儲かる計画を立てよう!簡単な収支シミュレーションの作り方
事業の目的は利益を出すことです。
どんなに素晴らしいコンセプトのサロンであっても、お客さまが来なかったら存続しません。
こだわりの内装や器具を揃えるために、お金を借りたとしても、返せなかったら潰れてしまいます。
事業計画書の核となるのは収支シミュレーションと言えます。事業計画書を作るときは、儲かるかどうかを真剣に考えなければなりません。
たしかに、事業計画書はあくまで計画。計画通りに物事が進むとは限りません。
しかし一方で、事業計画書がなければ、収支シミュレーションがなければ「ここで開業すべきか」という基準を持つことができません。
何度もコラムで書いてますが、あらためて収支シミュレーションの「手順」についてお伝えします。
目次
経費を考える。
利益は売上ー経費で計算できます。売上が経費を上回れば利益がでます。下回れば赤字です。
シミュレーションでも、想定される売上と経費をできるだけリアルに設定する必要があります。
重要なのは、売上と経費では経費のほうがリアルに設定できるという点です。なぜなら、経費はオーナーが決定できるからです。
「どのくらいの家賃の物件で開業するのか」「集客にいくらお金を使うのか」など、費用はサロンオーナーが決めることができる範囲が大きいのです。
したがって最初にすべきは、サロン運営にかかる費用を洗い出し、毎月いくらお金がでていくかを考えることになります。
固定費と変動比率を設定する。
経費は、固定費と変動費にわかれます。
固定費
まずは固定費に注目します。
固定費は、売上が0でも発生する費用です。美容室の場合、大きな固定費は家賃と人件費になります。
家賃は、希望エリアの物件を検索しておおよその金額をあてはめましょう。
人件費は、現在努めているサロンを参考に設定してみましょう。
変動費
一方の変動費は、売上によって費用が変わってくるため変動費と呼ばれています。
商品の仕入れや消耗品などは、売上が立たない場合には仕入れる必要がないので発生しません。
したがって、固定費は明確に金額で表すことができますが、変動費は率(売上に対する比率)で表します。
よく広告宣伝費も固定費に入れることがあります。今回は変動費に入れておきます。
雑費や交通費など費用は数えればきりがありませんので、まずはサロンの経営に直接かかわる費用を出して、それ以外は「その他経費」でまとめましょう。
- 商品の仕入れ
- 広告費
- 水道光熱費
- 消耗品費
- その他経費
次に、変動費として売上に対してどの程度の割合になるかを仮定してあてはめます。
変動費については、すでに店長などを経験していれば、自店を参考にすると、よりリアルな数字が見えてきます。
わからない場合には、上記画像の数字を使ってみてください。
損益分岐点を把握する。
経費がおおよそわかったら、次に売上を考えます。ここでの売上は損益分岐点のことです。
つまり、サロンを経営していく上で絶対に必要な売上になります。
目標利益を設定する。
ここで重要なのは<目標利益>を入れることです。
特に個人事業主の場合は、利益=自分の収入になりますから、現実的に生活に必要な費用を必要最低限の利益とみなすべきです。
それが目標利益になります。
生活費を見返してみて、自分が生活するにはいくら必要なのかを明らかにしましょう。
また、目標利益を考えるときには、融資の返済金も考慮する必要があります。
借入金の月々の返済額は、例えば、日本政策金融公庫のサイトで計算できます。ぜひ利用してみてください。
式にあてはめて計算する。
したがって、損益分岐点の式は以下のようになります。
経費と目標利益を使って、絶対に必要な売上を計算してみましょう。
難しく感じるのは、1-変動比率の部分かもしれません。
例えば、変動比率の合計が25%であれば、1-25%です。
25%は、0.25のことを言いますから1-0.25=0.75になります。
必要な客数を洗い出す。
損益分岐点は必要最低限の売上です。
客数を割り出す。
売上は客数×客単価と分解できます。
したがって、サロンの客単価を設定できれば、損益分岐点を達成するために必要な客数が算出できます。
例えば、売上100万円を達成するために必要な客数を求めるときに、客単価を8,000円に設定すると、
100万円 ÷ 8,000円 = 125人
125人の集客が必要という結論がでます。
不足している客数を割り出す。
必要客数の中で、見込み客がどれだけいるかを出してみれば、どのくらい不足するかが明らかになります。
見込み客は、比較的高い確率で来店してくれるお客さまを言います。
自分の指名客
独立しても自分のサロンに来てくれる可能性がたかい。自分の指名客を数えてみて、どの程度の人が来店してくれるかを計算してみましょう。
また、スタッフの見込み客も聞いてみましょう。
知り合いや家族
知り合いや家族は「付き合い」という視点から、オープン時には来てくれる可能性が高いので見込み客として判断してもよいと思います。
もちろん見込み客が実際に来るか来ないかは、誰にもわかりませんが、確率の高い順に考えてみましょう。
必要な客数から、見込み客数を引くと、不足分=新規客数が明確になります。
そして、その不足分をポータルサイトやSNSを使って埋めていくのが集客施策になります。
売上のイメージが湧くかを確認する。
これで、収支シミュレーションができました。
- この物件ならば、最低○○万円売上がないとうまくいかない。
- そのためには○○人の集客が必要。
ということが具体的に見えてきます。ここで大事なのは「この売上をイメージできるか」ということです。
一人で開業する場合には、自分の今の個人実績をもとにすれば現実的かどうかはある程度わかります。
特に複数のスタッフで開業する場合には、他のスタッフのポテンシャルや見込み客などがわからないと、判断が難しいのです。
この部分はこれまでの実績や経験が頼りになります。「この数字ならいけそうだ」と思える計画になっているかを確認しましょう。
収支シミュレーションは最初に行うこと
開業のプロセスで最初にやるべきなのは事業計画書の作成です。そして、事業計画書を作るときに最初にやるのは収支シミュレーションです。
サロンコンセプトやターゲット、メニューについて考えることももちろん大事です。
しかしその前に、「自分の作るサロンが利益を残すためには、どのくらいの経費に抑えて、どの程度の売上を作らなければならないのか」をしっかり考えるべきです。
おすすめは、いくつかパターンを作って比較すること。
家賃が30万円の場合、25万円の場合。スタイリストが一人の場合、二人の場合。その中で、一番現実的なプランを選んでいきます。
それだけでも物件探しに役立ちます。
そして、物件が見つかったら再びシミュレーションを行い、より現実的な計画にブラッシュアップしていきます。
一人で計算するのが苦手な人は、開業無料相談にご予約ください。サロンコンシェルジュがあなたの収支シミュレーションを作成いたします。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。