開業の落とし穴?管理美容師について調べてみた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

開業相談を受けている中で「管理美容の講習会に昨年からエントリーしてるけど抽選に落ち続けてます・・・」という声をよく聞きます。

 

半年後、1年後に開業を目指してるけど管理美容資格を持っていないと間に合うのか心配ですよね。

 

今回は管理美容師について詳しく調べましたので対象の方は最後までぜひお読みください。

 

管理美容師とはなにか?

 

そもそも管理美容師とはどういったものでしょうか。

 

管理美容師は【美容師2人以上で美容室を開設するときに衛生管理をする人】です。

 

こちらは美容師法で定められた決まりになっております。

 

美容室で3年以上働いた美容師でないとなれません。

 

一人サロンや施術をしない従業員(レセプションや事務など)しかいない場合は管理美容師がいなくても大丈夫です。

 

管理美容師

 美容師が複数いる美容所の開設者は、美容所の衛生管理の責任者として管理美容師を置かなくてはならない。
 なお、管理美容師は美容師歴3年以上の者であって都道府県知事が指定した講習会を修了した者でなくてはならない

引用URL

 

開設時は1人サロンだったけど途中で美容師が加入した場合

 

速やかに管理美容師を置き、管轄の保健所に従業者変更届を提出します。

 

国家試験があるか?

 

管理美容師資格は美容師免許と違い、国家試験はありません。

 

代わりに資格認定講習会があり、これを修了すると修了証書が発行され管理美容師になります。

 

▼講習会について詳しくはこちらをクリック▼

 

この講習会をなかなか受講できないということが冒頭のお話となります。

 

なぜ講習会の抽選に落ちるのか?

 

美容組合に加入しているサロンスタッフが優先されるという都市伝説的な情報もありますが、

 

こちらの記事では公式情報と確率論からお話ししていきます。

 

先着順ではない

 

まず講習会の抽選はエントリーが早かった人が優先されるわけではありません。

 

毎回、募集開始してからすぐに応募しているのに抽選に落ちるとやきもきしますよね・・・

 

勤務年数などは関係ない

 

次に美容師としての勤務年数も関係ないです。

 

美容師4年目のスタッフも20年以上のベテランも平等に抽選がされます。

 

そもそも募集人数と応募人数に開きがある

 

エリアにもよりますが1回の募集人数は大体100人程度と言われており、それに対し毎回約500人程度の応募があるようです。

 

大体、20%の確率なので10回エントリーすれば90%程度の確率で抽選にあたる計算ですね。

(外れの確率0.8×0.8×・・・10回で0.10%)

 

美容師はトータルで50万人以上いて毎年1万5000人以上増えていると考えると管理美容師になれるチャンスが少ないですよね。

 

講習会が間に合わない!代用手段は?

 

周辺地域へエントリーする

 

あくまで公平な抽選なので確率を上げるべく、近辺地域でもエントリーをしましょう。

 

ただ東京は令和4年度で13回開催されていますが、

 

神奈川、千葉、埼玉は年2回、群馬、栃木、茨城は年1回しか開催されいないのでご注意ください。

 

もし複数エリアで抽選に当たった場合はいずれかをキャンセルできますが、そうそうあり得ないことのようです。

 

管理理容師でも代用できるか?

 

例えば理容師→美容師へのコンバートで管理理容師資格を持っている場合、代用ができるのでしょうか?

 

結論から言うとNOです。

 

現状、美容師法と理容師法は別の法律となり管理理容師では美容室を衛生管理できません。

 

逆もまた然りです。

 

名義借りでも良いか?

 

管理美容師は常時、美容室に居ることが条件です。

 

仮に罰則が発生した場合、名義を貸してくれた方にも迷惑が掛かりますので知り合いに名義だけ借りて申請することはお控えください。

 

管理美容師がいないとどうなる?

 

それでは管理美容師がいないまま美容師2人以上で開業したらどうなるのでしょうか。

 

保健所検査では提出が必須

 

保健所に美容所登録のための手続きをするときに管理美容修了証書の提出が必須となります。

 

こちらを虚偽で通した場合は罰則が発生する恐れがあります。

 

美容師法第18条

 

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
1. 第6条の規定に違反した者
2. 第11条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
3. 第12条の規定に違反して美容所を使用した者
4. 第14条第1項の規定による当該職員の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
5. 第15条の規定による美容所の閉鎖処分に違反した者

 

美容師法第19条

 

「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の刑を科す」

 

日本政策金融公庫(以下、公庫)の事業融資でも必要な場合が多い

 

それ以前の公庫融資においても2人以上で開業する事業計画の場合は提出を求められるケースが多いです。

 

こちらも虚偽で通すと法律的な罰則はなくとも、最悪の場合は「即時、全額返済」を求められる恐れもあります。

 

公庫の目線から言うと、「2人サロンなら営業利益が出るから融資できるけど、管理美容がなくて一人サロンになってしまうなら収支の計画が破綻するので融資はできない」という場合です。

 

十分に気を付けましょう。

 

廃止の噂は?

 

管理美容師の廃止の噂を聞いたことある人もいるのではないでしょうか。

 

そうなのです、実は10年以上前の2010の事業仕分けで管理美容師は不要と決定がされています。

 

しかしながら美容師法の兼ね合いで2023年現在でもルールは変わっていません。

 

〈事業仕分けで配布された資料〉

 

まとめ

 

今回は開業準備の中でも度々ハードルとなる管理美容師について説明しました。

 

独立開業を目指す美容師はもちろんの事、チェーン店のスタッフ募集事項でも優遇されることの多い資格なので美容師4年目を過ぎたら早い段階で取得されることをお勧めいたします。

 

 

●文/コンシェルジュ室:野呂

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例