事業計画書を作る前に見極めよう!利益を出すためのサロン規模と目標売上の設定
開業準備の手順として、一番にすべきことは事業計画書の作成です。
サロンのコンセプトやターゲットを決め、開業資金を算出し、収支シミュレーションを行います。
しかし、事業計画書を書く前に、ある程度決めておくことがあります。
それは、サロンの規模と目指すべき売上です。儲かるサロンにするためには、どの程度の大きさが適正かを見極める必要があります。
ここでいう規模とはハコの大きさだけでなく、スタッフの数も含みます。
最初に目標の利益が出せるかを検討しないと、物件を申込んだり、内装業者にレイアウトを依頼したりした後で「やっぱりここでの開業は厳しい」と気づくこともあります。
そうなると、せっかく事業計画書を作ったのに最初からやり直さなければなりません。
事業計画書を作る前に、ある程度儲かるために必要な売上を検討しておくことが大切なのです。
目次
自分が手にしたい利益額を明らかにする
理想のサロンを作っても、儲からなかったら意味がありません。儲け=営業利益を明確に設定することから、事業計画書の作成は始まると言えます。
いくら利益を出せば成功と言えるかは、オーナー次第です。「手持ちのお金が40万円くらいになればよい」と考える人もいれば、「毎月100万円以上の収入が欲しい」と考えるオーナーもいます。
私はよく開業相談で「いくら儲けたら成功といえますか」と聞きますが、はっきりと答える人は少ないです。
開業相談の段階では、開業することがゴールになってしまっているからです。
しかし「儲けたい額」=本当のゴールを明確にしないと目標売上が設定できません。売上の目標が設定できないと、どの規模のサロンを作るかがわからなくなります。
作りたいサロンのイメージとは別に、目標の利益額を決めるのが大切です。
利益は生活に照らして最低限は確保する
個人事業主の場合、営業利益がそのままオーナーの収入になります。
しかし、営業利益から融資ローンを返済していきます。また、国民保険や年金の支払いをしていきます。
自宅の家賃や生活費を賄う必要もあります。将来のために貯金しておきたい金額もあります。
生活の実情にあわせて最低限必要な利益はいくらかを考えましょう。
例えば「勤務先からもらっていた給与と同じ30万円でいい」となると、事業ローン10万円、家の家賃12万円、社会保険5万円、生活費5万円といった具合に想定する費用を積上げていくと、赤字になってしまう可能性もあります。
利益額は慎重に考えて決めるべきです。
損益分岐点を計算する
儲けたい金額を決めたら、自分が考えているサロン規模で実現できるかをざっくり計算していきます。ここでは具体例をもとに説明していきましょう。
オーナーは目標利益を60万円/月に設定しました。
大きさ:14坪(セット面4席 シャンプー2台)
固定費
・人件費:スタイリスト2人(50万円)
・家賃:20万円
・広告費:15万円
変動費率30%
損益分岐点は何度も紹介しています。おさらいしておきましょう。
損益分岐点=(利益+固定費)/(1-変動費率)
実際に損益分岐点を計算すると、(60万円+85万円)/(1-0.3) =207.1万円 つまりこのサロンの規模で利益を60万円をだすには200万円の売上が目標になるのです。
その目標は達成可能かを確認する
毎月60万円の利益を獲得するために、売上200万円を目標にすることになります。あとはこの数字が達成できそうな目標なのかを予想してみます。
見込み客から予測
オーナー自身の見込み客の売上が100万円見込める場合、残り100万円を二人のスタイリストに達成してもらうことになります。
スタイリスト1人あたり50万円であれば達成できるかもしれません。
オーナー自身の見込み客が小さい場合には、もっと広告費を出さなければならない可能性もあります。
平均単価から予測
もし単価が8000円だったとしたら、250人の集客が必要になります。25日営業であれば1日10人来店すればよいことになります。
オーナーを含めたスタイリスト3人であれば一人あたり3.3人のお客さまを施術することです。
これなら行けると思えば、事業計画書の作成に取り掛かるべきです。
もし厳しいかもしれないと思ったら、サロン規模を見直す必要があります。間違っても目標を変えないようにしましょう。
その際には、
・スタッフ人数を減らす。
・より安い家賃の物件を探す。(例えば3席2台の大きさにする)
など、色んな選択肢があります。とにかく儲けがでるかどうかを基準にサロンの規模を絞っていく必要があるのです。
「開業の夢」と「儲け」は両方大事
開業者はサロンをオープンさせることに注意が向きがちです。でも本当に大事なのはその後に「儲かるかどうか」です。
事業計画書を書き始めると、どうしても理想のサロンへの想いが高まっていきます。収支シミュレーションも強気で作ってしまいがちです。
だからこそ、まず事業計画書を作る前に、現実的な売上目標とサロン規模を設定しましょう。
目標を設定してから作る計画は、より慎重になりますし、第三者から見ても十分に納得がいくものができあがります。
「どんなサロンを作りたいか」と「いくら儲けたいか」どちらも答えられるようになってから、事業計画書を作り始めるのがよいでしょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。