店舗のコロナ対策から学ぶ。「新たな日常」を意識した美容室開業
コロナウイルスの影響は、非常事態宣言が解除した後も続きそうです。
有効なワクチンが開発されない限り、私たちはコロナウイルスと付き合って生活することになります。これを政府は「新たな日常」と表現しています。
これから美容室の開業を考えている人は、この「新たな日常」を意識した経営に取り組まなければなりません。
4月に創業融資の面談に同席しましたが、融資担当者がオープン後の「コロナ対策」について質問していました。
今回は、美容室が行っているコロナウイルス対策を参考にしながら、アフターコロナの美容室作りを考えてみたいと思います。
目次
3つの「密」を避ける工夫
美容業は接客業です。お客さまとの接触を完全に避けることはできません。
3密にならないようにする工夫が欠かせません。現在、美容室ではお客さまとの密を解消する対策を取っています。いくつか例を見てみましょう。
密接場面を避ける
・マスクを着用したままで接客する。
・お客さまとの会話を最小限に抑える。
・電話やオンラインで、カウンセリングを行う。
・現金やクレジットカードを避け、電子マネーやスマホ決済を促進する。
密閉空間を避ける
・店内の換気を徹底して、窓を開けっぱなしにしておく。
・スタッフにも定期的に休憩を設け、外気に触れるようにする。
・使用した器具、道具にはアルコール消毒を行う。
密集場所を避ける
・お客さま同士の距離を取るため、席を一つ開けて利用する。
・予約枠を減らして入店制限などを行う。
・営業時間を短縮する。
店舗を運営していくにあたって、3密を防ぐ施策をしっかり考えておくことが大切です。
サロンの方針やポリシーの発信
3つの「密」を防ぐ工夫は、緊急事態宣言が後押ししてきました。つまり、お客さまにとっても「仕方がないこと」だと割り切れました。
しかし、今後緊急事態宣言が解かれ、普通に営業できるようになったとしたら、過度なコロナ対策は、お客さまにとって不愉快かもしれません。
そこで重要なのは、サロンのコロナウイルス対策方針としてお客さまに周知することです。
つまり「緊急事態宣言は解除されたが、お客さまの安全・衛生上の観点から、引き続き対策を実行している」というサロンの方針やポリシーを伝えなければいけないのです。
多くのサロンはホームページなどで、店舗の取り組みやサロンの考えなどをお客さまへ発信しています。
サロン経営ではお客さまとの信頼関係が大事です。コンセプトや想いが明確なサロンは、お客さまに何をすべきかが自然と出てきます。
それをお客さまへ直接伝えることで、理解を得られるのです。
※サロンの「感染症対策の案内」を作成しました。このページからダウロードできます。ぜひとも店内に貼ってください。
ルールの徹底
いくらオーナーが「コロナ対策を徹底しよう」と叫んでも、スタッフに浸透しなければ意味がありません。
手洗い・うがいといった個人レベルでの対策。使用後の消毒・滅菌といったサロンの共通の対策。こうした対策は全員が行わなければ、意味がありません。一人でもさぼる人がいたら感染のリスクは上がってしまいます。
サロンの掲げる方針を徹底してできるかは、ルール作りにかかっています。
個人的には、今後開業するサロンは、これまで以上にスタッフとのルール作りを大切にすべきだと思っています。
ルール作りにはスタッフを巻き込んで作成していくことが肝要です。押し付けられたルールよりも、自らが参加して決めたルールは守りやすいためです。
オープン前に、サロンで行うべき「コロナ対策」をスタッフと一緒に考えるのも、よい案だと思います。
まとめ:「新たな日常」を想像して、3密を防ぐ店舗づくりを
これからサロンをオープンする場合には、コロナ対策は必須の条件だと思います。「3つの密」を防ぐための知恵をスタッフと出し合い、お客さまに周知徹底していきましょう。
開業相談でも、コロナを意識すしたサロン作りを考える人も出てきました。
「席の間隔をあけるレイアウトにする」「換気しやすい窓の多い物件を探す」など、コロナ対策を念頭に活動している印象を持ちます。
今、必死で頑張っている美容室の取り組みを参考にして、アフターコロナ時代の美容室をオープンしていただきたいと思います。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。