費用よりも利益を優先!投資回収から考える物件の選び方

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物件選びと開業費用

美容室開業費用の6割以上は物件取得費用と内装費が占めるケースが多いです。

開業費用

開業費用を抑えようとすると、必然的に物件取得費か内装費を抑えることになります。インパクトが大きいからです。

 

しかし、基本的に、不動産を経由して物件取得費を下げることはできないので、内装費を抑えることになります。一方で、内装費用もその物件状態に依存するため、大きく下げることができないケースもあります。

 

開業サポートでも、実際に物件が見つかるとこの問題にぶつかります。この問題に陥る一つの要因は「開業費用」に注目しすぎる点にあります。

 

その物件で開業した場合に得られるメリットについても見ていきましょう。

 

内装と物件は切り離せない

内装費は物件の状態によって価格が大きく変わります。いくつか例を挙げておきましょう。

 

 電気ガス水道といった設備面が不十分な場合

  • ガスの容量が十分ではない → ボイラーの設置が必要
  • 電気の容量が十分ではない → 建物の電力を増やすための工事が必要
  • 水道管が細い → 貯水タンクの設置が必要

 

 別業種の残置物が残っている場合

バーのカウンター、レストランの調理器具、テーブル・椅子がそのまま残っている。そういう場合には、解体や撤去のための費用が別途かかる。

 

完全スケルトンの場合

テナントへのガスの引き込みがされていない。トイレなど水回りを一から作らなければならない

 

つまり、内装費を大幅に削減したいならば、物件自体を変えなければなりません。

 

しかし、オーナーがその物件を選んだのには理由があります。

 

それは「立地」です。立地は、店舗ビジネスの成功要因の一つです。「出店場所ですべてが決まる」と言い切る人もいるほど、立地は重要なのです。

 

「その物件ならいくら儲かるか」を先に考える

よさそうな物件がでてきたら、まず考えるべきことは利益がでるかどうかです。

 

利益を出すためには、経費と売上を明らかにしなければなりません。いつも言ってますが、まずは経費から考えます。

 

美容室の経営で最も重要な経費は「家賃」です。これは一度決めたら、動かすことができない固定費だからです。その物件で営業する限り永続的に支払う経費です。

 

注目すべきは売上と家賃のバランスです。想定される売上における家賃比率を意識します。

 

一つの目安として、安定したサロンを運営していくには、家賃比率は15%未満に抑えるべきだと思っています。(理想は10%ですが、すぐに達成することは難しいです)

 

例えば、以下の条件の物件だとしましょう。

 

大きさ:20坪

セット面:6席

シャンプー:3台

家賃68万円

 

その場合、家賃比率15%にするには、680,000円÷0.15と計算できます。

 

すると約4,530,000円の売上が作れるのかが一つの判断基準になるのではないでしょうか。

 

以前、原宿で開業サポートしたサロンは同程度の家賃でした。

 

その時の収支計画は、オーナーと二人のスタイリストの指名売上を足して3,200,000円でした。

 

家賃比率は21.25%です。ホットペッパーも最大プランで掲載してましたので、当初はかなりギリギリでやりくりしていたように思います。

 

また、我々がいつも提案しているように、最低限必要な利益から売上を算出する、損益分岐点の計算も重要です。

 

損益分岐点の計算の方法は、下記記事を参考にしてください。

 

費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方

儲かる計画を立てよう!簡単な収支シミュレーションの作り方

 

特に家賃金額が大きくなる場合には注意が必要です。万が一のリスクが大きいため、必要最低限の利益を計算するよりも、定期的に作ることができる売上について見立てるほうが重要です。

 

物件が見つかったら「家賃」を中心に、想定できる利益を算出しましょう。

 

回収期間を計算する

収支シミュレーションの結果、その物件で開業した場合に「利益が十分に見込める」と判断できたとしたら、多少建物の状態が悪くて内装工事費が上がったとしても、決める人が多いです。

 

なぜなら美容室経営は、先にお金をかけて回収していくビジネスモデルだからです。

 

「この立地で開業したらいくら費用がかかるか」という発想ではなく、「何年で回収できるか」を考えることのほうが大切なのです。

 

開業資金を回収できる期間を計算する方法は、以下の通り。

 

投資回収期間=初期投資額(開業費用)÷1年の回収金額(年間の現金収支)

 

以下の場合を想定してみましょう。

 

初期開業費用 1,500万円
一年の営業利益が700万円
一年の現金収支(借金を返して手元に残るお金)が500万円

 

1,500万円÷500万円=3年

 

つまり、この物件で開業した場合には、3年で初期費用を回収できるという計算です。

 

ちなみに開業サポートを受けたサロンさんに聞いてみると、多くは3年半から4年で開業費用を回収することができています。

 

まとめ:経営者はコストよりもチャンスで判断する

よい立地で物件が見つかった場合には、以下の優先順位で決定しましょう。

 

1.その家賃比率はどのくらいになりそうか。現実的にその売上は可能か。

 

2.その売上ならば、1年間の儲けはどのくらいになるか。営業利益から返済金を除いた手元に残るお金がいくらになるか。

 

3.トータルの開業費用を何年で回収できそうか。目安として3~4年で回収できる金額かどうか。

 

開業費用を抑えようとすると、打ち手が打てるのは「内装費」を削ることだけになりがちです。しかし、内装費を削るためには、そもそも物件の状態に関わってきます。そうすると物件を変えざるを得ません。

 

せっかくよい立地なのに、内装が高くなるからあきらめるというのは実はもったいない。

 

そうではなく、よい立地の物件であればそこで期待でいる売上、利益を算出し、開業費用を何年で回収できるかという視点で考える方が、開業の判断としては適切だと思います。

 

気になる物件があれば、ぜひ開業無料相談にてお問い合わせください。収支シミュレーションも行っております。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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