ホットペッパーだけでいいの?美容室開業時に必要な販促ツールとは?
事業計画書では広告費・販売促進費を設定します。最近はそこにかける予算を低く見積もっているケースが多いと感じます。
「広告費・販促費は何を想定していますか?」と聞いてみると「ホットペッパーです」と答えます。
たしかに、余計な広告を打つよりもホットペッパー一本で十分と考える人もいらっしゃいます。しかし、新規開業に関してはより広く広告・販売促進をとらえなければなりません。
開業時にはどんな広告費・販促費を想定すべきでしょうか。販促ツールを洗い出しをして、正しく取捨選択をしましょう。
サロンのロゴ
最近は凝ったデザインを採用する人は減っていますが、サロンのイメージを一目で伝える重要な広告になります。
ホットペッパー掲載においてもロゴの存在は大きいです。
同じフォーマットにサロンが並ぶので、ロゴが差別化の一つになります。
また、今後どういった集客媒体を使うにしても、サロンのロゴは求められます。
ロゴデータを持っておけば、どんな媒体にも使うことでき、サロンの統一性を演出できます。
ショップカード・名刺
サロンに来たお客さまに自分を紹介するというショップカード・名刺も開業時に作っておくべきものになります。
また、再来店を促すためにポイントカードやステップアップカードなどを準備することもあります。あるいは紹介を増やすための紹介カードなどを作ることもあります。
チラシ・フライヤー
最近はネット予約が主流になっており、印刷物を用意する人は減っている気がします。
しかし、サロンビジネスは地域ビジネスですので、少なからずサロンの認知向上には効果があります。
チラシをみる。チラシからQRコードを読み込み、ホームページやホットペッパーに入る。そしてクーポン・メニューを選んで、ネット予約する。
こうした予約プロセスを踏んで来店すると想定されます。
「チラシをみました」という人はほとんどいませんので、効果を感じるのは非常に難しいのが欠点です。
あくまで認知度アップのためにチラシをまくオーナーもいます。
そのオーナー曰く
「新店オープンでチラシを出すことには違和感がない。でも、しばらくしてチラシを打ったら、チラシを見た人に、うまく行ってないのかなと思われるかもしれない。だから最初から出しとくほうがいい。」
長期的な視点をもった、おもしろい洞察だと思いました。
さらに印刷物に地図をつけたりすると、地図データが欠かせません。
ホームページ・ポータルサイト
ネットを使った集客が主流になっているので、ネットでサロンを見つけてもらう工夫が欠かせません。
そのためにはまず自分のページを持つこと。チラシとの大きな違いは情報量の多さです。
ホームページには、スタイルの画像や、店内のイメージ、こだわり、コンセプトなどを載せることができます。
ポータルサイトも同様ですが、フォーマットや情報量が決まっており、自由度が低いのが特徴です。
一方で、ポータルサイトは多くのユーザーが登録している点、大手企業が運営しているためSEO上も強い点で集客力が強い。
ホームページは内容を充実させることができる半面、サイトを見つけてもらうために工夫が必要です。
Googleマップに登録する、SEO対策を行うなど、他の情報に埋もれないようにするため、手間とコストがかかります。
ホームページは安く作っても、そうした見つけてもらうための施策をしなければ、検索しても上位に出てこない、なんてこともあります。
SNS
見逃せない販促ツールとしてはインスタグラムやLINEのようなSNSです。特徴は無料で始めることができる点です。
新規集客として効果が見込めるのはインスタグラム、リピート施策として使い勝手がよいのはLINEという位置づけです。
インスタグラムは、美容室との親和性が高く、実際にインスタでサロンを探すという傾向もあります。
LINEは、日本人の約8割が使っているSNSであり、顧客とのコミュニケーションに最適です。
最近の開業者はすでに利用していることが多いです。
システム
販促ツールは、「サロンを見つけてもらう」「サロンに興味を持ってもらう」ために必要です。しかし、もう一歩踏み込んで「サロンに来てもらう」まで意識しなければなりません。
「サロンに来てもらう」という点では、予約、決済、顧客管理も集客施策として考えるべきです。
- 予約システム … お客さまの予約のしやすさ(24時間予約ができる。バッティングしない)
- 決済システム … 支払方法の柔軟性(現金以外の決済方法も使える)
- 顧客管理システム … 再来店の案内(顧客情報をもとにタイミングよく案内できる)
この3つの機能が一つにまとまっているシステムもあれば、3つ別々のシステムを組み合わせて利用する場合もあります。
ホットペッパーは予約から、決済、顧客管理すべて一括でできます。その意味でホットペッパーは使い勝手がいい。
一方、デメリットとしてはホットペッパーのルール(例えばネット予約ユーザーに2%のポイント還元)などに縛られます。
複数のメディアでサロンを訴求していく場合には専門システムを導入します。
実際には、ホットペッパーだけでなく自社のホームページ、SNSなど様々な媒体からの問い合わせがあるため、システムを使って予約情報、顧客情報をまとめる必要があるのです。
販促ツールは開業するときが一番揃えやすい。
最近はどの美容室でもホットペッパーを使って集客していて、そこから予約がはいってくるので「広告はホットペッパー」と考えがちです。
しかし実際はサロンのロゴや印刷物、ホームページなど、様々な販売促進方法があることも事実です。
ホットペッパーだけだとしてもロゴはあった方がいいですし、リピート客には違う方法で予約してもらうほうが提案の幅が広がります。
こうしたサロンの集客方法は、オープン前だからこそ十分に考え、一気に揃えてしまった方がよいのです。
ある程度初期費用がかかるものでも、資金調達で準備ができるからです。広告費にもお金を十分かけられるように、販売戦略を抜けもれなく考えてほしいと思います。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。