面倒でもやるべき! 青色申告のメリット3つを超カンタン解説
サロンを開業したら、税金の申告をすることになります。日本では納税者が自分で所得金額と税額を計算して申告します。
これまで、所属する会社や美容室が代わりにやってくれたことを、今度は自分で申告する必要があるのです。
申告方法には、白色申告と青色申告の2つがあります。どちらの申告も、帳簿に記帳して、一定期間保存することが義務づけられています。
違いは記帳の方法にあります。白色申告が単式簿記であるのに対し、青色申告が複式簿記という方法を使います。
単式簿記とはいわゆる家計簿のようなもので、現金の出し入れさえわかればよいものです。最終的にどのくらいお金が残ったかを申告するだけです。
一方、複式簿記は、貸借対照表や損益計算書が作成できる正規の簿記です。お金の出入りだけでなく、サロンの資産、負債といった財務状況も明らかにしなければなりません。
青色申告の方が記帳が複雑で面倒です。しかしながら、多くの人は青色申告を選びます。なぜなら、圧倒的にメリットが大きいからです。
65万円を特別控除できる
税金は所得金額に対して課されます。所得金額は、「総収入-経費」で計算されます。控除というのは、この所得金額から65万円を引いた金額に対して税金がかかるということです。
青色申告の場合、課税対象の所得金額が、「総収入-経費-65万円」になるのです。極論を言えば、所得金額が65万円しかなかったら、「65万円-控除65万円」=0円。つまり税金がかからないことになります。
注意が必要なのは、複式簿記を用いて、確定申告の期限内に提出しなければならないことです。
では、青色申告を簡易簿記で、申告期限後に提出するとどうなるでしょうか。実はそれでも10万円の控除になるのです。つまり、青色申告を選べば最低でも10万円は控除されるということです。
身内への給与が経費として計上される
“青色事業専従者給与”は、事業に携わっている家族に対する給与やボーナスを経費として計上してくれるものです。
同じように、白色申告にも“専従者控除”がありますが、上限が86万円と決まっています。つまり月々7万円くらいの給与であれば控除されます。
一方、青色の場合は上限がないので、正社員レベルの給与でも正当な報酬として申告できるのです。
夫婦で美容室を経営する場合など、夫が事業主になって“青色事業専従者給与”で奥さんが働けば、かなりの節税が期待できます。しかしながら、経費として認められるには条件があるので、それを確認する必要がります。
詳しくは国税庁のホームページをチェックしてください。
サロンの赤字を繰り越せる
サロンを開業してすぐに黒字化するのが理想です。しかし、開業にかかる費用が大きかったり、思ったより集客が伸びなかったりすると、赤字になる可能性はあります。
青色申告の3つめのメリットは、この赤字金額を3年間繰り越せることです。
開業1年目
150万円の赤字 |
開業2年目
50万円の黒字 |
開業3年目
100万円の黒字 |
|
白色申告 | 赤字150万円のため
課税なし |
50万円の所得金額に対して
課税 |
100万円の所得金額に対して
課税 |
青色申告 | 赤字150万円のため
課税なし |
50万円の所得金額
→赤字繰越控除50万円 →課税なし |
100万円の所得金額
→赤字繰越控除100万円 →課税なし |
図を見てください。たとえば開業1年目に150万円の赤字が生じた場合、この1年目の確定申告では白色でも青色でも課税されません。
しかし2年目。仮に50万円の黒字に転換した場合、青色申告であれば前年の赤字金額を繰越しできるため50万円を控除できます。そうすると2年目も課税されません。
さらに3年目。ようやく100万円の利益が手に入ったとします。ここでも青色申告では初年度の赤字分で控除ができます。青色申告であれば3年間課税されないことになります。
極端な例でありますが、赤字を繰り越すことができるのは開業者にとってはかなりのボーナスです。
まとめ
開業するなら青色申告をおすすめします。無条件で65万円の控除が受けられ、身内の報酬を経費として計上できます。そして万一赤字になっても3年間繰越して控除できます。
ルールに従って納税を行えば、節税のメリットを享受できるのです。
青色申告は複雑で面倒かもしれませんが、こうしたメリットを受けられると考えると、労をいとわず日々細かく記帳するべきなのです。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。