資金調達こそ成功のカギ!美容室の開業で融資を受けるための手順についてのまとめ
美容室を開業するにはお金がかかります。たとえ一人サロンであっても1000万円以上かかるケースもあります。
多くの開業者は、自分のお金だけではお店を作れないため、どこかで資金調達をしなければなりません。
資金調達を考えている人は、金融機関からの融資を受ける前提で行動します。融資を受ける場合、どういった手順で開業準備を進めていけばよいのでしょうか。
今回は融資を受けるまでの手順について詳しく解説していきます。
融資の事前準備
融資を受ける場合には、検討している金融機関の情報を集めることからスタートします。
資金調達の目的はあくまでビジネスです。金融機関は、開業者のビジネスに投資をするとも言い換えることができます。したがって、誰にでもお金を貸すわけではありません。
それゆえ金融機関の求める応募の条件や、融資審査で重視しているポイントなどを知っておく必要があります。
自己資金を増やす
調べたことはありませんが、自己資金ゼロで、ビジネスのためにお金を貸してくれる金融機関はほとんどないと思ったほうがよいと思います。
それほど自己資金は融資の重要な条件なのです。例えば、日本政策金融公庫では、応募の要件として、「総投資額の1/10以上が自己資金であること」と明記しています。
実際に、ビューティガレージで開業サポートをしているオーナーの自己資金の平均は約300万円でした。
総投資額の1/5~1/4は自己資金として出せるようにしておくべきです。
自分の財務状況を把握し、十分に自己資金が確保できないならば、自己資金を増やすことから始めます。
信用情報を確認する
融資審査では、開業者の信用情報が合否を決めるといっても過言ではありません。
クレジットカードやローンの引き落とし状況、税金などの支払い状況、あるいは生活費(家賃や光熱費)の支払い状況も確認しておく必要があります。
融資担当者は、貸したお金を返してくれる人かを見極めます。したがって、支払いが遅れる人、引き落としができない人は信用しません。
特にクレジットカードの引き落としは、本人も気づかないケースがあります。信用情報が不安な人は、CICやJICCなど信用情報機関で確認しておきましょう。
提出資料を準備する
例えば日本政策金融公庫では、融資審査では自己資金や支払い状況のわかる通帳に加えて、以下のような資料の提出が必要です。
- 身分証明書
- 美容師免許(管理美容師免許)
- 源泉徴収票
- 住まいが賃貸の場合、賃貸借契約書
- ローンがあればローン返済予定表
必要な資料はホームページなどに記載されているため、前もって用意しておくとスムーズです。
融資面談の直前に準備をしようとして時間がかかった人も多く見てきました。
例えば「美容師免許が実家にある」「源泉徴収票をなくしてしまった」「賃貸借契約書の更新したものが見当たらない」などです。
余裕をもって融資に臨むためには、前もって手元に揃えておくべきです。
参考記事
『信用情報ゼロ!? 自己資金&事業計画が完璧でも融資が否決される理由』
事業計画書を作る
融資には事業計画書が不可欠です。事業計画書をもとに融資面談が行われるからです。したがって事業計画書の内容も融資の合否に大きくかかわってきます。
日本政策金融公庫の場合には、創業計画書というフォーマットがあり、それを利用して計画書を作ることもできます。
決まったフォーマットがない場合、あるいはフォーマットには書ききれない内容がある場合には、自分で自由に計画書を作ることもできます。
SALONスターターでも事業計画書のフォームを提供していますので、ぜひ活用してください。
融資担当者を意識する
事業計画書を作る時には「どうすれば融資担当者がお金を貸したくなるか」を考えることにつきます。
お金を貸したくなる計画というのは、金融機関にとってもメリットのある計画です。つまり、利息を毎月支払える売上であり、毎月元金を返済できるだけの利益を出すことです。
売上、利益を出せる計画をいかにつくるかがポイントになります。単なる願望ではなく、計画には根拠やロジックが求められます。
やりたいことだけ書くのではなく、できることをアピールしなければなりません。
書くべき項目を埋める
では融資担当者を意識した事業計画書を作るためには、どんなことを書けばよいのでしょうか。
職務経歴書
美容師としてのキャリアをしっかりアピールします。どこで何年働いたかだけでなく、身に着けた技術や、個人の売上実績、指名客の数などを具体的に書くように心がけましょう。
