サロンづくりを左右する! 開業における美容器具選定の役割と重要性
サロンを開業するまでのプロセスとして、大まかに「ハコを作る段階」と「営業体制を整える段階」があります。
ハコを作るには、物件、内装そして美容器具が必要になります。
このうち、美容器具の選定が一番オーナーの特色が出ます。なぜなら、物件や内装設計よりも多くの選択肢があるからです。
美容器具の選定はサロンの特徴だけでなく資金計画にも大きな影響を与えるため、より慎重に吟味する必要があると言えるでしょう。
今回はこの「ハコを作る段階」のうち、“美容器具”の役割と重要性に焦点を当ててお話ししましょう。
器具選定は施術レベルを差別化するための武器
内装デザインはサロンのコンセプトやイメージを体現する上で大切ですが、美容室の営業の肝は施術です。
内装デザインがうまくいっても、お客様に「立地もいいし内装もおしゃれだけど、肝心のサービスが……」と言われてしまっては意味がありません。
来店されるお客さまに、満足してもらえる技術と接客が提供できるかという視点でサロンづくりは考えます。
美容器具は美容師の技術・接客を支える大事なアイテムです。サロンの提供したい価値に合わせて美容器具を選ぶ必要があります。
美容器具は、メーカーや機能、価格帯によってさまざまなアイテムがあります。多種多様な商品の中から自分のサロンにあったものを選ばなければなりません。
使いやすさという基準で選ぶ場合、前のサロンで使っていたものを選べばよいと思います。また、自分の好きなメーカーなどがあればそこに絞って探していきます。
美容師にとっての使いやすさ、好みだけではなく、お客さま目線も欠かせません。
「長時間座っても疲れないイス」「リラックスできるシャンプー台」「熱によるダメージが少ない促進機」など、お客さまの立場に立って器具を選びましょう。
その際には、美容器具の特徴や機能を詳しく知っている人に説明してもらうのが一番です。気になる商品があればその特徴について尋ねましょう。
もしくは、サロンが打ち出したいウリから商品を提案してもらうのもよいでしょう。
たとえば、「お客さまが長時間座っても疲れないイスにはどんなものがあるか」と聞いてもよいと思います。
また、説明だけでは十分にその商品のよさを理解できない場合には、実際に体験してみて、使い心地や座り心地を確かめましょう。
器具選定は開業資金の調整役
もうひとつ、美容器具選定が重要な理由として、“開業資金の調整”があげられます。
以前の記事でも紹介したように、開業費用は計画通りにいきません。
特に、内装費が膨らんでしまうケースが多々ある一方、運転資金から内装費を出してしまうと、サロン経営が厳しくなる可能性もあります。
「どこかで調整をしなければ」となったときには、美容器具に目を向けます。実際に“費用の調整”に関して、物件や内装設計と比較してみましょう。
物件の家賃の決定権は大家さんにありますので、物件取得費用を減らすことはほとんど不可能です。
では内装設計はどうでしょうか。
もちろん設計の内容次第では価格を抑えることはできると思います。
しかし、相場がある程度決まっていますし、水道・電気・ガスのインフラには絶対にお金をかけなければいけません。インフラを妥協することはできません。
もし物件取得費用を抑えたい場合には、物件そのものを変えなければいけません。内装費を抑えたい場合には、居抜き物件にしなければならないのです。
これに対して美容器具の費用には柔軟性があります。
第一に、美容器具の価格はメーカーによって差が大きいのが特徴です。
価格の高い美容器具にはそれなりの理由がありますし、ブランド力がお客さまを惹きつけることもあります。
しかし、リーズナブルな美容器具が劣るかといえばそうでもありません。
価格ほど機能に差があるわけではないため、開業費用に合わせて代替アイテムを見つけやすいのです。
第二に、中古という選択肢があります。在庫さえあれば、同じ器具でも安く手に入れることができます。
第三に、ローンやリースという支払い方法が可能です。美容器具一式をすべてローンやリースにしてしまえば、美容器具にかかる初期費用を0にすることもできます。
第四に、買わなくてもよいという決断ができます。
たとえば、自分のサロンでデジタルパーマの訴求率が低いのであれば、必ずしも揃える必要はなくなります。アイテムを絞ることで費用を抑えられるのです。
開業資金の視点から見ても、理想のデザインを完成させるために美容器具は大きなポイントになるのです。
まとめ:美容器具の選定は一人で行わない
美容器具の選定は、サロンの機能的にも資金的にも重要なタスクです。
多様な美容器具の中から、スタッフの視点、お客さまの視点で選んでいかなければいけません。特に、商品の特徴や機能については十分な理解が必要です。
メーカーの営業担当やショールームのスタッフから説明を受けて購入を決めましょう。また、可能な限り実際に試してみることもおすすめします。
開業資金の問題を解決するのにも、美容器具は大きな役割を果たします。購入手段を変更する、価格帯が低い商品に置き換えるなど、さまざまな方法で資金を調整できます。
いずれにせよ、美容器具選定に関しても、一人で決めるのではなくパートナーとなるメーカーやディーラーと一緒になって進めていくべきです。
ビューティガレージでも専門スタッフが全国のショールームに常駐しております。ぜひ、スタッフにお声かけください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。