サロン成功の肝はロイヤルカスタマー!積極的な顧客マネジメントのすすめ
近年開業者のサロン規模は小さくなっています。背景にあるのは人手不足や開業費です。
シェアサロンや業務委託など美容師の働き方は多様化しており、ハコを大きく構えても席が余ってしまうといった現象が見られます。物価高の影響で開業費も上がっています。
最小の大きさでスタートしようと考えるのはとても合理的です。
小規模サロンで開業すると、内装や器具といった設備費を抑えることができます。
一方で、開業時に抑えないほうがいい運転資金まで削るオーナーもかなりいます。
「新規客をそこまで取らなくてもいい」
「集客はホットペッパーの安いプランだけ」
「無料SNSでコツコツと集客する」
広告費をかけない理由は、ある程度自分の指名客が見込めるからです。
本来、自分の指名客が見込めるのであれば、新規客よりも指名客を維持するための投資は必要なはずです。
しかしながら、多くのサロンでは新規集客の部分だけを検討し、指名客(既存客)への対応を見逃しています。
小規模サロンこそ顧客管理、顧客マネジメントが大切なのです。
目次
美容室の基本戦略は未来の売上確保
美容ビジネスの特徴はずばり「予約が入る=売上が確定する」点にあります。
予約サイトのおかげで「いつ、誰が、どのメニューで来店する」が前もってわかります。
別の言い方をすれば、予約させた時点で売上が確定します。つまり、先の先まで予約させることができれば未来の売上を確保できるのです。
そのためには、定期的にサロンに通うお客さまを増やせるかがポイントです。ここでは、定期的に通ってくれる顧客をロイヤルカスタマーと呼ぶことにします。
ロイヤルカスタマーは年間数回サロンに通ってくれるわけですから、そのお客さまからいただく対価=売上はすでに確保できるのです。
年6回通ってくれるお客さまが単価12,000円だったとしたら、年間72,000円の売上は確保できます。
逆を言えば、ロイヤルカスタマーが一人失客すると損失は大きい。
現代のサロンビジネスにおいては「将来の売上を作ってくれる人をいかに増やすか」が基本戦略になります。
小規模サロンにとってロイヤルカスタマー維持は生命線
特に、小規模サロンはロイヤルカスタマーへの依存度は高くなります。
第一に、そもそもキャパシティが小さいからです。同じ時間に数人予約ができるサロンのほうが新規客はとりやすい。小規模サロンは新規客獲得は不利なのです。
第二に、小規模サロンにとって新規獲得の費用は高いからです。ホットペッパーはサロンの規模にかかわらずプラン料金が決まっています。高い掲載費が支払えるサロンは、新規客を増やせます。
つまり資本が小さい小規模サロンは掲載費をそこまで払えない。
一方で、小規模サロンは家賃・人件費が小さいため損益分岐点が低い。つまり、少ない客数でもサロンはつぶれないという強みもあります。
大事なのはその少ない客数をしっかり維持していくこと。
こうした理由から、小規模サロンはロイヤルカスタマーの顧客満足度を上げて、失客を防ぐことに力をいれていくほうが合理的なのです。
顧客管理への投資が大切
「集客」には二つあると考えるべきです。それは新規客獲得とリピート獲得です。
新規客獲得とは、サロンを知らない人へリーチし、来店を促すこと。
リピート獲得とは、一度サロンに来た人に継続利用してもらいロイヤルカスタマーにすること。
私が気になっているのは、毛色の違う二つの集客を一つの媒体に頼っていることです。
ロイヤルカスタマーにも「ホットペッパーで予約をしてもらうので」特に何もしなくていい。そういう意見が多いと感じます。
しかし、ホットペッパーは美容室を探すためのメディア。つまり新規客獲得がメインのツールです。
ロイヤルカスタマーがずっとホットペッパーで予約をするということは、彼らが他のサロンを探す可能性があるということでもあります。そして、サロンは「その状況を許容している」ということでもあります。
再来からロイヤルカスタマーにする、あるいはロイヤルカスタマーの失客を減らすために必要なツールは、予約システムやPOSなどに含まれる顧客管理システムです。
したがって、小規模サロンこそ顧客管理システムを導入すべきなのです。
新規・リピートのバランスを考える
集客にお金をかけるのならば、バランスよく投資するようにしましょう。
新規客を獲得するコストよりも、指名客・固定客を維持していくコストは低いと言われています。以前、記事に書いたように、マーケティング用語に1:5の法則と呼ばれるものがあります。
新規のお客様を獲得するコストは、既存のお客様の5倍かかるという法則です。
指名客の1年分72,000円の失客を防ぐことと、年72,000円を支払ってくれる顧客を獲得するのは、どちらが大変かは、サロン経営をしてくと体感することになります。
小さなコストで既存顧客を確保、あるいは維持していけるのであれば、そこにもしっかり投資をしていくべきです。
「新規顧客は少なくてもいいので経費をかけない」というのはわかりますが、大事なロイヤルカスタマーのために、全く投資しないというのはバランスが悪いと思います。
集客にかけているお金、あるいは、新規集客は不要だと思って使わないお金を、ぜひロイヤルカスタマー維持のために使ってみましょう。
小規模サロンこそ、顧客マネジメントに全力を注げ
小さい規模のサロンを作る人の中には、拡大志向ではない人も多くいます。つまり安定して売上・利益が出せるサロンを目指しています。
したがって、したがって新規客をがんがん増やすよりも、前勤務先から通ってくれるであろう自分の指名客を大切にしたいというサロンの考え方は理解できます。
しかし、とっている策としては、新規集客のコストを減らすことだけ、というケースが多い。
将来のロイヤルカスタマーを守ることに何もしないことは大きなリスクです。
当然ですが、前勤務先からの指名客が開業後も自分のお店に通い続けてくれる保証はないのです。
だからこそ、顧客管理、顧客マネジメントが重要なのです。
積極的にコミュニケーションを図ったり、来店を促す仕掛けをしたり、その顧客をもてなしたりして、関係性を維持していくことが、とりわけ小規模サロンには大事です。
小規模サロンこそ、顧客との関係性を強化できるのが強みです。
指名客・固定化された顧客が増えれば増えるほど、サロンは安定化します。そして、小規模サロンならその数は少なくてもいい。
だからこそ、サロンの安定化のためにもオープンから既存顧客のロイヤルカスタマー化を真剣に考えましょう。
顧客管理やリピート対策についてのお悩みも、ぜひビューティガレージの開業無料相談で解決しませんか。
●文/コンシェルジュチーム:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。