【美容室開業のリアル】新型コロナウイルスの感染拡大は開業者にどんな影響を与えたか?

公開日:2021/10/14  更新日:2021/10/14
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美容室 開業

2021年10月時点、新型コロナウイルスの感染者は減少傾向にあります。ワクチン接種もだいぶ進みました。

 

少しずつ収束に向かっているように見える一方、冬の再拡大も懸念されています。

 

不透明な状況は続く中でも、開業希望者は増えています。新型コロナウイルスが広がる前に比べて、開業相談の問い合わせは1.3倍ほどになっています。

 

今年も、去年に引き続き、私が開業相談を行ったお客さまにヒアリングを行いました。72件の開業相談での話からコロナ禍が開業に与えた影響について考えてみます。

 

開業するにあたってコロナを意識したか

開業するにあたって、新型コロナウイルスの影響を意識したかについて質問しました。すると、コロナについて意識したと回答したのは28人(約39%)でした。

 

美容室 開業 コロナ

 

28人のうち19人がコロナをきっかけに開業を考えるようになったとのこと。

 

この19人はコロナがなければ、開業をしなかったと考えると、開業者が増えたのは「コロナきっかけで開業する人」が増えたことが要因とも言えます。

 

その他では以下のような回答がありました。

 

「コロナがあるので、感染症対策が取れるよう広々としたサロンにする」

 

「規模を少し小さくして、固定費を抑えようと思う」

 

「新宿で開業しようと思っていたが、京王線沿線で探すことにした」

 

コロナを意識して、開業の内容を変えるようになったようです。

 

コロナについて意識していないと回答したのは44人(約61%)です。彼らは、コロナにかかわらず、もともと、いつか開業をしたいと思っていました。

 

コロナ禍でも自身の売上が落ちていないため、希望の場所で、希望の大きさで開業をすることに躊躇していません。

 

実際に、新型コロナウイルスの感染拡大によって売上が減った美容室もある一方、逆に客数が伸びたサロンもあります。働いている環境も大きいのではないかと思います。

 

コロナきっかけの開業の具体的な内容

次にコロナをきっかけに開業することを決めた人たちについて、具体的に見ていきます。

 

「開業のきっかけ」には大きくわけて3つありました。

 

1.自身の心情の変化、2.お客さまからの声、そして3.サロン環境の変化です。

 

美容室 開業 きっかけ

 

一番多かったのは自身の心情の変化でした。(10人)

 

「コロナ禍で、これからの人生について考えるようになった。」

「暗い話題が多くて、何か状況を変えたかった。」

 

「新しいことにチャレンジするよい機会だと思った。」

 

新型コロナウイルス感染拡大で、自粛を余儀なくされる中、自分と向き合う時間が増えたのが大きかったのかもしれません。

 

次に多かったのは「お客さまからの声」です(5人)。

 

ある開業希望者のエピソードです。

 

感染対策をする中、サロンに来てくれた指名客のお客さま。静かに黙々と施術をしていると、隣では別のお客さまと別のスタイリストが話をしている。

 

指名のお客さまが不快な顔をしていたのがわかりました。

 

帰り際、指名のお客さまに「○○さんには施術して欲しいけど、このサロンだと感染が不安。独立しないの?」と言われたそうです。

 

美容ビジネスは人につきます。お客さまからの後押しは、大きなきっかけになるのは間違いないと思います。

 

最後に、サロンの環境の変化です(4人)。

 

4人のうち、2人はサロンの閉店が決まったケースでした。コロナで売上が厳しくなったという理由のようです。

 

また、給与や労働時間を減らされたことにより、独立を決意した人もいました。

 

もう一人は、サロンの感染症対策に不満を持ち、離職を決意したそうです。

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、自分、顧客、そしてサロンに大きく影響を与えているのがリアルにわかります。

 

開業時期をずらした人

最後に、コロナを意識した人(28人)の中で、開業を1年ずらした人が数名いました。

 

本来は2020年に開業を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、取りやめていた人たちです。

 

彼らは、親族や友達から「今はやめたほうがいいのでは」と反対されたと言います。

 

実際、様子を見ることで、コロナ禍でも「自分の指名客が減っていない」「単価があがった」など、かえって独立の自信がついたという人もいました。

 

ウィズコロナの生活にシフトしたこと、ワクチン接種が進んだことなど、去年よりも、将来の見通しがたったという理由で、開業を決断した人もいます。

 

まとめ

開業相談を受けた72人のうち、26%(19人)が新型コロナウイルスの感染とコロナ禍での生活の変化によって開業をしようと決めています。

 

普通に開業する人達に加えて、コロナきっかけで開業する人が増えたことで、トータルで開業希望者が増えたと言えます。

 

また、長引く新型コロナの影響で生活の変容も起きました。

 

消費者の行動パターンや衛生意識も変わりました。

 

働いているサロンの状況も変わりました。そして、スタイリスト自身も自分と向き合う時間が増えました。

 

コロナ禍でも新規開業の件数が増えているのは、どちらかと言えば当然の結果なのかもしれません。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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