美容室開業に必要な初期費用『設備資金』と『運転資金』の知識まとめ
美容室を開業するにはさまざまな費用が掛かります。いったいいくら掛かるのか、資金調達をする前にしっかりと把握しておかなければなりません。
美容室の開業初期費用は、大きく『設備資金』と『運転資金』に分けられます。いったいどのような費用が含まれるのか、また何を基準にその額を決めるのか、その判断基準について説明します。
目次
設備資金
設備資金とは、美容室を営業する上で必ず必要な内外装工事費や機材の購入費用です。
◆店舗保証金
店舗保証金は敷金とも呼ばれ、借主が家賃を滞納した場合の担保金、借主が通常の使用を超えるような使用をしたことによる復旧費に充てられ、退去後は返還されるべきものです。
店舗保証金はエリアの特性、貸主の意向によってその額が大きく変動します。周辺に商業施設が多く、人気のエリアでは店舗保証金が家賃の10か月分という場合もあります。
開業資金の中でも大きな割合を占める可能性があるので、物件を選定する際には、必ずその金額が予算内であるかを確認しましょう。
◆内外装工事費
内外装工事費は大きく、「店舗設計デザイン費」と「施工費」に分けられます。美容室では、給排水や電気、ガス等が通常の住宅より大きな容量を必要とします。
以前美容室が入っていたような状態の良い物件は、もともとの設備をそのまま利用でき、費用を抑えることができます。
しかし、新築物件などのスケルトン状態の物件の場合、設備の大幅改修が必要になり工事金額が増えてしまいます。
また、設備のクオリティだけでなく、グレードでも大きく費用が変動します。費用を抑えて工事をしたいという場合は、居抜き物件を探すほうが得策です。
◆美容器具
セット椅子、シャンプー台、スチーマーなど、美容室を営業する上で必要な器具が含まれます。
内外装費同様、グレードによって費用が大きく変動するので、美容室の規模が決まったら、具体的に器具を選定し、業者に見積もりを出してもらうようにしましょう。
◆設備費
洗濯機やパソコン、冷蔵庫など、美容室の施術を行うときに使用する器具以外の設備のことを指します。設備費に関しても、美容室の規模が決まったら家電量販店などで見積もりを出してもらうようにしましょう。
運転資金
運転資金とは、設備資金とは異なり、形がなく、継続的に発生する費用のことです。
◆物件賃貸借契約における費用(保証金以外)
物件を借してもらう謝礼として支払う礼金、物件を紹介してくれた不動産業者に仲介料として支払う仲介手数料、前払い家賃などの保証金以外の費用が含まれます。
◆広告宣伝費
ホームページやチラシの作成費用、広告掲載費用が含まれます。設定した目標売り上げを達成するためにはどれだけの集客施策を打てばよいのか、検討しながら設定していきます。
◆人材採用費
お一人やご夫婦で営業する場合や、すでに従業員が決まっている場合を除いて発生する費用です。求人誌や求人サイトへの掲載費、人材紹介業者へ支払う費用が含まれます。
◆材料費
カラー剤やパーマ剤、シャンプー等の水物、パーマロッドや刷毛、クロス類などの消耗品が含まれます。これらも美容器具や設備費と同様、メーカーやディーラーによって金額もさまざまです。
過剰在庫にならないよう、在庫管理や発注体制もしっかり整えておく必要があります。
◆運転準備金
売り上げがなかった場合にも発生する固定費(人件費、家賃、光熱費など)については、3か月分は用意しておくようにしましょう。
◆その他諸経費
店内に飾る観葉植物、お客様が待っているあいだに読む雑誌などが含まれます。
まとめ
美容室はその場の売り上げがすぐに現金で回収できる“現金商売”であるため、相当な売り上げ不振にならなければ資金繰りに困ることはありません。
しかし、商品の受け取りの際に代金支払いを行わず、決められた期日までに後日支払いを行なう“買掛け”で材料を揃える場合や、人件費、家賃、税金など大きな支出もあります。
目の前にある現金の全てが使えるお金ではないということを肝に銘じ、お金の流れをしっかりと計画を立てながら開業初期費用も考えていきましょう。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。