日本政策金融公庫の融資制度が変わった!新規開業資金の拡充と電子契約について

公開日:2024/04/12  更新日:2024/04/12
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日本政策金融公庫

2024年4月から、日本政策金融公庫は創業者向けの融資制度を変更しました。

 

結論から言うと、借入れの条件がよくなりました。もっと日本政策金融公庫を活用してくださいというメッセージだと思います。

 

今回の記事では、日本政策金融公庫の新制度「新規開業資金」についてポイントを解説します。

 

参考記事:『日本政策金融公庫で資金調達する3つのメリット

 

新規開業資金

まずは新規開業者向けの融資制度が、従来の新創業融資制度から、新規開業資金というものに変りました。厳密にいえば、新創業融資制度の内容が新規開業資金に組み込まれたとも言えます。

 

もともと新規開業者向けにいくつか制度があり、その中に新創業融資制度というものがありました。今回の変更では、新規開業資金に一本化された形です。

 

じっさいに、違いを見ていきます。以下の表をご覧ください。

 

新規開業資金 旧 新創業融資制度
融資限度額 7200万円
(うち運転資金4800万円)
3000万円
(うち運転資金1500万円)
自己資金要件 なし 総投資額の1/10以上の自己資金が必要
返済期間 設備資金 20年
運転資金 10年
設備資金 20年
運転資金 7年
据置期間 最大5年以内 設備最大2年以内

運転最大1年以内

 

融資限度額

まず、融資限度額が大きくなりました。2倍以上です。しかしながら、当然ですが、これだけの金額が借りられるというわけではありません。

 

美容室開業にかかる設備費用などを鑑みても、ここまで必要にはならないでしょう。あくまで様々な業種を想定しての融資限度額アップということだと認識しておきましょう。

 

自己資金要件

新創業融資制度では、自己資金案件が記載されていました。すなわち開業資金トータルにかかる自己資金の割合です。新創業融資制度では1/10以上という要件がありましたが、どうやら撤廃されています。

 

かといって、自己資金がなくても融資が通りやすくなったというわけではありません。

 

常々私たちが訴えているように総投資額の1/4あるいは1/5は確保して融資審査に臨んでほしいと思っています。

 

返済期間

注目すべきは運転資金です。新創業融資制度では最大7年でした。つまり設備資金と運転資金で返済期間が違っていました。

 

多くの開業者が設備資金と運転資金両方で借入れをします。

 

そのたびに、設備の資金は10年返済で組む一方、運転資金は7年返済になりました。同じ公庫からの返済なのに完済時期がずれていました。

 

今後は、両方を10年で組むことでオーナー側も返済計画を立てやすくなります。

 

据置期間

日本政策金融公庫では、オープン後間もない時期の返済負担を軽減するため、据置期間を設定し、元金の返済を遅らせることができます。

 

その期間が1~2年から最大5年まで伸びました。

 

美容室開業の場合だと、長くて1年の据置期間を設けるケースがほとんどで、5年になったからと言ってそこまで元金返済を据え置くことは想定できません。

 

しかし、お金を借りる側としては、据置期間が延びるのはかなりの安心材料になります。

 

参考:日本政策金融公庫「新規開業資金

 

無担保・無保証

この新規開業資金を利用いただける方は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方になります。

 

さらにその中で、これから開業する人、事業開始してから税務申告を2期終えてない人については、従来どおり無担保・無保証で日本政策金融公庫から借入れが可能です。

 

さらに、税務申告を2期終えてない方は、利率が一律で0.65%引き下げてもらえます。

 

また、女性の方、35歳未満の方、または55歳以上の方はさらに特別利率が適用されます。

 

参考:日本政策金融公庫「創業融資

 

電子契約

その他、新たな取り組みも始まりました。

 

ついに日本政策金融公庫も、オンラインでの契約に乗り出しました。融資決定後、これまで書面で取り交わしていた融資契約をウェブ上でできるようになりました。

 

現在は、東京・大阪の支店に限られていますが、今後各地域にも広がっていくのではないかと思います。

 

最大のメリットは電子化された契約書に電子署名を行うため、契約書類への記入・押印や収入印紙が不要な点です。

 

さらにスピーディーな契約締結ができることで着金スピードも早くなることが期待できます。

 

詳しくは日本政策金融公庫にお問い合わせください。

 

参考:日本政策金融公庫「日本公庫電子サービスのご案内

 

まとめ

2024年4月から始まった新制度についてポイントを解説してきました。借入れの条件が緩和されましたが、審査については従来通りです。

 

このコラムでも繰り返し述べている通り、融資には事業計画書・自己資金・信用情報が重要です。

 

日本政策金融機関は、開業者にお金を借りてほしいと思っています。したがって、事業計画書をしっかり作り、自己資金を貯め、これまでの生活で期日以内に支払いを行ってきている人であれば、受かる制度になっています。

 

参考記事:『融資に行く前に要チェック!審査の合否を左右する3つのポイント

 

準備をして確実に融資獲得につなげましょう。

 

事業計画書の書き方や自己資金に関するご相談はビューティガレージでお受けしております。ぜひ気軽にお問い合わせください。

 

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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