また、マネジメント経験はさらにプラスに働きます。店長としての実績、スタッフの教育、ポータルサイトやメディアの運営などは、技術や接客以外にサロンを運営していく上で大切な経験です。
どんなささいなことでも、開業して役に立ちそうな経験や資格は書いておきましょう。
開業のきっかけ
開業のきっかけには二つのことを書きます。一つは自分が開業してやりたいこと、達成したいこと。もう一つは、タイミングです。
開業してやりたいことは書きやすいですが、「なぜこのタイミングなのか」という融資担当者の問いに対しても答えられるようにまとめておきましょう。
サロンコンセプトとターゲット
融資担当者が気になっている項目の一つです。彼らは「競合の多い美容業界では、他のサロンとの差別化や強みを訴求しなければ勝てない」と思っています。
誰にどんな価値を提供するサロンなのかを簡潔にわかりやすく伝えます。ポイントはターゲットを絞ることです。
細かくターゲット層をイメージして、特定の客層に刺さるセールスポイントを打ち立てることで差別化をうまくアピールできます。以下は具体例です。
誰に:原宿に来る金髪、銀髪ヘアーの20代~30代女性
何を:ぱさぱさにならず、傷まないキレイなブロンドヘアー
どうやって:独自の技術と薬剤で、黄ばみやくすみを減らします
資金計画
サロンを作るのにいくらお金をかけるのかを決めます。この段階ではまだ見積もりが出ていませんので、ざっくりでも構いません。
例えばエリアのテナント情報から、希望の大きさの物件を選んで数字を入れてみます。
内装デザインは坪単価40万円で計算してみます。美容器具はホームページなどで価格を調べておおよその金額を割り出します。
開業費用が想定以上に大きくなる場合には、計画自体を見直す必要がでてきます。
収支計画
次に、そのサロンを作った場合にどれだけの収益が出るかを算出します。
まずはコストの洗い出しを行います。
- 原材料費
- 家賃
- 人件費
- 広告費
などを大きめのコストはできるだけ正確に出すことがポイントです。
次に売上を出してみます。売上はあくまで予測になります。自身の見込み客や客単価、稼働する席数と回転率、日数から算出していきます。
客数の算出の仕方はいくつかあります。例をあげておきます。
1日1席あたりの客数(4人)×席数(2席)×営業日数(25日)=月の客数(200)
客単価を算出する場合には、メニュー、価格、利用率から割り出すことができます。
カット5,500円 利用率90%
カラー6,500円 利用率50%
パーマ6,500円 利用率10%
トリートメント3,000円 利用率20%
この場合の単価は8,850円になります。
(5,500×0.9)+(6,500×0.5)+(6,500×0.1)+(3,000×0.2)= 8,850円
最後に売上ー経費=利益を計算してみましょう。おおよその利益が予測できます。
サロン戦略
最後に「収支計画で立てた売上予測をどうやって達成するか」を考えます。特に客数の部分は「計画通りに来るのかどうか」をシビアに見られます。
現勤務先からの指名客が見込めるとしても、それだけでは不十分です。融資担当者は見込みではなく、戦略を知りたいからです。
新規客を増やすための手段、リピート客を増やすための施策をそれぞれをしっかり考える必要があります。
この段階ではざっくりでよい
重要なのは「最初から完璧な計画書に仕上げなくてよい」ということです。ここにこだわってしまうと、次のステップにいけないので、粗い状態でも問題はありません。
理想の物件が見つかってから、再度、計画書を修正する必要があります。そして、見積もりを集めることで数字がより正確になっていきます。
この段階では、まず書いてみる、作ってみるという行動が重要になります。
参考記事
『何を書いてよいかわからない人のために!事業計画書に入れるべき項目とポイント【前編】』
『何を書いてよいかわからない人のために!事業計画書に入れるべき項目とポイント【後編】』
物件を探す
事業計画書をある程度書き終えたら、本格的に物件を探します。日本政策金融公庫の融資審査では、担当者が実際に物件を見に行くと言われています。
一度サロンを作ってしまえば、そう簡単に移転はできません。したがって物件選びは慎重に行います。
一方で、自分の理想としている物件が見つかる確率は非常に小さいため、理想にこだわってしまうと中々見つからず開業ができない状況に陥ります。
立地・建物を探す
立地、建物を探すためには事業計画書を活用します。
