希望額が借りられない!? 日本政策金融公庫で“減額融資”されるワケと対策

公開日:2019/10/15  更新日:2019/11/15
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融資

サロンを開業するにあたって、日本政策金融公庫で借入を検討する際、覚えておいてほしいことがあります。

 

それは、融資結果は「借りられる」「借りられない」の二択ではない、ということです。

 

「1000万円の希望に対して、700万円を借入できた」ということが起こりえます。いわゆる“減額融資”です。

 

開業無料相談でもまれに、「希望金額を借りられなかった」という相談を受けることがあります。

 

詳細なデータはありませんが、「まったく借りられない」という結果の原因は、オーナー自身の信用情報に問題があるケースが多いように思います。

 

一方、希望金額には届かない減額のケースは、事業計画書に問題がある場合が多いと思います。

 

今回は、希望の融資金額がもらえなかったケースについて、その理由と対処法を考えていきましょう。

 

減額融資は事業計画書に無理がある

融資担当者から減額の提案を受けたときには、かならずその理由を説明されます。私が知っている限りでは、以下のような減額理由が挙げられます。

 

設備投資が大きすぎる

物件の大きさやスタッフの数に対して、内装費・美容器具代がかかり過ぎているケースです。

 

面談では担当者によって、内装費を坪数で割って坪単価を計算する場合もあります。高すぎると、理由を求められます。

 

運転資金が少ない

固定費を数か月支払えるだけの現金が不足しているケースです。

 

美容室での固定費は主に「家賃」「人件費」「広告費」です。たとえお客さまが0だったとしても、支払わなければいけない額を現金として持っていることが必要です。

 

収支計画が不十分

収支計画は個々の感覚でも書けてしまいます。開業ということで気合いも入っているため、かなり強めな予測を出してしまいがちですが、融資担当者は「なぜその売上を出せると予測したのか」という根拠を求めてきます。

 

融資担当者は、数多くの事業計画書をチェックしてきていますので、かれらの指摘は十分信頼できると思います。

 

金融のプロの眼から見て、「このままの計画で開業してしまったら、遅かれ早かれ苦しくなる可能性は高い」ということです。

 

減額の判断に対して不満を持つかもしれませんが、真摯に受け止めなければいけません。

 

指摘された部分を改善できるか

減額提案を受けた場合、指摘された部分を改善できるのか検討する必要があります。

 

設備投資が大きすぎる場合の対策

一番大きな内装費を削れるかどうかを考えます。デザイナーと話し合って、デザインで妥協できるポイントを見つけましょう。

 

クロークやカウンターなどを作らず、既製品に置き換えたり、残置のエアコンをそのまま使用したり、工夫次第で予算を削ることはできます。

 

美容器具に関しても、少し価格の安い商品にしたり、中古品を購入したりして費用を抑えることができます。

 

運転資金が少ない場合の対策

内装費や美容器具を削って、余ったお金を運転資金にのせる方法があります。また、親族にお願いして運転資金を増資するという手もあります。

 

運転資金の目的は固定費の支払いですから、人件費や広告費などを削ることによって、必要な運転資金の予算自体を減らすという考え方もあります。

 

収支計画が不十分な場合の対策

収支計画に関しては、数字の根拠を示す必要があります。

 

経費はサロン側でコントロールできますが、売上はお客さまの来店に依存するためコントロールできません。ということは、「見込み客」「リピート率」「単価」をどれだけ正確に読めるか、が課題になります。

 

売上予測に必要なのは実績と情報です。

 

① これまでの実績からの予測:固定客が何人いて何割来てもらえそうか、自分の新規リピート率は何割でどんな施策を打ってきたのか。

② 情報:そのエリアでの平均単価はどのくらいか、エリアでのホットペッパーの効果はどのくらいか。

 

これらを根拠に計画を作っていきましょう。

 

また、融資担当者は売上を見ているのではありません。営業利益を見ています。無理に大きな売上予測をしなくてもよいのです。

 

「借入金を返せるか」という視点で営業利益を意識して、現実的なプランを作っていきましょう。

 

安易なリースやローンは危険

指摘された部分を改善できれば、開業の可能性は高まります。もしくは、諦めずに満額をもらえるようにするために再挑戦することもできるでしょう。

 

しかし再挑戦した場合、融資決定まで物件契約を先延ばしできるかというと難しいと言わざるを得ません。

 

減額融資を提示された場合、時間をかけて再度満額の借入を目指すのではなく、足りない部分を別の資金調達で補う必要がでてきます。つまりローンやリースです。

 

ローンやリースはわかりやすく言えば、「必要な設備を代わりに買ってもらう」資金調達方法です。リース会社が買ってくれるので、初期投資を抑えることができます。

 

減額融資によって200万円不足したとき、リースができれば200万円を支払わずに美容器具を納品できます。

 

一方でリスクも生じます。リース代金は毎月支払っていく経費になります。すると、リース代金の支払いが増えるため営業利益が減る可能性があります。

 

最悪、そうした支払いによって赤字になってしまう場合もあります。

 

初期投資から経費へと変わっているだけで、投資金額が減るわけではないので注意が必要です。融資担当者が収支計画にも難ありと判断していれば、なおさら月々の経費が大きな負担になるでしょう。

 

まとめ:融資前には第三者のチェックがあるとベスト

減額融資は、「あなたの開業はもっと少ない資金で行ってください」と言われているのと同じです。万が一、減額になった場合には、上記を参考に対策を練っていきましょう。

 

減額融資を未然に防ぐには、融資審査前に相談に行くのもひとつの手です。日本政策金融公庫では事前相談を実施しており、審査前に計画なども相談できます。

 

そこでフィードバックをもらうことができれば、指摘された点を改善して面談に臨むことができます。

 

また、税理士やコンサルタントなど、第三者に意見を求めることも大事です。自分で立てた計画を客観的に評価してもらえれば、融資審査での確率は上がると思います。

 

もちろん、ビューティガレージでも事業計画書に関する無料相談を受け付けています。お気軽にご利用ください。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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