希望融資額が多い場合にはあり得る!民間金融機関からの借入れ「保証付き融資」についての解説

公開日:2021/10/28  更新日:2021/10/28
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銀行 融資

多くの開業者が資金調達の手段として利用するのは、日本政策金融公庫です。政府系の金融機関であり、開業者に対して無担保・無保証で融資を行っています。

 

一方で、民間金融機関からの借入れを考えている人もいます。銀行からの融資では行政がサポートしてくれる仕組みがあり、いわゆる制度融資を使って資金を調達します。

 

制度融資とは、銀行と、信用保証協会と自治体が3者で協力して、開業者に融資を行う方法です。くわしくは『開業者も低金利で利用可能! 地方自治体が行う<制度融資>の仕組み』を参考にしてください。

 

今回は、もう一つ、制度融資ではない方法で借り入れを行う場合について解説します。

 

プロパー融資と保証付き融資

民間金融機関からの借入れは大きく2つに分けることができます。プロパー融資保証付き融資です。

 

プロパー融資は、銀行が直接、開業者にお金を貸すことです。保証付き融資は、信用保証協会の保証を条件に、開業者にお金をかすことです。

 

二つの大きな違いは「開業者が返済できなくなった時のリスク」です。

 

プロパー融資はそのリスクを民間の銀行が負います。

 

したがって、審査が厳しく、原則、信用度の高い事業者しか利用できません。

 

方で、プロパー融資の場合、金利が低く、融資限度額もありません。低金利で必要な金額を必要なだけ調達できるというメリットがあります。

 

そのため、信用の高い企業であればこのメリットを享受できます。

 

しかし、開業者の場合は、実績がないため信用がありません。返済できなくなるリスクが高いと判断されます。したがって、返済ができなくなった時の担保や保証を提示できない限り、開業者がプロパー融資に進めることはできません。

 

多くの民間金融機関は、開業者に対して、「プロパー融資はできないが、『保証付き融資』なら利用できる」と案内します。

 

保証付き融資は「開業者が返済できなくなった時のリスク」を信用保証協会が負ってくれるため、銀行が回収できなくなる心配なくなり積極的に融資を行えるのです。

 

信用保証協会とは

信用保証協会とはどのような組織でしょうか。

 

信用保証協会は信用保証協会法によって設立される公的機関です。全国47都道府県にある地域密着型の組織です。

 

中小事業者が民間金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証することで、中小企業の資金繰りを助ける役割を担います。

 

民間銀行からの融資の場合、信用保証協会が事業者の保証人になってくれます。万が一、事業者の返済が滞ったら、信用保証協会が立て替えてくれます。

 

金融機関側は、信用保証協会からの保証を得られれば事業者に融資を行います。事業者は、保証人になってもらう代わりに、信用保証協会に対して保証料を支払います。

 

日本政策金融公庫と同様に、保証付き融資で借入れを行った場合には、その返済状況が、事業者の未来の「信用」につながります。

 

しっかりと返済することで、追加融資を得ることができたり、別の銀行からの融資ができるようになったりしていきます。

 

「信用保証協会からの信用を得ている」という意味でもあります。信用を維持するためには利益を出して利息と返済金を払えることが大前提になります。

 

保証付き融資の手続き

開業者が「美容室を開業したくてお金を借りたいのですが」と銀行に相談に行くと、融資担当者が「保証付き融資」を案内してくれます。

 

相談窓口は「民間金融機関」が一般的ですが、直接、「信用保証協会」に問い合わせるケースもあります。また、「商工会議所」や「自治体」が受け付けてくれる場合もあるようです。

 

多くは、融資担当者が直接、信用保証協会へコンタクトを取るケースです。融資担当者から、信用保証協会に開業者を紹介して、保証を依頼します。

 

開業者は、信用保証協会へ必要な資料を提出して審査を受けます。審査の過程で面談を行う場合もあるようです。

 

審査で保証をするに値する事業者と認められれば、信用保証協会から銀行に対して「信用保証書」を発行されます。

 

「信用保証書」の内容に従って、金融機関が開業者に融資を実行します。融資実行前に、今度は金融機関が独自に融資審査を行うこともあります。

 

また、「信用保証書」を獲得するために、融資担当者と事業者が一緒に計画書を立てることもあります。

 

保証付き融資の注意点

このように、民間金融機関からの借入を行う場合には、信用保証協会の保証が不可欠です。保証協会の審査が通れば、安心して資金調達できます。

 

しかし一方で、注意も必要です。

 

第一に、保証付き融資であっても返済義務は発生します。

 

返済金を支払えなくなった場合、信用保証協会が金融機関に立て替え弁済を行いますが、しかし、それで返済義務がなくなるわけではありません。

 

今度は開業者が、信用保証協会へ「求償債務」という負債を負うことになります。返さなくてよいのではなく、代わりに立て替えてくれた信用保証協会に返していくのです。

 

第二に、日本政策金融公庫と比べて、融資プロセスが遅くなります。

 

保証付き融資は、事業者と銀行、そして信用保証協会の3者で成立します。それだけプロセスが複雑になるため、融資決定が遅くなることがあります。

 

また、民間金融機関は、保健所からの営業許可がおりて初めて融資実行になるケースもあります。

 

「営業許可がでないと資金調達できない」となると、工事をするためのお金を別のところから借りてこなければなりません。

 

銀行によって基準が異なりますので、事前に確認しましょう。

 

保証付き融資を利用するケース

開業無料相談では、ほとんどの人が日本政策金融公庫からの借入れを検討しています。事実、ビューティガレージでも開業に関しては日本政策金融公庫からの借入れをおすすめしています。

 

しかし「日本政策金融公庫からの借入れに失敗した」あるいは「1000万円以上の借入れを検討している」といった事情で、民間からの借入れを選択する開業者もいます。

 

特に多いのは、希望融資額が1000万円以上になるケースです。

 

例えば1300万円を借入れしたい場合、1000万円を日本政策金融公庫から、残りの300万円を民間金融機関から借入れを行います。

 

いわゆる協調融資です

 

規模が大きいサロンや従業員を多く抱えるサロンを作る場合には、民間銀行からの借入れを行うことも十分ありえるのです。

 

どちらにせよ、融資審査の基本ポイントは変わりません。自己資金、信用情報、そして事業計画書です。準備は同じです。

 

日本政策金融公庫の融資と保証付き融資の違いを理解したうえで、しっかりと融資に備えておきましょう。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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