サロンのコンセプトやターゲット、収支計画で出した固定費などを考慮して、判断基準を作っていきます。
ターゲットが主婦の方であれば、駅近くにこだわる必要ありません。
子連れを想定していれば、ベビーカーなどを引いてくることも考えれれます。そうすると2階よりも路面店のほうがよいとなるでしょう。
また、家賃についても自分の立てた収支計画が基準になります。
想定売上が150万円に対して30万円の家賃だとすると、売上の20%も取られてしまいます。そのほかの経費を考えると、20万円~25万円で探すという結論を得ることができます。
これは開業サポートからの経験ですが、優先順位を明確にしてから物件を探すほうが物件探しはスムーズになることが多いです。
物件選定の基準がないと「もっとよい物件が見つかるかも」と思ってしまい、なかなか決めることができなくなります。
実際に見に行く
めぼしい物件が見つかったら、必ず見に行きましょう。確認しなければならないのは、物件の周辺と、建物自体です。
建物の周辺をチェックするのは、売上に直結するからです。
- 人通りの有無
- 周辺施設
- ターゲットの有無
- 通いやすさ
- 道路の広さ
建物自体には「美容室を作れる」かと「顧客が通えるか」という視点でチェックします。
「美容室を作れるか」については、内装業者に依頼して電気・ガス・水道などのスペックを調査してもらいます。
またハコの形によってはレイアウトに工夫が必要になります。顧客の動線を考えたレイアウトができるかどうかも重要です。
「顧客が通えるか」では、例えば、階段が急ではないか、入口が見つけにくいか、自転車を置くスペースがあるか、など顧客視点で見ていきます。
収支シミュレーションを行う
この段階で家賃がわかります。
家賃は美容室を経営するうえで大きな固定費になります。したがって開業者は「この家賃の物件で利益をさせるか」をあらためて考えなければなりません。
その家賃が事業計画で立てた家賃と差がある場合には、再度収支計画を見直します。特に家賃が上がった場合です。
15万円で計画していたが、賃料が22万円になってしまった。売上が変わらなければ7万円利益が減ります。
したがって、家賃が上がる分の売上を作れるかを検討します。
そこで今度は、物件の立地に注目します。プラスの材料があれば売上を伸ばせると判断できます。
- 見込み客が通いやすい場所にある。
- 人通りも多く、有名カフェチェーンなど施設も充実している。
- 目立つ場所に看板が置ける。
- 近くにスクールがあってターゲットの目にも止まりやすい。
- 競合になるサロンが近くにない。
よい物件かどうかの最終的な判断は「利益が出せるか」ですので、該当物件の家賃をもとに収支計画を修正しましょう。
参考記事
『調べるのは建物だけじゃない!「面」と「線」を意識した現地調査の重要性』
『理想のサロンに出会えない! 物件選びで失敗しないための判断基準作り』
融資額を決める
物件がある程度固まったら、開業費用を算出して希望融資額を決めます。
融資担当者に対して「何にいくらお金がかかるか」を申告する必要があるからです。
見積もりを集める
開業にかかる全ての費用を集めるには時間がかかります。どれだけ細かく項目をだしても必ず漏れます。したがって、金額の大きい項目を中心に見積もりを集めます。
- 物件取得費用(不動産契約時にかかる費用)
- 内装工事費用
- 美容器具費用(セット面、シャンプー台)
- その他設備費用(家電製品やインテリア関係)
- 販売促進費(サロンのロゴ作成やチラシ、ホームページ作成)
特に重要なのは設備資金にかかる費用です。
日本政策金融公庫では、設備資金で融資を受けるには「都道府県知事の推せん書」や「美容組合からの証明書」が必要になることがあります。
その場合には必ず、設備資金にかかる費用の見積もりを提出しなければなりません。
事業計画書を修正する
見積もりを集めると、サロンを作るのにいくらかかるかがより具体的に見えてきます。計算された費用と、最初に作っていた資金計画書の費用を比較しましょう。
- 物件取得費用が30万円以上高い。
- 内装工事費用が100万円オーバーしている。
など、初期の計画とのズレが見えてきます。
理想通りの資金計画になることはめったにありませんので、見積もりの数字に修正していきます。トータルの費用が初期計画よりも大きくなってしまうケースでは、以下のことを考えます。
1.増えてしまった資金を自己資金か融資金額でカバーすることが可能か。
- 親族から100万円を支援してもらえる。
