限られたお金を効果的に使おう!売上を作るための経費という考え方
資金計画や収支計画を立てるときには、費用を決めます。物件取得費用、内装工事費、美容器具費、あるいは、家賃や人件費です。
こうした費用は投資という側面があります。なぜなら費用を使って売上を上げ利益を出すからです。
「利益=売上ー経費」と計算しますが、一番最初に発生するのは売上ではなく、経費なのです。
サロンづくりに使えるお金には制限があります。
したがって、限られた資金を効率よく使うことを意識しなければなりません。売上を生み出すモノにお金を使うべきです。
そこで今回は、経費の活用という視点で収支計画を考えてみましょう。
物件にかかる費用
物件は一度決まってしまうと、変更することができません。
したがって、家賃に見合うだけの売上を上げられるかがポイントになります。
一つの指標になるのは、売上における家賃比率です。美容室の場合は10%を目指せるかが目安です。
つまり家賃の10倍の売上を作ることができれば、物件を効率よく活用できると判断できます。
一人サロンで25万円の家賃であれば、250万円の売上を作ることができるか。おそらく厳しいのではないでしょうか。
一方、4席シャンプー2台のサロンでスタッフが3人いれば、250万円が達成できそうです。
席数を埋めることが前提になりますが、25万円の家賃でサロンを始めることが現実的になります。
自分のサロンがどれだけ売上を作れるかを逆算して家賃を決めることが大切です。
※参照
『判断基準を明確にしよう!物件選びでの事業計画書の活かし方』
内装・美容器具にかかる費用
内装費や美容器具費はサロンを作るときに発生する費用です。
しかし、だからといって日々の営業に無関係というわけではありません。
内装や美容器具は減価償却費として、毎月一定額を経費として計上します。例を見てみましょう。
開業に使った経費
内装費:660万円
美容器具:140万円
美容器具の耐用年数は5年と定められています。
減価償却費用を求める方法がありますが、ここでは単純に5年(60ヶ月)で割ってみます。すると美容器具の原価償却費用は2.3万円/月になります。
内装は15年です。同様に単純な計算をすると、3.6万円/月の費用が発生することになります。
これは月々6万円の内装と器具を使って営業をしているのと同等の意味を表します。
この費用はすでに支払っているため、実際に発生しないけれど会計上は経費になるのです。
つまり販管費に減価償却費が入るため、営業利益に影響を与えます。
したがって、利益を出すためには、減価償却費を考慮した売上計画を立てなければいけないのです。
人件費
以前記事にも書きましたが、美容室において売上に対する人件費率は40%〜50%にものもぼります。
スタッフを雇用するからには、人件費以上の売上を期待しなければなりません。
例えば、売上に対する人件費率を50%として、25万円の給与をもらうスタッフは、
250,000÷0.5 =500,000
50万円の売上を出せるかどうかが、採用のポイントになります。
一方で人件費は、スキルだけでなく、スタッフのモチベーションによっても売上を変える力を持っています。
例えば金銭的なインセンティブを導入することで、売上をさらに伸ばすことも考えられます。
インセンティブの増加分(追加の人件費)以上に売上を伸ばすことができれば、人件費率を下げることができます。
経費の大半を占める人材という資源を活用することができれば、サロンの利益を大きくできます。
※参照
『利益を残すには経費はいくらまで?比率から考える収支計画の作り方【前編】』
使ったお金で売上を生み出せるか
収支計画では売上から経費を引いて利益を計算します。しかし実際は、経費を使って売上を最大化するのです。
それゆえ、使うお金については「売上を作れるか」を意識しなければなりません。
家賃や人件費だけでなく、開業時に使う内装費や美容器具費についても、使った分以上の売上を出せるかを考えて額を決めましょう。
資金計画も収支計画も事業計画書の重要項目になります。
もし自分で計算するのが難しいならばぜひ開業無料相談にお問い合わせください。一緒に「お金の使い方」を考えましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。