採用と集客は似ている?顧客にもスタイリストにも求められるサロンづくりのヒント
美容室の数は約25万件。従業美容師数は約53万人です。
単純に計算すると1店舗あたりのスタッフ数は約2人となります。
これだけでも美容師の採用は競争が激しいことがわかります。
こうした事情もあってか、スタッフを雇わなくても利益を出せる規模のサロンを作る傾向にあります。
一方で事業を拡大していくにはスタッフが必要になってきます。
小規模サロンではすぐに予約がいっぱいになり、顧客の取りこぼしも起きてしまいます。
予約が取れないサロンは指名客の失客リスクも高まります。
サポートをさせていただいているオーナーの多くが採用に悩んでいます。
求人がうまくいかず、2店舗目を断念したオーナーもいました。
今回はこうした厳しい状況にある採用の課題を解決するためのヒントとして、集客との比較でお話したいと思います。
※参照
BeaUTOPIA『美容室の店舗数が初の25万軒超え!従業美容師数は1万人増の53万3814人』
SALONスターター『【美容室開業のリアル】コロナの影響で開業スタイルは変わったのか?データでみるオーナーの戦略』
採用と集客は似ている
スタッフ集めに苦慮するオーナーの話を聞いてみると3つの課題があるようです。
・応募が来ない。
・欲しい人材が集まらない。
・採用しても定着しない(すぐやめる)。
じつはこうした悩みは集客の悩みに似ています。
・新規客が来ない。
・欲しいターゲット層が集まらない。
・来店しても定着しない(リピートならない)。
採用と集客は供給と需要の関係でもあります。
つまりスタイリストを増やさないと顧客を増やせないのです。
両方を獲得していかなければサロンは大きくなりません。
しかしながら、サロンオーナーは集客にはかなりの投資を行い、知恵を絞って様々な対策を練るのに、スタッフの採用に関しては集客ほど熱心に取り組んでいる人は少ないように感じます。
採用の課題は、集客の課題に似ていて、解決方法もある程度似ているのではないかと思います。
メディアの活用
新規集客を増やすにはポータルサイトのような専門メディアへの掲載が有効です。
ホットペッパービューティーや楽天ビューティーなどに掲載料を支払って、「美容室を探している顧客」に訴求をしていきます。
採用においても、リジョブやリクエストQJといった美容業界に特化した求人メディアの影響力は大きいと思います。
集客同様にこうしたメディアを積極的に活用していく必要があります。
媒体を使うもう一つのメリットは営業担当者のサポートです。様々なデータや事例を使って、求人のプロが一緒に考えてくれる点も大きいと思います。
効果検証
集客施策においては<訴求したクーポンの戻り>や<サイトページへの流入数>、<実際に来店したお客さまの定性的なデータ>などを分析して、訴求内容を変えてみたり、新しいサービスなどを追加したりして、ブラッシュアップします。
この点は採用でも同じです。
「どんな人が応募したのか」「求人情報のどの部分に興味を持ったのか」あるいは「なぜ採用を断られたのか、あるいは断念したのか」など、採用施策の結果を分析して、採用基準や募集要項を変えていかなければなりません。
どれだけ集客と同様に採用施策に関して効果検証をしているでしょうか。
求人広告を打つだけでなく、結果を踏まえて改善を行っていきましょう。
紹介
「指名客からの紹介客はリピートしやすい」と感じるオーナーも多いのではないでしょうか。
紹介される人は、紹介する人(指名客)によってサロンのイメージを刷り込まれています。
その状態で期待通りのサービスを受けると定着率が上がります。
サロンを信頼している人がサロンを紹介する。その人(指名客)を信頼している人がサロンに来る。この流れは心理的な安心をもたらします。
採用についても同様のことが言えます。採用にうまく行っているサロンは、以前働いていたサロンの仲間や後輩に声をかけています。
彼らは、そのオーナーをよく知っています。「どういう人物であるか」がある程度わかっているうえで働くため定着しやすいのだと思います。
また、たとえ直接一緒に仕事をしたことがなくても、仲間や後輩に、彼らの知り合いを紹介してもらうなど紹介の輪を広げることも重要です。
自分を知っている人のほうが、一緒に働くうえでの心理的なハードルが下がるのです。
まとめ:採用施策のヒントは集客にある
採用と集客の類似点を書いてきましたが、この2つには大きな違いもあります。
集客はすぐにサロンの売上に結びつくが、採用はコストの増加につながるという点です。
コストをかけて人を採用して、さらに人件費を払うと考えると、できるだけ採用コストを抑えたいと思ってしまいます。
集客に比べて採用に積極的になれない理由かもしれません。
採用の本来の目的はサロンの事業拡大であり、長期的な売上、利益の増加につなげることです。
その意味でも集客施策と同様に、お金と労力をかけて優れたスタッフを採用しなければなりません。
採用面接は、今のスタイリストの働き方を知る良い機会です。
たとえしばらく効果が出なかったとしても、リアルな情報を得られるという価値があります。
彼ら、彼女たちが「どういう視点で働く場所を探しているのか」「サロンに求めるものはなにか」など情報を集めてお客さまだけでなく、スタイリストにとっても魅力あるサロンを作っていってほしいと思います。
※参照
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●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。