- 自己資金を考えると、もう100万円くらいは借入れできるかもしれない。
2.1が難しい場合、別の資金調達方法があるか。
- 運転資金を調整すれば100万円を浮かせることもできるかもしれない。
- 器具代金をリースや分割での支払いに変えれば120万円を抑えることができる。
資金調達のメドが立てば融資に進みます。
開業費用が想定以上にかかってしまう場合には、再度物件選びからやり直す必要があります。
物件を申込む
事業計画書が完成したら、次に物件を申込みます。
物件の申込みは契約とは違います。
物件を申込むと、保証会社による審査があり、審査が通ると大家さんの承認を得て、契約が結べるようになります。
融資が決まる前に契約をしてしまうと、万が一融資が落ちた場合、大きな損失につながります。物件契約のお金が戻ってこない、半年たたないと解約できないとなると自己資金も減ってしまいます。
まずは申込みをする。そして契約を結ぶ。この順番を覚えておきましょう。
参考記事
『【美容室開業のリアル】開業の流れからみる開業費用と自己資本比率について解説』
金融機関の選定
事業計画書も完成し、借入額が決まったら、いよいよ融資審査になります。融資とは金融機関からお金を借りることですが、様々な選択肢があります。
日本政策金融公庫
美容室の開業で絶対外せないのが日本政策金融公庫です。開業サポートでは100%ここからの借入れを目指します。
日本政策金融公庫の特徴は色々ありますが、大きなメリットは以下の通り
無担保・無保証で借入れができる
通常金融機関では、貸したお金が返ってこない場合を想定して、担保の提供を求めたり、保証人になってくれる人を求めたりします。
日本政策金融公庫は、本人に担保がなく、保証人がいなかったとしても、状況に応じて融資を行います。
審査から入金までが比較的早い
無担保・無保証のため、審査もシンプルです。それゆえ融資審査の申込みから、融資決定・入金まで約1ヶ月で完結します。
物件契約のために、資金調達を急ぎたい場合には、融資審査が早いというのは非常にありがたいです。
金利が低い
日本政策金融公庫での融資は金利が低く設定してあります。無担保・無保証の新創業融資制度では2~2.5%くらいです。
さらに若者・女性起業家の制度を利用したり、美容組合に加入したりすることでもっと低金利での借入れが可能になります。
制度融資
日本政策金融公庫の次に利用を検討したいのが、制度融資です。制度融資は、地方自治体と銀行が協力して、開業者に融資を行うものです。
地方自治体が銀行と信用保証協会に対して金利や保証料を補給します。行政のサポートを受けた銀行は低い金利で開業者に融資を行うことができるという仕組みです。
したがって日本政策金融公庫よりもさらに低金利で借入れができるのです。
一方で、デメリットもあります。まず、自治体、銀行、信用保証協会の三者が絡むため、審査に時間がかかってしまいます。もう一つは、営業許可を得て初めて入金されることがほとんどです。
つまりお店を作るためのお金は別で調達することになってしまうということです。そのあたりを十分に確認してから、制度融資を利用しましょう。
民間金融機関
日本政策金融公庫は政府系の金融機関です。制度融資は自治体の協力を得て融資を行います。
創業時には公的機関のサービスや制度を活用することが多いですが、民間金融機関でも創業者への融資を行っています。
民間金融機関ではプロパー融資と保証付き融資の二つに分かれます。
プロパー融資は、金融機関側が返済不可能になった場合のリスクを取るため、審査が非常に厳しいとされています。したがって、相当な実績がないと借入れができません。
したがって、開業者は保証付き融資を申請します。保証付き融資は、信用保証協会の保証をつけた融資のことです。
金融機関にとっては、返済不能のリスクを代わりに負ってくれるため、お金を貸しやすくなります。したがって、開業者はまず信用保証協会からの保証を得ることからスタートになります。
当然、融資審査には時間がかかります。
融資を受ける選択肢は一つではありません。それぞれメリットデメリットを理解して選びましょう。
ビューティガレージでは、初めてお店を作るのであれば日本政策金融公庫からの借入れをおすすめしています。
参考記事
『美容室開業ならココ! 日本政策金融公庫で資金調達する3つのメリット』
『開業者も低金利で利用可能! 地方自治体が行う『制度融資』の仕組み』
『 民間金融機関からの借入れ「保証付き融資」についての解説』
融資審査
