当社への開業相談において、美容師免許などの専門資格を取得していなくても美容サロンを開業したいと考えている方は非常に多いです。

しかし、美容業界には法律や規制が存在しており、免許なしでできることとできないことが明確に分けられています。

本記事では、資格なしで開業可能なサロンの種類や注意すべきポイントについて詳しく解説します。

美容師免許が必要な業務

まずは、美容師免許が必要な業務について押さえておきましょう。

美容師法では、髪を切る、パーマをかける、染めるといった業務は「美容行為」とみなされ、美容師免許が必須とされています。

また、これらの行為を無資格で行うと罰則が科される恐れがあります。

そのため美容師免許を持たない場合は、こうした美容行為を提供するサロンの開業は不可能です。

理美容室だけでなく、まつげエクステの施術やヘアセット・メイクアップも美容師免許が必要とされています。

これらの業務は「美容行為」と見なされるため、資格なしでは行えません。

美容行為は美容所でしかできず、美容所として認められるには管轄の保健所から営業許可を取得する必要があります。

参照記事：理容と美容は共存できる？重複開設のメリットと注意点

参照記事：忘れないで！ 美容室開業における保健所での手続きと提出書類まとめ

資格なしで開業できるサロンの種類

美容師免許を持っていなくても、以下のような業態のサロンであれば開業することが可能です。

ネイルサロン

ネイルケアやジェルネイル、アートを提供するサロンは、美容師免許がなくても開業できます。

ただし、美容室やアイラッシュサロンなどの美容所内で施術する場合は美容行為の一環として見られ、ネイリストにおいても美容師免許を求められるケースがあります。

どのように美容所と区画して施術をするか管轄の保健所に相談をしながら進行しましょう。

また、必須ではないですが業界で認知のある下記の資格を保有することで顧客に安心感を与え、サロンブランディングや集客活動に役に立ちます。

スクールを卒業してすぐに開業するネイリストも多いですが、ぜひ資格取得を検討しましょう。

JNECネイリスト技能検定試験

1997年よりスタートしており、ネイル技術に関する資格として最も歴史と実績がある試験です。

JNAジェルネイル技能検定試験

健全なジェルネイルの普及を目的に実施している検定試験です。

ネイルサロン衛生管理士

安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上に資することを目的とした資格制度です。

リラクゼーションサロン

ヘッドスパやボディケア、アロママッサージなどの施術を提供するリラクゼーションサロンも資格なしで開業可能です。

ただし、医療行為とみなされるような施術は法律で禁止されているため注意が必要です。

具体的には以下が該当します

• あん摩マッサージ指圧師の資格が必要な筋肉をほぐす行為
• 鍼灸（はり・きゅう）やカイロプラクティック
• 病気や怪我の治療を目的とした行為

リラクゼーションサロンでは、リラックスやストレス解消を目的とした施術（アロママッサージやリフレクソロジーなど）を提供することは可能ですが、治療目的の施術は法律違反となります。そのため、「医療効果を謳わない」「治療を目的としない」という線引きを明確にしておく必要があります。

またヘッドスパ専門店を開業する場合、施術者がシャンプー台でシャンプーをするならば美容所登録、及び美容師免許が必要なことにも注意しましょう。

エステティックサロン

フェイシャルケアや脱毛、スキンケアを提供するエステティックサロンは、美容師免許が不要です。

ただし、特定の機器を使用する場合や医療に該当する施術を行う場合は、別の資格や規制が適用されることがあります。

具体例として以下が挙げられます

• 高出力のレーザー脱毛機器（医療用機器）は、医師または医療従事者でなければ取り扱いができません。一方で、光脱毛（IPL脱毛）などの低出力機器であれば使用可能です。
• ピーリング剤（高濃度の化学薬品）を用いた施術は、医師の管理下で行う必要があります。
• その他、痩身目的の高周波や超音波機器についても、出力や使用条件によっては医療行為とみなされる場合があります。

エステティックサロンを開業する際には、使用する機器が医療用に該当しないことを事前に確認することが必要です。

また、「CIDESCO認定資格」等の各協会の認定エステティシャン資を取得すると、顧客からの信頼を高めることができます。

注意すべきポイント

資格なしで開業できるサロンには多くの可能性がありますが、以下の点には注意が必要です。

法律や規制の確認

業態によっては自治体や管轄機関の許可が必要な場合があります。特にリラクゼーションサロンやエステサロンでは、施術内容が医療行為とみなされないよう注意することが大切です。

衛生管理の徹底

ネイルサロンやリラクゼーションサロンでは、衛生管理が非常に重要です。

不適切な器具の消毒や感染症対策が不十分だと、トラブルやクレームにつながるだけでなく、最悪の場合は営業停止になる可能性もあります。

信頼性の確保

資格が不要な業態であっても、顧客に信頼されるためには、専門の講習を受けたり、資格を取得したりする努力が必要です。

これにより、競合他社との差別化が図れます。

集客方法の工夫

国家資格や民間の認定資格がない場合、一般的に信頼度が低いと感じられることもあります。

SNSやホームページを活用し、施術の実績やビフォーアフターの写真、お客様の声を積極的に発信することで信頼性を高めることができます。

開業前に準備すべきこと

資格なしでサロンを開業する場合でも、しっかりと準備を進めることが成功への鍵です。

ビジネスプランの作成

開業後の収益モデルやターゲット顧客、提供するサービス内容を明確にし、計画を立てましょう。

必要な設備や備品の用意

ネイルやリラクゼーション、エステの各業態に応じた設備を揃え、快適な施術環境を整えることが重要です。

適切な保険への加入

万が一のトラブルに備え、賠償責任保険や火災保険などに加入しておくと安心です。

美容サロン向けの保険はこちら：サロン保険net

顧客管理のシステム導入

予約管理や顧客データの保存がスムーズに行えるシステムを導入することで、効率的な運営が可能になります。

参照記事：美容室開業の完全ガイド｜流れ、費用、手続きから成功の秘訣まで

参照記事：美容室開業の攻略ガイド　成功のポイントを簡単解説

まとめ

美容師免許がなくても開業できるサロンの種類は多岐にわたりますが、それぞれに特有の法律や規制、注意点が存在します。

信頼性を高める努力を怠らず、しっかりとした準備を行うことで、成功への道が開けるでしょう。

開業を目指す皆さんが安心してスタートできるよう、本記事を参考にぜひ計画を進めてください！

参照記事：旧姓のままでもいいの？美容師免許証の再交付まとめ

参照記事：開業の落とし穴？管理美容師について調べてみた

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●文／コンシェルジュチーム：野呂