失敗から学ぶ!少人数美容室開業で絶対に避けること3選

美容室の開業には夢と希望が溢れていますが、現実には厳しい側面も存在します。
長年の夢であった独立開業を果たした美容師の中で、準備不足や経営戦略の甘さから失敗してしまうケースも少なくありません。
帝国データバンクによると2024年度(2024年4月~25年3月)に発生した美容業(美容室)の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、2月までに197件発生し過去最多を更新したそうです。
帝国データバンク記事:「美容室」の倒産、2024年度は過去最多 直面する「三重苦」
こちらの記事を見ると美容業界自体が廃れているようにミスリードしそうですが、実際は美容市場は年々増加しておりますので競争激化の結果と捉えるべきでしょう。
参照記事:美容室が大量倒産の危機!?サロンコンシェルジュの見解
これらの現状を踏まえ、美容室開業を成功させるためには、綿密な準備と戦略が不可欠です。
この記事では、美容師が陥りやすい失敗例と、それを回避するための具体的な対策を解説します。
目次
資金計画の甘さ:美容室開業資金ショートの危険性
美容師Aさんの失敗例
「800万円の貯蓄を元に自己資金だけで美容室開業を目指したものの、初期費用の見積もりが甘く、開業直前に資金が不足。慌てて融資を申し込むも、リスク管理不足や初期費用の高さから融資額が減額され、オープン予定日の遅延や内装の質を落とさざるを得ない状況に陥りました。」
解決策
美容室開業資金計画の徹底:スピードと正確性の両立
内装、設備、運転資金の各項目について、必須のもの、妥協できるもの、後回しにできるものを事前に明確にすることが重要です。
美容室の施工は専門的な要素が強いので実績が豊富な業者や、担当者と密に連絡が取れる業者を物件を決める前から探しましょう。
先に内装業者を選定することでスムーズな見積もり取得と、物件取得後の迅速な工事が可能です。
また融資実行後の営業準備において不測の費用がかかることも多くあります。
融資前の段階では高い方と安い方で悩む場合に「高い方」で見積もっておくと無難です。
物件取得の判断を迅速に行いつつ、予算オーバーを防ぐことができます。
開業後、すぐに黒字化するとは限りません。少なくとも経費3ヶ月分の運転資金を確保しておきましょう。
開業後の資金繰りの心配を減らすことが出来ます。
参照記事:オープン時に残しておきたいキャッシュはいくらが妥当?注意しておきたい運転資金についての考え方
美容室運営リスク管理の徹底
美容室運営におけるリスク管理は、単に経費を削減したり運転資金を確保したりするだけでは不十分です。
売上見込みを楽観的に捉えることは、予期せぬ落とし穴に繋がる可能性があります。
具体的なリスクと対策
- 売上予測の甘さ:
- 市場調査や競合分析をせず、過去の経験や希望的観測に基づいて売上を予測すると、実際の売上と大きくかけ離れる恐れがあります。
- 対策:綿密な市場調査を行い、競合店の動向や地域のニーズを把握しましょう。複数のシナリオを想定した売上予測を立て、最悪のケースにも備えることが重要です。
- 顧客層の変化:
- 地域の人口構成の変化や顧客のニーズの変化に対応できなければ、顧客離れが進む可能性があります。
- 対策:定期的に顧客アンケートを実施し、顧客ニーズを把握しましょう。経営者になってからも新しいトレンドや技術を積極的に取り入れ、顧客の期待に応えるサービスを提供することが重要です。
パートナーシップの落とし穴:美容室共同経営の注意点
美容師Bさんの失敗例
「パートナースタイリストと共同経営の形で美容室開業をしたものの、経営方針や役割分担、資金を巡って対立し、最終的に一人でサロンを経営することになり、赤字に転落しました。」
解決策
美容室開業における合同会社の設立
美容室の共同経営は、互いの強みを活かし、事業を拡大する上で有効な手段となり得ます。
しかし、その成功は、事前の準備と相互の理解に大きく左右されます。
特に、金銭が絡む共同経営においては、後々のトラブルを避けるために、明確なルールを定めることが不可欠です。
共同経営を行う場合は、合同会社を設立し、経営方針や役割分担、利益分配などを明確にすることをおすすめします。
第三者の専門家(弁護士、税理士など)に相談し、事前に契約書を作成することも有効です。
契約書は、以下の項目を明確にすると良いでしょう。
- 出資額と出資比率:それぞれの出資額と、それに応じた会社の持ち分を明記します
- 役割分担と責任範囲:各経営者の役割と責任範囲を明確にし、権限と義務を定めます
- 意思決定の方法:会社の重要事項に関する意思決定の方法(合意、多数決など)を定めます
- 利益分配の方法:利益分配の基準や方法(出資比率、貢献度など)を定めます
- 経営方針の決定方法:経営方針の決定方法や、変更する場合のルールを明確にします
- トラブル発生時の対応:経営者間の意見対立やトラブル発生時の対応方法を定めます
- 契約解除の条件:契約解除の条件や、解除時の財産分与について定めます
これらの項目を明確にすることで、共同経営におけるリスクを最小限に抑え、円滑な事業運営を可能にします。
参照記事:【サロンの法人化】株式会社 vs. 合同会社、選ぶ決め手は?