金融機関が決まったら、いよいよ審査になります。どの金融機関であっても審査のポイントは一つ。
この事業者は、融資を行った後、利息を含めて返済してくれるか
融資担当者は、開業者の情報を集めて、開業者のビジネスプランを精査し、開業者と実際に会って、それを判断するのです。
これまでのプロセスの中で必要資料も事業計画書も準備ができているので、あとは実際の面接が最後のポイントになります。
熱意と能力をアピールする
融資面談では「やりたいこと」と「できること」をしっかり担当者に伝える必要があります。
どんなサロンを作りたいのか、なぜこのタイミングなのかを含めて、どうしても今開業しなければならないという想いを話しましょう。
また、開業してサロンを経営していくための資質が備わっていることもアピールしていく必要があります。これまでの美容師としてのキャリアや実績を具体的に話すようにしましょう。
店長やマネージャー経験があれば、なおプラスになります。店長としてサロンをどう運営していったのかを伝えましょう。
計画内容をしっかり説明する
融資面談では事業計画書の内容に沿って話が進みます。その中で事業計画書をより深堀りした説明が求められます。
特に、数字に関しては様々な質問を受けます。大切なのは、自分の計画を論理的に説明できることと、その計画に至った根拠を提示することです。
例えば、「月間の客数80人という計画ですが、なぜ80人と予想していますか」という質問。
80人という数字が正しいかどうかは問われません。むしろ「どのように考えたのか」を丁寧に説明していくことが求められるのです。
あるいは「内装工事費が少し高い気がしますが、何か理由がありますか」という質問。
銀行側にも多くの創業計画書の事例があります。それに照らして坪単価が高くなる場合、説明が求められます。
「見積もりがそうだから」では説明不足です。
「ガス容量が不十分のためボイラーを入れることにした」など具体的な返答が求められます。
リスクに対しての対処法を考えておく
融資担当者は事業計画書に書かれていない部分にも目を向けます。
事業計画書は融資を獲得するための計画ですので、ネガティブな要素は書かれていません。
したがって、融資担当者はそのネガティブな要素を洗い出そうとします。
例えば、計画自体が楽観的かどうかを確かめるような質問をします。
- 「この売上は見込み客が何パーセント来ると想定していますか」
- 「1日5件の客数を見込んでいますが、今のサロンでは1日何人対応していますか」
また、計画がうまくいかなかった場合にどの程度リスクがあるかを確認します。
- 「自己資金以外に余裕資金はどの程度ありますか」
- 「ちかくに支援してくれる親族などはいますか」
うまくいかない場合に備えていること、十分にリスクを認識して対策を打っていることも伝えて、融資担当者の不安を解消しましょう。
参考記事
『しっかり答えて開業資金を獲得しよう!審査面談で融資担当者が知りたいこと』
まとめ:融資を意識すると開業準備がスムーズになる
融資審査が終わったら、決定まで待つことになります。
その間に、可能な限り準備を進めます。
融資決定後にすぐ動けるように内装デザインの打ち合わせや、不動産契約の内容の確認や、サロンロゴや販促物の作成に着手します。
融資が決まり資金調達が完了しさえすれば、あとは周囲が動いてくれます。
サロンオーナーの最初の大仕事は資金の獲得です。自己資金だけでやるよりも、ハードルは高いですが、融資のプロセスを乗り越えることは成功の第一歩だと思います。
繰り返しになりますが、美容室を開業する場合には1000万円以上の資金が必要になります。
ビューティガレージで開業相談に来られるお客さまでも、自己資金だけで開業できる人はあまりいません(ゼロではありませんが)。
そうなると、金融機関からの借入れを前提に開業プランを考えていくことになります。
融資を意識するというのは、実はとても大切です。
自分の考えが他社に受け入れられるかどうかが問われるからです。
独りよがりの計画はうまくいきません。金融のプロがお金を貸すというのは、成功する確率が高いという証明でもあります。
単にサロンを作りたいだけでは、評価されません。儲かるサロンが作れるかどうか計画書を通して真剣に考えなければなりません。
ビューティガレージでは融資獲得のために開業のサポートもしております。ぜひ、開業無料相談にお越しください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。