売上が伸び悩んだときこそ冷静に!対策を考えるために必要なプロセス
開業してからずっと右肩上がりで成長してるサロンは珍しいと思います。
どこかで売上が下がったり、客数が減ったりすることがあります。
最近では、新型コロナウイルスの影響もあって、オープン後順調に売上を伸ばしてきたサロンの中には、初めて売上の減少を経験したという声もありました。
売上が下がったときには、対策を打っていく必要があります。
問題をそのまま放置してしまうと、浮上のきっかけを失う可能性もあるからです。
しかし、売上が悪くなると「集客を増やなければ」と焦って、やみくもに広告を打ったり、単価を下げたりする人も多いのではないでしょうか。
正しく対策を打つためには「売上の減少」を詳しく分析しなければなりません。
分析することは比較すること
「売上がすごく下がりました」「客数が減って困っています」という相談を受けることがあります。
しかし、オーナーが売上が下がったと感じたのは、何かと比較したからです。
売上が下がったという事実を確認するためには、比較すべき対象を見なければなりません。比較対象は2つです。
一つは、前年の同時期の売上との比較です。例えば2021年3月の売上と2020年3月の売上を比較します。
もう一つは、直近数ヶ月の平均売上との比較です。例えば21年3月の売上と、20年12月から21年2月までの3ヶ月の平均売上を比較します。
したがって「売上が下がった」という問題は、「昨年に比べて〇〇万円売上が減少している」と具体的に表現できます。
売上が下がったと思った場合には、まずは比較をして、どのくらい減少したのかを確認する必要があるのです。
売上を分解する
では、昨年同時期と比較して「売上が減少」していることを確認できたとしましょう。
次は、売上を分解して、より詳細にどこが悪かったのかを見に行きます。売上は色々な切り口で分解することができます。
その中でも、
売上 = 客数 × 客単価
がオーソドックスです。事業計画書を作成するときにもこの式を用います。
それ以外にも、売上は様々な形で分解ができます。
・売上 = 新規客の売上 + 常連客の売上
・売上 = 平日の売上 + 土日祝日の売上
・売上 = 午前の売上 + 午後の売上 + 夜の売上
・売上 = スタイリストAの売上 + スタイリストBの売上 + オーナーの売上
最初のステップとしては「客数 × 客単価」から比較することをおすすめします。
実際に数字を使って比較してみましょう。以下が、21年3月の売上と20年3月の売上の比較です。
21年3月の売上:200万円 = 客数272人 × 客単価7,353円
20年3月の売上:245万円 = 客数312人 × 客単価7,853円
20年に比べて、客数は40人、単価は500円減少しています。
どちらも減っていますが、客数の減少が大きな影響を及ぼしていそうです。
ただし、この分解だけではどこが悪いかわかりませんので、違う切り口を探します。
差の大きな切り口を発見する
減少の要因を見つけるには、売上を構成する要素を比較して、数字に大きな差が見られるものを探していく必要があります。
一方で、先述したように、売上は様々な要素に分解できるため、手当り次第に分析を行うのは大変です。
そこで重要になってくるのは、オーナーの直感や経験です。
つまりオーナーが日々のサロンワークで気になっていることをもとに、分解してみるのです。
例えば「今年は新規客の戻りが少ない気がする」と感じているならば、以下の要素で比較してみます。
21年3月の売上(200万円) = 新規売上(40万円)+2回目来店売上(25万円)+常連売上(135万円)
20年3月の売上(245万円) = 新規売上(44万円)+2回目来店売上(52万円)+常連売上(149万円)
新規客のリピート売上が27万円少ないことがわかりました。
売上減少の大きな要因は「新規客の次回戻りが少なくなっている」と考えられます。
もし、この要素でも大きな差を見つかられなければ、違う切り口を試してみます。
原因を考えて手を打つ
売上減少の要因に目星をつけたところで、原因について考えます。
大事なポイントは、サロン側の原因を見つけることです。
顧客の行動の変化ばかりを原因にあげると、打つ手はなくなります。
つまり売上減少の責任を顧客のせいにしないことです。
「新規客の2回目の来店が減っている」のであれば、様々な原因を考えてみます。
「次回予約をちゃんと案内できてないのかもしれない」「ステップアップカードを配布できていないかもしれない」「ホットペッパーでのフォローメールの内容が悪いのかもしれない」
そこから、対策として「次回予約特典を作る」という打ち手を思いつきます。
売上の減少から「新規客の2回目の来店」にまで迫って「割引を行って次回予約を取る」という打ち手を考える。こうしたプロセスが問題解決には不可欠なのです。
「売上が下がったから、ホットペッパーのプランを上げて客数を増やそう」では、こうした解決策にはたどり着きません。
まとめ:分析して真の原因を突き止めよう
「最近売上が伸びなくて困っています」という相談を受けるときに、よく媒体の話がでます。
「ホットペッパーのどのプランならお客さまが増えますか」や「ホットペッパー以外で効果のある媒体がありますか」などです。
もしも、新規客の減少が問題であればホットペッパーの掲載は正しい打ち手になるかもしれません。
しかし売上減少の主な要因が、常連客の単価が下がっていることだったら「常連客へのセットメニュー提案」のほうが効果が上がるかもしれません。
もちろん、絶対に効果の出る施策はありません。試行錯誤を繰り返しながら、自分のサロンに効果的な施策を見つけてくのです。
手を打つまでのプロセスが明確であれば、どこがまちがったかはわかりますし、振り返りをしながら、施策を変えることができます。
売上が伸びずに悩んでいる場合には、まず売上減少の要因を探すことをおすすめします。
※参照
売上を分析するには、POSシステムを活用しましょう。
『開業前に知りたい! サロン経営に不可欠なPOSシステムの基本と選び方』
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。