サロンに役立つマーケティング用語 ~OODA(ウーダ)編~

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美容サロンの経営を取り巻く環境は、予測不可能な変化に満ちています。

 

新しい技術、多様化する顧客ニーズ、そして競合の激化。

 

このような時代を生き抜くために、従来の計画手法を超えた、迅速な意思決定と行動を可能にするフレームワークが求められています。

 

数多くあるマーケティングフレームワークの中で変化に適しているのが、意思決定サイクルOODAループです。

 

この記事では、サロン経営者が身につけるべきOODAループの概要、従来のPDCAサイクルとの違い、そしてサロンにおける具体的な活用プロセスを解説します。

 

OODAループの概要とPDCAサイクルとの違い

 

OODAループとは?

 

OODAループは、「Observe(観察)」「Orient(状況判断・方向付け)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の頭文字を取った、高速な意思決定と行動のサイクルです。

 

これは元々、アメリカ空軍のドッグファイト(戦闘機による空中戦)の際に開発したもので、「相手よりも速く、正確にサイクルを回すこと」に焦点が置かれています。

 

OODAとPDCAの違い

 

サロン経営で一般的に使われるPDCA(Plan-Do-Check-Action)は、「計画(Plan)」を起点とし、長期的な目標達成に向けて時間をかけて品質を改善していくことに適しています。

 

一方、OODAは「観察(Observe)」を起点とし、予期せぬ外部環境の変化に瞬時に対応し、競合よりも早く行動を変えることに特化しています。

 

比較項目 OODA(ウーダ)ループ PDCAサイクル
サイクル起点 観察(Observe):事実やデータを集める 計画(Plan):目標と行動を決める
重視する点 スピード、適応性、即応性 品質、継続的な改善、精度
適した場面 環境変化が激しい状況、競合への即時対応 安定した業務の改善、長期的な目標達成
サイクル速度 高速、即時的 中速〜低速、計画的

 

美容業界が直面する「VUCA時代」の波

 

現代はVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)**の時代と呼ばれ、美容業界もその例外ではありません。

 

  • 変動性: SNSトレンド(例:韓国風ヘア、地雷メイク等)の移り変わりが非常に速い。

  • 不確実性: コロナ禍のような予期せぬ事態が、客足やスタッフの働き方を根底から変える。

  • 複雑性: 集客チャネルが多様化し(SNS、ポータル、自社アプリ)、どのチャネルが効果的かの判断が複雑。

  • 曖昧性: 顧客ニーズが細分化し、明確なターゲット設定が難しい。

 

実際、美容サロンの倒産件数は過去最多を更新するなど、環境の厳しさは増しています。

 

この激変する環境下では、計画の見直しに時間をかけるPDCAよりも、素早く判断し、行動を変えるOODAの考え方が不可欠なのです。

 

参照記事:2025年1-9月「美容業」の倒産状況(東京商工リサーチ)

 

サロンにおけるOODAプロセスの具体例

 

具体的な競合対応の場面で、OODAループをどのように回すかを見てみましょう。

 

ステップ アクション サロンでの具体例
Observe (観察) 外部環境・内部データを収集する 競合A店が突然「新しいヘッドスパメニュー」を打ち出し、口コミが急増していることをポータルサイトで観察した。
Orient (状況判断) 観察した事実から、取るべき方向性を決める 「競合A店の新しいスパは、最新の機器を使った『睡眠特化型』だ。このままでは既存客が流出する。対抗策として『クイックリフレッシュ型スパ』の導入が方向性だ」と判断する。
Decide (意思決定) 具体的な行動プランを決定する 「来週から2週間限定で、現行スパの機器を使い『15分クイックリフレッシュスパ(2,000円)』を先行導入する」と決定する。
Act (実行) 決定したプランを実行に移し、結果をフィードバックする 新メニューをSNSで告知し、顧客に提供する。結果、客単価への影響や顧客の反応を実行し、次の「観察」へ繋げる。

 

このサイクルを、競合A店が次の手を打つ前に回しきることが、OODAの目的です。

 

OODAの成功率を高めるための注意点

 

OODAは「速さ」を重視するため、思い付きや無謀な行動になる懸念をはらんでおります。

 

「判断(Orient)」の精度が低ければ、サイクルは速くても失敗に終わります。

 

「判断」を思い付きにしないためのフレームワーク併用

 

OODAの成功率を高めるためには、単なる感覚ではなく、論理的な根拠に基づいた「Orient(判断)」が必要です。

 

そのためには下記のようなフレームワークが便利ですが、開業時や決算時などに事前に行っとくことが吉です。

 

フレームワーク 目的 OODAとの連携ポイント
3C分析 競合(Competitor)、顧客(Customer)、自社(Company)の状況を整理する。 観察 (Observe)の段階で情報を整理し、判断 (Orient)の精度を上げる。
SWOT分析 自社の強み・弱み、市場の機会・脅析威を洗い出す。
判断 (Orient)の段階で、自社の強みを活かせる方向性(Decide)を見つける。
ペルソナ設定 ターゲット顧客を具体的にイメージする。 実行 (Act)の結果を分析する際、設定した顧客層に響いたかを検証する。

 

参照記事:マーケティングを取り入れよう! 簡単にできる3C分析の使い方

 

参照記事:ターゲットが「サロンに行きたい」と思う状況は?実践ペルソナマーケティング

 

AIツール(ChatGPTなど)を活用してこれらのフレームワークを分析し、「なぜその行動をとるのか」という根拠を明確にすることで、OODAの速度と質のバランスが向上します。

 

まとめ

 

激変する美容業界において、OODAループはサロン経営者にとって最強の武器となります。

 

観察」から得た事実に基づき、「判断」を論理的に行い、「決定」した行動を即座に「実行」に移す。

 

この高速サイクルを回し続けるリーダーシップこそが、今日の成功を掴む鍵です。

 

まずは日常の小さな改善からOODAを意識し、変化の波を乗りこなす力を身につけましょう。

 

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●文/コンシェルジュチーム:野呂

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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