利益を残すには経費はいくらまで?比率から考える収支計画の作り方【前編】

公開日:2021/01/27  更新日:2021/01/27
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コスト管理

収支計画を作るとき一つの方法として損益分岐点をご紹介しました。本日は、別の方法をお伝えしようと思います。

 

おさらいですが、損益分岐点とは売上とコストが同じになる金額を指します。サロンが赤字を出さないための売上を求める計算になります。

 

損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)

 

必要な利益額を得るための損益分岐点は、目標利益額を加えて計算します。

 

(目標利益額+固定費)÷(1−変動費率)

 

損益分岐点から考える場合には、目標利益額も家賃や人件費などの固定費も具体的な金額で設定していました。

今回お伝えする方法は、金額ではなく比率に注目します。

 

※参照

経費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方【前編】

経費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方【後編】

 

営業利益率に着目する

営業利益率とは、売上高のうち最終的に利益として残った額の割合をいいます。

 

100万円の売上に対して、20万円の利益がでたら営業利益率は20÷100=20%です。

 

率に関しては、売上がいくらであってもその額に対して20%分が利益になるということです。売上300万円の20%であれば60万円、700万円であれば140万円の利益を想定できるのです。

 

最初にこの営業利益率を設定してみましょう。

 

実際の美容室は営業利益率が5〜20%が多いと言えます。もちろん、人件費がかからないサロンなどではより利益率は高くなるでしょう。しかし、売上額が小さいならば利益率が高くても、利益額は小さくなります。

 

計画段階では営業利益率を15〜20%で設定することをおすすめします。実際には想定以上の経費が出ていきますので最初から利益率を低くしてしまうと赤字になる可能性もあるからです。

 

売上全体は100%と表現できます。営業利益率が20%に設定すると、残りの80%を経費に使うことになります。

コスト構造

 

材料費率を考える

次に考えるべきは材料費です。なぜなら売上を立てるための直接的な費用だからです。売上から材料費を引いた額を粗利といいます。

 

材料費はサロンのコンセプトやメニュー構成によって異なりますが、美容室の場合、材料比率は売上の8%〜12%に落ち着きます。

 

材料費はお客さまの来店がなければ、消費されないというのが特徴です。したがって、来店客数を予測して在庫管理を行っていけば、材料費はある程度コントロールが可能です。

 

今回は10%で設定してみます。すると図のようになります。

コスト構造

残り70%を販管費として使います。

 

家賃比率を考える

家賃比率を考えるときには注意が必要です。なぜなら家賃は固定費であり、売上高が小さくても大きくても金額は変わらないからです。

 

そこで、家賃に対しては「その場所(コスト)でどのくらいの売上を作れるか」という視点で考える必要があります。

 

通常、家賃比率は売上の10%に抑えるのが理想とされています。つまり「この物件であれば、家賃の10倍の売上を作れる」という意味になります。

 

20万円の物件であれば、200万円の売上を出せるかどうかで考えます。

 

家賃比率を10%で設定すると、以下のようになります。

コスト構造

人件費率を考える

人件費率は日本政策金融公庫の経営指標が参考になります。データによると対売上比率の平均値は45.8%になっています。おそらく、社会保険などを入れると60%まで行くのだと思います。

 

※参照:日本政策金融公庫 業種別経営指標

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/sme_findings2_202008_11b.pdf

 

売上の約半分は人件費にあてられている。あらためて美容室は人中心の商売なのだということがわかります。

 

これまでの経費からもわかるように残り60%しかありません。したがって60%を人件費に使い切ることは難しいでしょう。ここでは40%を目指すことにします。

 

広告費率を考える

最近はホットペッパーに掲載するサロンが増えましたが、売上に対する広告比率をコントロールできないと「客数は増えたが利益が減ってしまう」ということが起こります。

 

残りの販管費は20%です。残り20%のうちどこまでを広告費に使うかです。理想としては5%に抑えられるとよいと思います。

その他の販管費を考える

使える経費は15%になりました。その他の経費にはどんなものがあるでしょうか。

・水道光熱費

こちらも美容室を営業するのには欠かせません。季節的な要因や、繁忙期・閑散期の要因を考えると変動もあります。3%くらいを目安に計算しましょう。

 

それ以外の費用を残り12%で使い切ります。その他費用になりそうなものをいくつか列挙しておきました。

・通信費

・消耗品費

・雑費

・交通費

・交際費

 

実際の金額を算出する

比率を用いて、利益を出すために経費を設定してみました。ここで、実際の金額を入れてみたいと思います。

 

まず、目標利益額を設定します。例えば、営業利益で40万円を目標にする場合、売上は200万円になります。(400,000÷20%)

 

目標売上が200万円と出れば、あとは経費の比率に当てはめていきます。

コスト構造

そうすると、売上200万円で40万円の利益を出すためには、それぞれにかかる経費が見えてきます。

 

・材料費:20万円

・家賃:20万円

・人件費:80万円

・広告費:10万円

・その他経費:30万円

 

この範囲でサロンを経営できれば利益が確保されるのです。あとは200万円の売上が現実的なのかどうかをシミュレーションします。

 

比率を使った収支計画の理論がおわかりいただけたと思います。次回は、より実践的な内容でさらに理解を深めていってほしいと思います。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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