サロン業務を変える覚悟はありますか?失敗しないサービス導入の考え方!

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先日、こんなご相談がありました。

 

カラーの施術を3人で分担しています。

 

  • カラーする人
  • シャンプーする人
  • ブローする人

 

それぞれの作業時間にあわせて報酬を払うので、一つのメニューを細かく設定したい。

 

カラーが90分6000円だとして、カラーする人は1時間、シャンプー20分 ブローする人10分かかる。それぞれに対価を割り振りたいため、管理をしっかりしていきたい。

 

そんな予約システムありますか。

 

いくつかのシステム会社と話しをしましたが、できるところできないところがありました。「なかなか珍しいケース」だそうです。

 

サロンの特徴や業務にぴったりあったサービスを探すというのは難しいと思っています。

 

美容業界もDX化が進んでおり、毎日のようにさまざまな便利サービスが出てきています。そんな状況で、サービスを導入するために気をつけたいことがあります。

 

サービス導入の目的は何か

開業時には様々なサービスを導入します。以下は一例です。

 

集客系

  • ホームページやポータルサイト
  • 予約管理、顧客管理
  • SNS・Googleの運用
  • POSレジ・決済手段

 

教育・採用系

  • 採用サイト
  • 採用管理
  • 求人検索エンジンの運用
  • 教育カリキュラム/教育動画など

  

税務・労務系

  • クラウド会計ソフト
  • 税理士や社労士の専門家の顧問契約

   

当然オープンから導入する場合もありますが、サロンの状況によって新たに導入するケースもあります。また、既存サービス自体を見直すケースもあります。

 

  • スタッフを増やさないといけないと思ったので、採用サービスを検討する。
  • 税理士の顧問料が高いので、クラウド会計ソフトに変更する。
  • 「電子マネーで支払いたい」というニーズが増えたので、キャッシュレス決済を導入する。

 

まずしなければならないことは、サービスを導入する目的を明確にすること。

 

サロン経営はビジネスですので、合理的な意思決定が求められます。サロンの問題点を理解、分析したうえで、その打ち手としてサービスを選択する必要があります。

 

  • ホットペッパーの費用対効果が低いため、他に新規客を増やす手段を考える。
  • 失客が増えている。顧客満足度を高めるために顧客管理を強化する。
  • スタッフ一人あたりの指名客が増え、新規客を取れなくなってきたので増員する。

 

何かサービスを導入する前に、目的を明確にしておきましょう。

 

予算をどうやって確保するか

次に考えなければならないのは費用です。

 

特に小規模サロンは、新しいサービスの導入に支払うお金がなくて断念するケースも多いです。

 

新しいことをやるということは、今までとは別の費用が発生することなので、お金が必要です。

 

つまり新たなサービスを導入するには、今あるお金から使うか、お金を借りるかという選択肢がでてきます。

 

あるいは、今まで使っていたサービスをやめて、その費用を充てるという考え方もありますね。

 

開業してまもなく新たなサービスを導入する場合には、手元のお金を使うことが多いです。まだ余裕資金を持っているからです。

 

一方で、すでに何年も営業しているサロンだと新たに融資を受けることもあります。

 

どのように調達すべきかを考えましょう。

 

もう一つは、投資対効果と回収のイメージを持つことです。

 

サービスを導入することは単なる経費ではなく投資です。したがって、サービスの導入によって売上あるいは利益がどれだけ伸びるのかをシミュレーションします。

 

ホットペッパーはわかりやすい例ですが、他のサービスでも効果面を数字としてちゃんと出しましょう。

 

例えば、採用に関しては、掲載費と応募者で計算することで、応募者一人当たりの獲得単価を見ます。

 

求人サイトに月100,000円で掲載したとき、7人の応募があった場合、獲得単価は14,286円になります。

 

あるいは、トータルの採用コストに対して、スタッフが生み出してくれる利益を計算する場合もあるでしょう。

 

求人サイトに月100,000円で掲載したとき、6ヶ月で一人採用できたと仮定すると、採用コストは60万円です。

 

それで採用したスタッフ一人が1年で300万円の利益を出せれば、費用対効果は5倍になります。

 

このように、サービス導入効果を数値で出すことで、成功、失敗の判断もできます。

 

サロン側が変われるか

もう一つ大事な視点があります。

 

それは「導入するサービスがサロンにあっているか」「サービスにあわせてサロンを変えられるか」を確かめることです。

 

値引きはしないことをポリシーとしているサロンが、クーポンサイトで集客を期待できません。

 

詳細なデータを取り込める電子カルテを導入するのに、お客さまとの会話をスタッフが個別でメモしていたとしたら意味がありません。

 

サロンには独自の方針や行動があります。

 

値引きを一切しない、スタッフが個人でメモをとるといった方針や行動が、サービス導入の足かせになっていないかを確認します。

 

サービスの価値を最大化するためには、サービスを正しく使える環境を作らなければいけないのです。

 

したがって、サロン自身もサービスにあわせて変えていく必要があります。

 

価格・メニュー戦略を変える

キャッシュレスを導入すると発生する手数料を考えて、価格を見直した。あるいは、キャッシュレスという武器を訴求して新たな客層をとりに行くことにした。

 

オペレーションを変える

ホットペッパーを掲載するにあたって、これまでの仮予約をやめて、すべて即時予約に変更した。

 

※仮予約…予約した後にサロンの空き状況などを確認して、ユーザーへの返信をもって予約受付を完了する。

※即時予約…予約した瞬間に確定する。

 

習慣を変える

クラウド会計を導入したことをきっかけに、経費をクレジットカード支払いと口座振替に切り替えた。

 

サロンにあわせたサービスを探すことも大事ですが、サービスにあわせてサロン側が変ることも同時に必要なのです。

 

サービスにあわせてサロンも変わらないといけない

ここまでサービス導入にあたっての注意点をお伝えしてきました。

 

  • 目的や目標をしっかり持ちましょう。
  • 予算、投資対効果を数字で出してみましょう。
  • サービスにあわせてサロン業務を変えましょう。

 

サロンにぴったりあうサービスが見つかるとは限りません。見つかるまで永遠と検討しているサロンもいますが、課題はいつまでたっても解決しません。

 

サービスの価値を感じているならば、サロン側で少し工夫すれば大きな成果に結びつくこともあります。

 

「うちのサロンはこうだから」とサロン側の都合でNGを出すのではなく、「この部分を変えればできる」と柔軟に対応していくべきです。

 

今回の相談を受けてそんなことを思いました。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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