集客手段を決める前にすべきこと!エリアマーケティングの重要性について

公開日:2021/09/06  更新日:2021/09/06
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エリアマーケティング

今や美容室の集客方法の定番といえばホットペッパーです。集客効果の面ではおそらく他の媒体よりも高いのだと思います。

 

また、最近はGoogle Mapに掲載すれば認知度が上がるという話も聞きます。

 

しかし「無条件にホットペッパーに載せておけば来る」とも言えません。「地図に載っていれば認知度が上がる」とも言えません。

 

集客施策を考える時には、手段の前に、エリアマーケティングをしっかり行うことが大切です。

 

出店エリアの特性を調べて、ターゲットを選定して、訴求メニューを決めて、はじめてホットペッパーやGoogleの集客手段が活きてきます。

 

お客さまのサロン探し

ホットペッパービューティーアカデミーは定期的に『美容センサス』というレポートを発表しています。その資料をみると、消費者のサロン利用について示唆的なデータがあります。

 

調査トピックス/美容センサス2021年上期

 

「もっともよく利用するサロンの立地」という項目では、自宅近くにあるサロンが56%、通勤・通学圏内にあるサロン22.1%。約7割の人が自分の生活範囲、通勤・通学範囲のサロンを選んでいます。

 

加工 サロンデータ

 

「現在利用しているサロンのきっかけ」については、「友人・知人の口コミ・おすすめを聞いて」25.9%、「予約サイト・口コミサイト」34.1%に次いで「サロンを街で見かけて」が15.9%と3位に入っています。

サロン きっかけ

 

このお客様の心理を考えると「出店エリア」がとても重要であることがわかります。

 

エリアマーケティング

出店場所は消費者の認知、利用に大きな影響を及ぼすため、出店エリアの情報を集めることは大切です。

 

出店エリアの特徴を踏まえて、マーケティングを行うことをエリアマーケティングと呼びます。

 

では出店エリアのどんな情報を調べればよいのでしょう。

 

人口動態

エリアにどんな人がどれだけ住んでいるか、あるいは働いているかを調べます。これは住民基本台帳や市のホームページなど公的機関から入手することが可能です。

 

あるいは不動産会社などからも、そのエリアの特性を詳細に聞くことができます。

 

例えば「最近30代のファミリー層が増えている」とか「将来駅南に大きなショッピングモールができる予定だ」など、そのエリアを商売にしている事業者に聞くことも有益です。

 

人通り

実際にそのエリアを歩いてみて、実際にどんな人がいるか、どんな施設に人が集まるかを調べます。朝昼晩、あるいは土日と平日など、様々な日時で数回実施することで、特徴が見えてきます。

 

どの道に、あるいはどの施設に人が集まるかも観察しておくと、より実態に即した情報が得られます。道を歩くだけでなく、施設に入ってみたり、カフェを利用したり、施設に停まっている自転車などを見たりするのも効果的です。

 

競合サロン

ポータルサイトやホームページで同エリアでのサロンについて調べることも可能です。

 

ここでは「どんなお客さまが利用しているのか」「どのような訴求をしているのか」「価格帯はどうか」を調べてみます。

 

もちろんサロンの規模や価格によって異なりますので、自分の作ろうとするサロンに近いサロンをベンチマークすることは大切です。

 

ターゲットを選定する

エリアの情報を使って、ターゲットを絞り、サロンをどうやって訴求していくかを考えていきます。ここがエリアマーケティングの醍醐味です。

 

得られた情報から仮説を立てていく作業になります。ここでは少し例を用いて説明します。

 

エリア情報から推定

エリアの情報からターゲットにする層を絞っていきます。あるエリアで以下のような情報が得られたとします。

 

・1~2人世帯が多い

・平日の昼間人口が少ない

・平均所得も高い

 

ここから、以下のような仮説を立ててみましょう。

 

・都心に働きに出ている人が多いのではないか。

・まだ子どもがいないため、自分に投資できる金額もあるのではないか。

・仕事帰りにサロンが空いていたら、立ち寄ってくれる可能性があるのではないか。

 

自分のお客さまの情報から推定

同エリアですでに働いている場合には、自分の指名客からの情報も有益です。

 

・バリバリ働いている人が多い。(ストレス)

・自分へのご褒美としてサロンを利用する需要がある。

・平日有給をつかって来店するお客さまも多い。

・年齢が上がることでな髪質の変化が気になっている。

 

こうした情報からウリになりそうなメニューを考えます。

 

・リラクゼーションメニュー

・髪質改善・頭皮改善メニュー 

 

競合サロンから推定

今度は競合サロンの情報から、自分のサロンで差別化できそうなポイントを探します。以下が、競合サロンの情報です。

 

・価格は比較的安め(自分のサロンと比較して)

・19時が最終受付

・近くに住んでいる50代以降がターゲット(口コミやメニューから)

 

そうした情報から、「カット・カラーを訴求している。白髪染めが多く出ているようだ」と推測します。

 

そこから「スパやトリートメントで差別化できるのではないか」と仮説を立てます。

 

このようにエリアの情報を集めて、仮説を立てて、ターゲットイメージを固めていきます。このケースでは最終的に、以下のターゲットとコンセプトに決めました。

 

「都心に働きに出る20代後半~30代女性に、仕事帰りのリラックスタイムを提供する最終受付20時の美容室」

 

集客手段に反映させる

ターゲットが設定できて初めて集客手段を考えます。

 

しっかりターゲットとセールスポイントを設定できれば、ホットペッパーやホームページに訴求できるポイントを入れることができます。

 

「エリア名」

「ウリのメニュー」

「最終受付時間」

「リラクゼーション」

 

オープン後は集客効果を測定して、修正していくことも忘れないようにします。

 

実際にエリアマーケティングで組み立てた集客施策は仮説です。自分の仮説があっていたのかを確認する作業は欠かせません。

 

まとめ

とりあえず広告を出すのではなく「誰にどういうメニューを訴求するか」を考えるのが重要です。

 

意図をもって掲載することで、うまくいかなかったときの原因分析にも役に立ちます。そのエリアで商売を行うためには、そのエリアの情報をしっかり集めておく必要があるのです。

 

商圏分析や競合分析を行うことによって、

 

・ターゲットのボリュームが少なかった。

・競合が同じメニューを低価格で訴求していた。

・人通りのない場所だった。

 

といった失敗を防ぐことができます。

 

出店してしまえば、お客様が来ないからと言って店舗を移動するのはほぼ不可能です。

 

だからこそ、出店前にはエリアマーケティングをしっかり行い「お客さまが来ない」リスクを減らす努力をしましょう。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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