場所選びと集客戦略:美容室開業の成功を左右する重要ポイント
美容師Cさんの失敗例
「独立を決めた理由が以前のサロンと異なるコンセプトにしたかったのに、以前勤めていた美容室の顧客層をそのまま引き継げると考え近隣エリアで開業して矛盾が生じ、客単価が伸び悩むという状況に陥りました。また、以前のサロンのオーナーと円満に退職できなかったため、顧客への圧力や風評被害が生じ、集客に悪影響を及ぼしました。」
解決策
美容室開業におけるターゲット層の明確化と立地選定
美容室開業におけるターゲット層の明確化と立地選定は、成功を左右する重要な要素です。
勤めていたサロンの顧客層と、理想のサロンのターゲット層が大きく異なる場合、理想と現実のバランスを取ることは容易ではありません。
理想と現実のバランス
- 理想を追い求めすぎると、既存の顧客が離れてしまう恐れがあります。
- 顧客を追い求めすぎると、理想のサロンからかけ離れてしまう恐れがあります。
このようなジレンマに陥った場合、思い切って理想のターゲット層に焦点を当て、その層が集まるエリアを選ぶことも一つの選択肢です。
顧客は開業祝的な意味合いで1度は来てくれても、アクセスの問題や居心地等の理由で、勤めていたサロンや他店へ失客してまうことも多くあるためです。
美容室開業における円満な退職と関係構築
美容室開業における円満な退職と関係構築は、今後のキャリアを左右する重要な要素です。
感情的な対立を避け、冷静な判断と行動を心がけましょう。
退職交渉の準備
- 退職理由の明確化
- 感情的な理由ではなく、キャリアアップや独立など、前向きな理由を整理しましょう。
- 退職時期や引き継ぎ計画など、具体的な提案を用意しましょう。
- 証拠の収集
- もし、ハラスメントや不当な扱いを受けている場合は、証拠(LINEのスクショやメール、録音など)を収集しましょう。
- 労働基準法など、自身の権利に関する情報を集めましょう。
- 第三者への相談
- 信頼できる友人や家族、弁護士など、第三者に相談し、客観的な意見を聞きましょう。
- 労働基準監督署や弁護士会など、専門機関への相談も検討しましょう。
退職交渉の進め方
- 冷静な態度
- 感情的にならず、冷静に話し合いましょう。
- 相手の意見にも耳を傾け、建設的な対話を心がけましょう。
- 書面での合意
- 退職条件(退職日、引き継ぎ内容、競業避止義務など)を書面に残し、双方で合意しましょう。
- 個人店であったとしても退職届や合意書など、正式な書類を作成しましょう。
退職後の関係構築
- 顧客への配慮:
- 顧客に対しての自分のサロンの告知は立場や契約、義理人情に基づき円満に遂行しましょう。
- 例え劣悪な環境が原因で独立に至った場合でも、以前のサロンへの批判や悪評は避けましょう。
- 業界内での評判:
- 美容業界は狭いので、良くも悪くも評判はすぐに知れ渡ります。誰に対しても誠実な行動を心がけましょう。
- 新たな関係構築:
- 以前のサロンとの関係に捉われず、新たな顧客や業界関係者との関係構築に注力しましょう。
重要なポイント
- 自身の権利を守りつつ、冷静な交渉を心がける。
- 感情的な対立を避け、客観的な視点を保つ。
- 長期的なキャリアを見据え、自身のサロンの成功に集中する。
これらの点を踏まえ、円満な退職と関係構築を目指しましょう。
まとめ
美容室開業は、綿密な準備と経営戦略が不可欠です。
美容室開業を検討している美容師の皆様が、この記事を参考に、理想のサロンを実現できることを願っています。
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●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。