【小さな空間、大きな可能性】トレーラーハウスサロン開業ガイド

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郊外で一人サロンを考えている人が一度は夢見る?トレーラーハウスでのサロン開業。

 

ここ最近のご相談が増えている気がします。

(超個人的な見解だと東海地方が多いような・・・)

 

「キッチンカーみたいに好きな場所で営業できる?」

「通常のテナント開業より安くなるの?」

「保健所や税務署への手続きはどうなる?」

 

そんな疑問がある方はぜひ最後までご覧ください。

 

※本記事は移動ができる自動車のトレーラーハウスを対象とした内容になっております

建築物に該当するレーラーハウスは考慮してませんのでご了承ください

 

〈参考資料〉

トレーラーハウスの設置検査基準

 

トレーラーハウスサロン開業とは

一口にトレーラーハウスサロン開業と言っても希望される方の理由は様々です。

 

大きく以下に分類されます。

 

訪問美容・出張美容を検討している

 

まずは訪問美容や出張美容を検討している方です。

 

もともと勤めのサロンで訪問美容や出張美容を行っていた方に多く見受けられます。

 

「美容サロンにいきたいけど高齢や病気等が理由で街まで行けない方」がターゲットです。

 

ご訪問先によっては施術スペースの確保や移動式シャンプー台の排水が困難なことがあり、車内で施術ができるトレーラーハウスが候補に挙がります。

 

好きな場所や複数個所で開業したい

 

トレーラーハウスサロン開業と聞いて一番期待したいのが自分の好きな場所で開業できることですよね。

 

開業したいエリアが決まっていても一人サロンに合う10坪程度の物件がタイミングよく貸店舗募集されているのは稀です。

 

実際に希望に合った物件が見つかるのに1年以上かかることも珍しくありません。

 

トレーラーハウスであれば交渉次第では施設の駐車場などでも営業ができますので選択の幅がグっと広がります。

 

また集客に不安があるエリアで開業したい場合、実店舗を構えての開業は大きなリスクを伴います。

 

トレーラーハウスサロン開業なら集客ができない場合は移動すれば良いのでリスクを抑えることができます。

 

所有敷地内での建設ができなかった

 

もう一つよく聞くのが自宅や実家の敷地で開業しようとしたら建ぺい率(敷地に対してどれくらい建築して良いのかの割合)の問題でできなかったというパターンです。

 

トレーラーハウスは、基本的には建築物ではなく車両として扱われるので庭や駐車場などの敷地が狭くてもトレーラーハウスが入れば開業できます。

 

また建築が許されていない市街化調整区域でも車両として設置することができるので、そのような不測の事態にはトレーラーハウスサロン開業を候補に考えると良いでしょう。

 

トレーラーハウスサロン開業の手続き

 

トレーラハウスサロン開業の手続きは以下のようなものがあります。

 

税務署(開業届)

 

まずはトレーラーハウスサロンに限らず、事業を開始する際は「開業届」を提出する必要があります。

 

既存サロンの副業として行う場合もサロン名が変わるときは提出するのが望ましいです。

 

保健所(美容所登録)

 

トレーラハウスサロンであっても理美容室やアイラッシュサロンは保健所への美容所登録が必要です。

 

通常は開業者の住所地(本店住所)で保健所申請しますが営業地が他の区や市になる場合は営業地への申請も必要になる場合があります。

 

美容所の保健所検査経験がある方だと「13㎡以上ある巨大コンテナなんて容易じゃない・・・」と思う方もいるかもしれませんが諦めるのはまだ早いです。

 

トレーラハウスサロンのような移動理美容車に関しては全国統一の床面積基準は設けられていません。

 

地域条例によっては基準が緩和されている場合がありますので、車両を購入する前、内装工事を始める前に管轄の保健所にご相談に行ってください。

 

〈参考サイト〉

内閣府:移動理美容車について

厚生労働省:自動車を使用した理容所・美容所の取扱いについて

 

トレーラーハウスサロン開業の費用

 

車両費

 

トレーラーハウスサロンのテーマである車両費に関してはいくつかに分けて説明をします。

 

取得費

 

ピンキリありますが一人サロンに適した大きさで考えた場合の相場は新車で500~800万円程度です。

 

車両なのでローンだけではなくリース契約がしやすいのがメリットです。

 

自宅サロン(所有物件)とは違い、固定資産税はかかりません。

 

尚、輸送費は距離にもよりますが20~40万円ほどが一般的です。

 

維持費

 

維持費にはガソリン代、自動車税、重量税、車検費用、駐車料金などがあります。

 

ガソリン代はトレーラーハウスサロンの場合はほぼ移動しないのでそこまで考えなくて良いかと思います。

 

頻繁に移動する4tトラックの理美容車だと平均燃費は約7.5㎞/Lと普通車の倍以上かかりますので少しでも燃費の良いものを考慮したいですね。

 

また駐車料金に関しては物件賃料並みに高くなってしまっては元も子もないので抑えたいところです。

 

該当地での月間売上5%程度を予算に考えていきましょう。

 

また理美容車は本来1年車検ですが「8ナンバー」にすることで2年車検となるので検討すると良いでしょう。

 

減価償却費

 

