【美容室開業のリアル】コロナの影響で開業スタイルは変わったのか?データでみるオーナーの戦略

公開日:2020/12/03  更新日:2020/12/03
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2020年も残すところ後1ヶ月です。今年は新型コロナウイルスの感染によって、私達の生活様式が大きく変化しました。

 

特に、新型コロナが収束するまでは経済活動は不透明であり、開業者にとってもコロナを意識してサロンをオープンさせなければいけません。

 

開業相談に来られる人からは「コロナ禍でも開業したい」という強い意志を感じますが、やはりコロナを無視するわけにはいきません。

 

サロンの開業サポートをしていると、開業パターンも少し変わってきたように感じます。

 

一つは居抜き物件での開業サポートが増えました。私が担当している案件だと少なくとも去年の2倍以上が、居抜き物件で開業しました。

 

もう一つは一人サロンが増えたことです。スタッフを雇わず、まずは自分だけで始めるケースです。

 

この変化が果たして本当なのか、2020年5月〜11月の開業無料相談のデータと2019年同時期のデータを比較してみました。

 

居抜き希望者は増えていない

母数は違いますが、開業希望者の中で居抜き物件で開業したいと答えている人の割当はどちらも10%前後でした。開業相談の時点では「居抜き物件」で開業したいと思うお客さまが増えているというわけではなさそうです。

 

 

 

ではなぜ開業サポートで居抜きが増えたのか。その理由を推測すると供給側の変化がありそうです。

 

つまり「居抜き物件が増えてきている」ということなんだろうと思います。

 

テナントを探していたら「たまたま居抜き物件が見つかった」という事例もありました。

 

居抜き物件という選択肢もありか」という質問をしてみたところ、開業サポートを受けているお客さまの約4割が「居抜きでもよい」と答えています。

 

詳細なデータはとっていませんが、オーナーの高齢化や業績の悪化からサロンを閉める件数も増えているようです。

 

居抜き物件の数が増えれば、開業者の関心も高まってくるのだと思います。

 

10坪以下で探している人が増えている

近年、小規模で開業するケースが増えてきています。特に今年は一人サロンを作りたいという相談が増えた気がします。

 

実際に開業相談でも2019年は「11坪~15坪」のサロンが多かったですが、今年は「10坪以下の物件」を探している人が多くなりました。

 

 

 

10坪だとセット面が3席、シャンプーが1台の規模です。明らかに一人サロンの流れが見て取れます。

 

コロナ禍のリスクを考えている

小さなサロンを作る背景には、やはり新型コロナウイルスがあると思われます。

 

私が相談を受けたお客さまにヒアリングしたところ「サロンの継続性」を気にしている方が多くいました。

 

新型コロナがまた広がったとき、サロンを維持できるかという視点に立つと、固定費をできるだけ抑えて経営してくべきだと考えているようです。

 

「まだコロナが落ち着いていない中では、まずは自分の売上でサロンを回していければ。」

 

あるお客さまはそうおっしゃっていました。その方は、今働いているサロンで緊急事態宣言によって客数が減った体験をしました。

 

その時にオーナーが資金繰りに奔走していたのを目の当たりにしたと言います。

 

不安要素が多い中で、最初からスタッフを数人抱えて高い家賃を支払うことは、かなりリスクが高いと判断しているのでしょう。

 

まとめ:オリジナルサロンを小さい規模で

2019年と比較すると、より小さく開業したいと考えている人が増えたと言えるでしょう。しかし一方で、まだまだ居抜き物件での開業希望者は多くありません。

 

これは興味深いと思います。

 

コロナ禍での開業では「サロンの継続性」がポイントになります。

 

苦しい状況の中でサロンを継続させていくためには、「運転資金」を多く確保することが一つの戦略になります。

 

ということはできるだけ設備資金にお金をかけず、現金として残しておく選択をします。その視点でいけば、居抜き物件という選択肢は理にかなっています。

 

しかし、実際はまだまだ多くの人がオリジナルサロンにこだわっているようです。そのかわり「規模を小さくする」という戦略を取ろうとしています。

 

規模を小さくすることで、固定費を抑え少ない売上でも利益を出していけます。

 

まずはリスクを最小限にして着実に利益を出し、新型コロナの収束が見えてきたら拡大していく。そのようなシナリオを描いています。

 

もちろん最初からスタッフを数名かかえて大きく出店しようとしている人もいます。

 

開業のスタイルには正解はありません。ただし、開業無料相談を見ている限りでは「小さく始める」傾向が続いていくと思います。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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