちません。
ネット予約のメリット
では、どうやってお客さまに「空席」を知らせて、そこに来てもらうように促すことができるでしょうか。
ひと昔前は、空いている時間に外へ行き、道行く人に声をかけてサロンに案内する、いわゆる“キャッチセールス”で席を埋めるしかありませんでした。あとはひたすら電話や来店を待つのみ。
しかし今は違います。インターネットとスマートフォンの普及で、お店とお客さまの距離が近くなりました。お客さまに直接働きかけることができます。
特に、ポータルサイトのネット予約は空席への貢献度が高い販促ツールです。お客さまにサロンの空席状況を公開し、24時間いつでも予約を受け付けることが可能になりました。
ホットペッパービューティーやRakutenビューティーが多くのサロンに利用されている最大の理由は、この“空席への貢献度”なのです。
これは新規顧客の獲得だけの話ではありません。常連のお客さまにとっても、予約を取るためにサロンに電話をかけて「この日はあいにく埋まっています」と言われるストレスがなくなります。
サロン側には効率的に固定客の予約をとれるというメリットがあり、お客さま側にも、サロンと時間の調整をするという手間がなくなるというメリットがあります。
SNSやメールによるコミュニケーションもまた、空席を埋めるのに役立ちます。空いている時間に、特定のお客さまに絞ってLINEやメルマガで来店を促すことができます。これを『ナローキャスティング』といいます。
「本日14時までカラーが10%OFF」といって、主婦の方に限定してメッセージを配信するなど、空席を埋める努力が店側でたくさんできるのです。
クーポンは空席を埋めるツール
特にポータルサイトでは、クーポンをつけるのが必須になります。
しかし、お客さまを呼ぶために値引きするという発想を嫌うサロンも多くいます。「サロンブランドが損なわれる」「お客さまを価格で差別化したくない」など理由はさまざまです。
たしかに過度な値引きはサロンイメージを損なうだけでなく、結果としてサロンの利益を減らしてしまう可能性はあります。
しかし多くのサロンがポータルサイトに参画するのはなぜでしょうか。それは、空席をなくすことが大事だとわかっているからです。
雨の日、まったく予約がなくても「今日は来ないね。お店閉めようか」というサロンであればいいですが、実際はそうはいきません。雨の日であろうと、空席は放っておけないのです。
先ほどの図でも、14時~16時に1件でも埋まれば、たとえ単価が5,000円だったとしてもプラスです。
席が埋まらなかった場合、この日の売上は単価8,000円×客数9名=72,000円ですが、14時~16時の時間帯に1席5,000円が埋まる(青で表示)と、合上は合計77,000円になります。
実に約7%もの売上UPです。
ポイントはやはり「空席」。空席を作らないというサロン運営が大事なのです。
まとめ:まずは課題の設定から
サロンの売上を上げるためには、「空席を埋める」が鉄則です。
「いかに空席を埋めていくか」という視点で考えれば、インターネットとスマートフォンを活用しない手はありません。
一方で、ホットペッパーの掲載料金は安くありません。お客さまも来ないし、固定費もかかるという状態は最悪です。
ポータルサイトはサロンの課題を解決する手段です。たとえば、土日は固定客で埋まるが平日は空席が目立つ、という課題があったとしましょう。
この場合、「平日の空席がどのくらいあるのか」「そのうち何割埋まればいくらの売上が見込めるのか」「そのためにはポータルサイトへの掲載費はいくらが適切か」ということを考える必要があります。
ポータルサイトは「お客さまがたくさん来るからやるべきだ」とか「値下げをしてまで集客すべきでない」といった抽象的な議論になってしまいがちです。
自分のサロンの集客課題は何か、それをどうやって解決していくかを具体的にしていくことが求められるのです。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。