同じ小規模サロンでも、目的が違うと計画の立て方は変わります!

公開日:2022/11/02  更新日:2022/11/02
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小規模サロン

最近の傾向として比較的小さいハコでの開業を希望する人が多いような気がします。

 

席数が3~4。シャンプー台1~2台。テナントの広さは10~15坪。

 

しかし小さいハコで開業する場合でも、目的によって事業計画の立て方は変わってきます。

 

小規模サロンとして開業する場合には、2つの方向性があります。1つは小さく産んで大きく育てる方向性。2つめは小さいまま持続可能な経営をする方向性。

 

前者は、事業の拡大を考えていて、まずはスモールスタートして、売上・利益を伸ばしたら、拡張移転や多店舗展開を考えます。

 

後者は、一人サロンや夫婦で営むサロン。大きく儲けたいとは思わずに、それなりの収入がちゃんとはいってくればよいと考えます。

 

(一人サロンで、もっと大きく儲けたいと考える人もいますが、あまり現実的ではありません)

 

どちらも、開業にかかる初期費用は同じくらいですが、目標や計画は全く違ってきます。

 

今回は、私が実際に受けた相談をもとに考えてみたいと思います。

 

事業拡大を目指すオーナーの相談

Aさんは、本当は8席規模のサロンを出したいと思っていました。

 

しかし、自己資金が少ないのと、一緒に働いてくれるスタッフの目途が立たなかったため、スモールスタートを決意しました。

 

10坪サロンでセット面3席、シャンプー台1台。

 

前サロンから引き継いだ客をメインに利益をため、顧客が増えてきたら2店舗目を出そうと思っていました。

 

しかし、オープンして間もなくして、サロンはほぼ満席になってしまいました。想定以上に、自分の指名客が来店してくれたからです。

 

しかも、当時はアシスタントがいたためにこなせていた人数を、一人で対応することになりました。

 

その結果、あっという間に席が埋まってしまうようになりました。嬉しい悩みに聞こえますが、このままでは新規客を獲得できない、予約が取りにくいサロンと思われてしまうとイメージも悪くなります。

 

そのために、早く2店舗目を作ろうと動くことにしました。

 

ところが、まだ開業して1年しか経たなかったため、必要な2期分の決算書を用意できませんでした。それに加えて、融資の返済額がかなり残っており、銀行からは追加融資は難しいと言われてしまいました。

 

スモールスタートで始めた小規模サロンですが、もともとの見立てが甘く、サロンのキャパオーバーが想定よりも早く訪れてしまったのです。

 

小さいサロンを営みたいオーナーの相談

ご夫婦で小さなサロンを営むことが夢でした。奥さまは美容師ではないのでレセプションとして接客をします。

 

オーナーが一人で売上を作ります。物件は10坪程度でしたが、立地の良さから家賃が相場よりも高めでした。しかし、立地がとてもよかったため、そこに決めました。

 

もともと低単価のサロンで働いていたオーナーは、自身の指名客に来てもらいたいためにメニュー価格を低く設定していました。

 

そのため、売上はあがるものの、なかなか思うように利益が伸びない。さらに、想定していたほどに指名客も来ませんでした。

 

客数を心配していたオーナーは、ポータルサイトへ掲載しました。一人サロンにしては少し高めのプランを薦められ、それにしました。

 

その結果、新規客は増えたのですが、掲載費も負担になり、利益が思うように安定しません。

 

忙しくはなったけど、利益が思うように伸びない。しかも、個人店だと、オーナーが施術に時間を取られてしまい、それ以外の業務(在庫管理や経費記帳など)がおろそかになっていきました。

 

そんなBさんから、ホットペッパーに頼らない方法がないかという相談を受けました。低単価でお客さまをどんどんこなしているにも関わらず、うまくいかないという悩みです。

 

2人の問題点は?

この2人がうまくいかなかったのは、目的に応じた計画を立てられなかった点にあります。

 

事業拡大を目指すサロンの場合

事業を拡大していくことを目指してスモールスタートする場合には、サロンでの売上キャパをできるだけ増やせるかを考えなければなりません。

 

例えば、営業時間、席数、シャンプー台、オペレーション(施術時間)などを加味します。その規模のサロンなら何人まで雇ってもよいのかなども計算しなければなりません。

 

また、採用のタイミングなども計画に入れるべきです。売上が100万円を超えたら、席数が70%以上埋まったら人を増やすなどをしっかり考えなければなりません。

 

また2店舗目を出すには多くの場合、開業して2期分の決算書が融資の判断材料になります。

 

小規模サロンでの2年間の成績が重視されます。そのためには2年間はそのサロンを育てることを前提に計画を立てるべきです。(もちろん例外もあります。)

 

小さいサロンを長く営む場合

一方、Bさんの場合は、少ない客数で利益が出るような仕組みが必要でした。家賃や広告掲載費が負担になっていた可能性があります。

 

また、低単価で数を取るのではなく、一人当たりの客単価をあげるための戦略を立てるべきでした。

 

もちろん、自分の指名客に来てもらいたいという気持ちはわかります。ただ、将来も変わらずに回転率を上げて、お客さまをどんどんこなしていくという働き方は、持続的ではありません。

 

中長期的には、同じ売上を作るにしても、単価5000円×客数150人=売上750,000円ではなく、単価10,000円×客数75人=売上750,000円を目指すべきです。

 

さらには、小規模サロン経営で「それなりの収入を得られればよい」と割り切っている場合には、サロンにかかってくる様々なサービス営業の話などに乗らないようにするのも大切です。

 

事業拡大を目的としているサロンに向けた提案には惑わされないようにしましょう。

 

まとめ:サロンの「目的」を見失わないことが大切

サロンを作る目的は人それぞれですので、正解はありません。

 

ただ、同じ小規模サロンを作るにしても、事業拡大してどんどん儲けたいのか、小さいまま経営して持続可能な働き方を実現したいのか、では立てるべき計画は変わってきます。

事業を拡大したいならば、小規模のスタートだとしても、できるだけ中長期的な計画も立てるようにしましょう。

 

小規模サロンのままで事業を営みたいときには、予約が埋まらなくてもしっかり利益がでる設計をしなければなりません。

サロンを作ってから、目的を修正するのはなかなか難しいと思います。だからこそ、開業準備にとりかかるその時に、しっかりと方向性を定めましょう。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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