トレーラーハウスの耐用年数は自動車と同じく「4年」です。

 

中古も中古車と同じように考えます。

 

(4年-経過年数)+(経過年数×20%)

 

4年以上経っている中古トレーラーハウスは購入年で一括償却してOKです。

 

〈減価償却についての記事はこちら〉

サロン開業前に知っておきたい!減価償却の謎

 

内装費

 

理美容サロンの内装費は一般的なテナント開業よりも多くかかってしまう恐れがあります。

 

インフラ(電気・ガス・水道)容量が他の業種より必要なためです。

 

理美容サロンの内装相場は坪50万円ほどで案内しておりますが、インフラの無い駐車場改装で美容室を作った際に坪70万円ほど内装費がかかった事例もありました。

 

電気

 

受電ポール(簡易的な電柱)を立て、電線を引き込みます。

 

近くの電柱から既存電力を分岐できる場合は良いですが新規電力を開設する場合はスムーズにいかないかもしれません。

 

またトレーラーハウスが移動することを考えて、電線は取り外しできるようにしておくことが重要です。

 

ブレーカーは一人サロンなら30Aあれば大丈夫ですがドライヤー2台を同時稼働させるなら40Aの方が安心です。

 

ガス

 

都市ガスを取り外すことは非常に難しいため基本はプロパンガスです。

 

設置検査要件に従い、引火しないように周囲の火気には十分に注意しましょう。

 

水道

 

駐車する場所に本管(配水管)がある場合は給水管をそこから引き込みます。

 

本管からの距離があるほど工事費用が高額になるのでご注意下さい。

 

一人サロンならボイラーは不要ですが、水圧が弱い場合には10~30万円程の加圧ポンプが必要な場合があります。

 

また排水に関しては共用地域の下水に引き込むことが基本ですが不可能な場合は浄化槽を埋めて引き込むなどの処理が必要です。

 

移動式のシャンプー台なら上記を全く気にせずに対応できますが、「タンクが小さくて客ごとに交換が必要」「水圧が少し弱め」等のデメリットもあるので検討が必要です。

 

〈お勧めの移動式シャンプーユニット【LEO-S】〉

 

 

初期費用比較

 

その他費用はテナントで開業する場合とほぼ変わらないかと思います。

 

一人サロン美容室(シャンプー台、セット椅子1台ずつ)におけるおおよその初期費用、収支比較をしましたので参照ください。

※多様化している中での一例として考慮お願いします

 

〈テナント開業〉

設備費用項目 金額 運転費用項目 金額
保証金 330,000 店舗礼金 121,000
内装工事費 6,600,000 店舗仲介手数料 121,000
美容器具 1,100,000 前払い家賃 121,000
家具・家電類 330,000 火災保険料 33,000
開業材料費 220,000
初期広告宣伝費 110,000
その他諸経費 30,000
開業後経費

(手元現金)

884,000
合計 8,360,000 合計 1,640,000
10,000,000

 

調達先 金額 金利 返済金額/月
自己資金 2,000,000
公庫借入
(元利均等10年)
8,000,000 2.40% 75,053
合計 17,500,000 75,053

 

創業当初 軌道に乗った後
売上高① 58.1 90.2
売上原価② 8.2 12.3
経費 人件費 0 0
賃料 12.1 12.1
支払利息 1.6 1.6
その他 11.6 14.2
合計③ 25.3 27.9
営業利益 ①-➁-③ 24.6 50

 

〈トレーラハウスサロン開業〉

※内装費をテナント開業より110万円高くしてます

設備費用項目 金額 運転費用項目 金額
車両費 7,000,000 前払い駐車料金 22,000
内装工事費 7,700,000 保険料 33,000
美容器具 1,100,000 開業材料費 220,000
家具・家電 330,000 広告宣伝費 110,000
その他諸経費 30,000
開業後経費

(手元現金)

955,000
合計 16,130,000 合計 1,370,000
17,500,000

 

調達先 金額 金利 返済金額/月
自己資金 2,500,000
公庫借入

(元利均等10年)

8,000,000 2.40% 75,053
リース会社

車両費立替

7,000,000 40,000
合計 17,500,000 115,053

 

創業当初 軌道に乗った後
売上高① 58.1 90.2
売上原価② 8.2 12.3
経費 人件費 0 0
駐車料金

車両リース月額
6.2 6.2
支払利息 1.6 1.6
その他 11.6 14.2
合計③ 19.4 22
営業利益 ①-➁-③ 30.5 55.9

 

トレーラーハウスサロンは安く開業できる!という情報も世の中では飛び交ってますが、当記事のシミュレーションにおいては内装のクオリティが同程度ならトレーラーハウスサロンの方が初期費用は多くかかるのでは?という結論になっております。

 

そのかわり売上や仕入原価が同じなら車両費のリース返済を考えてもトレーラーハウスサロンのほうが営業利益が残りそうです!

 

まとめ

超高齢化社会を見据える現代の中でトレーラーハウスサロンは大きなポテンシャルがある事業だと思います。

 

ご自身が考えるトレーラーハウスサロンのプランが上記のシミュレーションに該当しない場合は是非お気軽に開業無料相談をお申込み下さいませ。

 

 

●文/コンシェルジュチーム:野呂

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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