実は美容室よりも激戦!ネイルサロンの特徴と生き残るためのポイント

公開日:2020/12/15  更新日:2020/12/15
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ネイルサロン 開業

先日、ネイルサロンの倒産が大きく報道されました。美容室の開業の際にも、空いているスペースでネイルサロンをはじめたいという相談を時々受けます。

 

そうしたネイルサロンの状況を不安視してか、ネイルサロンの質問を受けることも増えました。

 

ネイルサロンの倒産の要因については、報道にある通りです。競争が激化している。新型コロナで美容に関する支出が減っている。

 

そうした状況を招いた背景にはネイルサロン独自の特徴があるからでもあります。今回はネイルサロンの特徴と失敗しないためのポイントをお伝えします。

 

ネイルサロンのターゲットは狭い

ネイルサロンは、美容室とは違い”嗜好性”の強いサービスであるのは周知の事実です。

 

ホットペッパービューティーアカデミーが出している美容センサスによれば、ホットペッパーユーザーの約10%しかネイルサロンは利用しないのです。(過去1年間の利用率)※

 

嗜好性が強く、利用者も多くないネイルサロンです。コロナの影響で消費者が支出を抑える傾向が強まっていますので、不要不急のサービスとして大きな打撃を受けます。

 

ネイルサロンの失敗しないポイントは集客だと思います。誤解を恐れずに言えば、ネイルサロンはメインターゲットが決まっています。

 

つまり「比較的経済的に余裕があり美容への意識が高い人」です。

 

経済的に余裕がなければ、自分でネイルをします。美容への意識が低ければネイルまでにお金はかけません。ほとんどのネイルサロンがこの層を狙っているのです。

 

だから、様々な客層にアプローチできる美容室よりも競争が厳しいのです。このターゲットを意識すると3つのことに注意しなければなりません。

 

※ホットペッパービューティーアカデミー『ネイルサロン編/美容センサス2020年上期

 

技術

当然ですが技術がないサロンは固定客を増やせません。美容師に比べて、ネイリストの技術には差が大きい。それは資格がないことと関係があると思います。

 

美容師は国家資格です。相応の技術を有していると国から認められています。

 

当然、プロの中での技術差はあるにせよ、一定のレベルをクリアすることが前提になっています。

 

一方、ネイリストは違います。誰でもネイリストを名乗れます。

 

例えば「趣味の延長ではじめたネイルを、友だちにしてあげたら喜んでもらえた」という理由で開業する人もいます。

 

ネイル学校に通わなくても、独学で腕を磨きお客さまに支持される人もいます。

 

こうした技術の差に加えて、ターゲットになる顧客は美容への意識が高い女性です。わざわざお金をかけて通うサロンの技術には非常に敏感です。

 

ワンカラーの表面がボコボコしている、ジェルがすぐには剥がれてくる、リムーブが痛い、必要以上に爪を削られるなど、あらゆる面で技術を試されるのです。

 

デザイン

一方で、いくら技術が高くても、デザインが気に入ってもらえなければ失客します。

 

お客さまのテイストに合ったデザインを提供できないと満足度が下がります。それどころか「センスがない」と酷評さえされることもあるようです。

 

デザインは一概にネイリストに責任があるとも言えません。デザインは相性です。お客さま一人ひとりの好みにあわせることはプロであっても難しいでしょう。

 

だからこそ、プロモーションとして自分の作品を見せることは不可欠です。

 

定額制ネイルなどサンプルから選んでもらうのが好まれるのは、出来上がるイメージがすでに見えているからです。

 

また、万人受けするデザインを作るよりもテイストを絞って、そのテイストを気に入った人だけに来てもらうという戦い方もあります。

 

「フレンチ推しサロン」「リゾートテイストが得意」「アートに凝っている」など、このサロンはこのデザインが強い、というブランディングをしていく必要があるのです。

 

付加価値

セルフネイルをしないで、敢えてネイルサロンに通う人が求めているものは、技術とデザインだけではありません。

 

爪の専門家に、爪、あるいは手のメンテナンスをしてもらうという需要もあります。

 

データはありませんが、人気サロンでは、ハンドマッサージやパラフィンパックなどハンドケアメニューもよく動くと聞きます。

 

爪の健康診断をかねて来店する人もいます。ネイリストは爪の状態をみて「施術をお断りする」という判断もします。

 

爪が弱い人には爪の補強のために長さ出しを行う場合もあります。

 

一見サイドメニューのように見えるサービスに、消費者がネイルのプロに求める要素があるのです。

 

お客さまの期待に応えられるか

ネイルサロンの場合、利用者が少ない上、嗜好性が強く景気に左右される特徴があります。

 

また、利用者の層も美容感度の高い顧客が多く、厳しい評価にさらされます。

 

そうした環境で生き残るために、日々技術を磨き、得意なデザインを作って訴求していきましょう。

 

プロとしてお客さまの爪の状態を診断できる知識を身につけましょう。

 

これから開業を考えている場合、必要であればネイル学校などに通い体系的に学ぶことも選択肢としてあってもよいと思います。

 

ホットペッパーユーザーでさえ全体の10%しか利用しないくらい狭いターゲットを取り合います。

 

「とりあえず来てもらう」ではなく、わざわざキレイになるためにネイルサロンを探している人に「ここなら通いたいと思わせる」戦略を練らなければ勝てないのです。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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