見込み客がいない場合でも融資を通すために知っておきたい、集客計画のポイント

公開日:2023/04/17  更新日:2023/04/17
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
融資 見込み客がいない場合

融資審査では、収支計画がとりわけ重要です。

 

最近は自己資金が少なくても、利益が出そうであれば審査が受かる傾向にあると思います。

 

もちろん自己資金はあったほうがいいです。

 

しかし、自己資金がたくさんあることと、利益が出せることは何の関係もないのです。

 

では、融資担当者は何をもって収支計画を評価するのでしょうか。

 

コラムで何度も述べているように支出の部分はオーナーが決定できるので、計画の数字に近づけることは可能です。

 

一方で、収益=売上はオーナーがコントロールできません。

 

したがって融資担当者は売上の見込みの確度(どの程度の確率で計画の売上を達成できるか)を重視します。

 

その点において、自分の指名客を引き継ぐことができることは、融資審査ではかなり有利に働きます。

 

そう聞くと「出店エリアが今の勤務地から離れていると、指名客が見込めないため難しいのではないか」と思ってしまいます。

 

今回は、見込み客が期待できない人へ、融資審査対策としての集客計画の立て方についてお話します。

 

過去のキャリアを棚卸する

美容師としてのキャリアが長く、色んな場所で働いた経験がある場合には、まず過去の実績を振り返りましょう。

 

スタイリストになったときは指名客がいない状態です。そこからどうやって売上を伸ばしてきたのかを棚卸しましょう。

 

どうやって新規客をとってきたか、どうやってリピートを増やしてきたかを言語化できるようにしましょう。そして、それをオープンするサロンでも再現できるようにしましょう。

 

例えば、私が担当したオーナーは、前勤務先ではホットペッパーの運用を担当していて、新規集客を5倍に増やした方がいました。

 

その方法は具体的でわかりやすく、自分のサロンでも実施できそうでした。

 

そういったノウハウを活かせば十分新規客を集めることができることを、計画書でアピールできます。

 

あるいは、「新規のお客さまのリピート率が8割を超える」という実績があるオーナーは、次回予約の取り方に工夫をしていたそうです。

 

このように、過去の実績と具体的な施策をセットで考えて、集客計画を作っていきましょう。

 

エリアマーケティングを実施する

未知のエリアで出店する場合には、そのエリアを調べることは大前提です。

 

過去の成功事例だけを語られても、融資担当者は納得しません。そこで、事前に調査を行っていることをアピールしましょう。

 

  • そのエリアの人口動態はどうなっているのか。
  • どこにどんな施設があって、どんな人が集まるのか。
  • 該当物件の場所やアクセスはどうか。

 

その調査の結果、自分の技術に価値を感じてもらえる顧客が多いという事実があればなおよいと思います。

 

コンセプトや狙っている客層が似ているサロンが少ないなど、事実を並べることも効果的です。

 

3C分析のようなフォームがあればなおわかりやすくまとめることができます。

 

以下、例です。

 

カスタマー:30代の子育て世帯が多い(近隣の小学校は1学年6クラスもある)

 

競合:子育て世代の30代女性に向けて、贅沢なリラクゼーションメニューを展開している。

 

サロン:もともと同世代(30代)の主婦のお客さまが得意だった。

忙しくて時間のない主婦層向けに、時短クイックメニュー(カットカラー)を訴求すると、差別化できると思う。

 

 

事前に行動する

最後に、行動で示します。事前に売上を上げるために営業活動ができるとなおよいでしょう。

 

私が担当したIターン開業をしたオーナーの場合、以下のような活動を行いました。

 

  •  そのエリアの美容室にお客さんとして実際に行ってみた。
  •  子どもが入園予定の保育園にも声をかけた。

 

Uターンで地元で開業するオーナーも、

 

  •  地元の知り合いに頼んで、色んな人に紹介をしてもらった。
  •  地元で経営しているサロンオーナーに話を聞きに行った。

 

など、自分ができることからコツコツと事前営業を行っていました。

 

こうした客数を増やすための行動は融資担当者にも評価されます。

 

まだ準備段階で、行動ができていない場合には、今後の行動を具体的に施策として書いておきましょう。

 

  • オープン2週間前から駅前で朝晩チラシを配る。
  • ホットペッパーは1ヶ月前から開始してポータルサイトで訴求する。

 

オープン前から積極的に営業活動するのは、オープンしてからお客さまが来るのをじっと待つ、というスタンスよりもはるかに熱意を感じます。

 

これはなにもIターン、Uターン開業に限ったことではありません。なぜなら来店見込みが高い顧客でも、オープンして必ずくるとは限らないからです。

 

まだオープンしていない段階でも、個人のLINEを使って、オープン後1ヶ月の予約が埋まっている状態を作り出す努力をしたオーナーもいらっしゃいました。

 

見込み客がいなくても十分融資担当者を説得できる

今働いているサロンから離れた場所で開業を検討している場合には、融資審査では必ず売上の見込み=集客の見込みを問われます。

 

その部分をクリアするためには、以下3つを実践しましょう。

 

1)これまでのキャリアから、集客を増やせるノウハウや技術があってそれを言語化できること。

 

2)出店エリアについて十分に調査をして、定量と定性で事実を提示すること。

 

3)売上を伸ばすために、計画の段階から具体的に行動していること。

 

本当は勤務地から近いところで開業したいけど、諸事情によりそれが難しい人も多くいます。

 

そういう場合でも、しっかり見込み客を作るための施策を考え、行動することで融資は通りやすくなります。

 

もちろん、ビューティガレージでは、集客施策についてもアドバイスいたします。ぜひ開業無料相談をご利用ください。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例