この物件での開業は予算オーバー?開業資金を増やせなかった場合の経費の見直し方
物件は運に左右されます。よい物件はそう簡単に見つかりません。
だからこそ、好立地に物件が出たときには、多少想定より高い家賃でも、そこを確保したいと思います。
しかし、立地はよいものの、内装費が思った以上にかかりそう、物件取得費用がかなり高い、というケースはたくさんあります。
こうなると当初考えていた開業資金の予算をオーバーしてしまうことがあります。
開業予算をオーバーした場合、まず考えるのは「資金調達を増やす」ことです。
立地がよければ、将来の利益が見込めるので、多少開業費用が増えても回収できると判断できます。また、せっかく開業するのに予算のせいで自分の思うようなサロンが作れないのはもったいないと思います。
したがって、予算オーバーした場合には、お金を増やす方法を探ります。
しかし残念ながら、これ以上自己資金を増やせない、親族からの支援金も期待できない、ローンやリースも審査が通らない、ということも起こり得ます。
お金を増やせないならば、開業費用を削らなければなりません。
内装費
金額が大きいため、削ることができる可能性があるのは内装費になります。
とはいえ、美容室の営業に必要な機能・スペック面は妥協できません。
となるとデザインに関わる部分を減額できないかを考えます。
クロークやレセプションなどは、オーダーメイドのものを既製品に替えることで費用を抑えることができます。
また、仕切りなども、板をやめてカーテンなどに置き換えます。
サロンのデザインも大事ではありますが、極力サロンの営業に影響を及ぼさないという点で洗い出す必要があります。
例えば、自分がイメージしていた本棚を置きたかったとしても、「この本棚は、サロンの利益を出すためにどんな貢献をするのか」といったシビアな視点で見ていきます。
そうすると、オープン後に利益が出てきてから、自分で買ってもよいものを選別できるようになります。
美容器具
美容器具を見直す場合には、主に3つの方法があります。
メーカーを変えてみる
美容器具はメーカーによって価格が異なります。
例えば、フルフラットのシャンプー台だと、メーカーによっては80万円。ビューティガレージだと30万円程度です。
美容器具の価格はメーカーによって幅広く流通しています。
経費を抑えなければならない場合、導入すべき美容器具メーカーを見直すことも大切です。
そのメーカーへの思い入れや顧客満足度、使い勝手などを考慮したうえで、代替できるものはないかを検討してみましょう。
中古を探してみる
どうしても気に入っているメーカーの美容器具を購入したい場合、中古品がないかも探してみましょう。中古品といえども、状態がよければ十分に使えます。
新しいものを買う必要はありません。定価より安く、比較的状態のよい美容器具であれば十分にオープン時には活躍できるでしょう。
使わない機器を決める
また、メニュー構成や比率から、オープン時に買わないものを決めるという方法もあります。
例えば、スチーマーや炭酸泉など、あまり訴求はしないけれども出れば嬉しいメニューに必要な器具は「オープン時に買うことをやめる」という判断もできます。
スチーマーを買わなくても髪の保湿はできる、ということで思い切って買うのを諦めてオーナーもいらっしゃいました。
運転資金
運転資金は、オープン時に残しておきたい準備金です。予算がオーバーした場合には、こちらから融通します。
しかし、運転資金は家賃、人件費などの支払いが滞りなくできるためには不可欠。家賃は減らすことはできません。
したがって、運転資金を減らす方法は一つ。それは雇うスタッフを減らすこと。
スタッフを二人雇用する場合には、30万円×2人=60万円の人件費がかかる予定でした。
3ヶ月分なら180万円確保しておきたいところでしたが、一人だけを雇用すると90万円を抑えることができます。
また、一人少なくスタートするため広告費(ホットペッパー)にかけるお金も抑えることができます。
運転資金を減らす場合、この物件で、自分たちの見込み客で、どれだけ売上が作れるのかをよくシミュレーションしたうえで判断しましょう。
運転資金は決して無理に削ってはいけないものです。
まとめ:お金を増やせないなら、削るしかない
せっかくよい物件に巡り合い、ここならうまくいくと判断した場合でも資金が不足したら開業できません。
どうしても開業をするために、最初に手を打つのは「お金を増やせないか」を考えることです。
- 自己資金は増やせないのか
- 借入金を増やせないのか
- リースやローンは組めないのか
せっかく開業をするのに、金銭面で妥協すると、理想のサロンが作れなくなるからです。
それでも難しい場合には、費用を抑える方向で考えます。
内装は、デザインに手をつけます。そして、極力サロンの売上や利益に影響しないものから削っていきます。
美容器具は、メーカーを変える、中古で探すなどを考慮したあと、売上影響の小さな美容器具を買わないという選択をします。
そしてそれでも予算に届かないならば、運転資金を動かします。
ここでは、売上のシミュレーションを行ったうえで、スタッフを減らすのか、広告費を抑えられるのかなどを考慮して、運転資金の一部を設備に回します。
この時点での目標はこの場所でのオープンです。
お金を増やせない、となればどうにかして経費を抑えてオープンする方法を考えなければなりません。
オープン後に揃えてもよいもの、売上に大きな影響を及ぼさないものをよく考えながら、開業費用を抑えていきましょう。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。