美容室開業には、店長経験がないと不利?指名客は?自分のキャリアに自信がない人へのアドバイス

日本政策金融公庫の融資審査ではサロンオーナーの経営者としての資質を判断されます。
未来のオーナーの経営者の資質をどこで判断するかというと、これまでの美容師としてのキャリアになります。
そう言われると、自分のキャリアに不安を持つ人もいます。
「店長経験なんてないです」
「あんまり指名客持っていないんです」
こうしたお悩みを聞くこともしばしばあります。
もちろん、美容師全員が店長になれるわけではないし、全員が100万円以上の売上を作れるわけではありません。
こうしたキャリアはすべてが本人の実力ではありません。雇用されたサロンの環境や方針にも左右されます。
ですので、店長経験がない、自分で売上を作れないからといって、「自分は経営者にふさわしくない」と開業を諦めないで欲しいなと思います。
経営者としての資質で不足している部分を認識したうえで、それを補うポイントがないか探してみよう。
店長経験がない
たしかに店長やマネージャーの経験は融資審査では有利です。
店長とは、自分の実績だけではなく、サロンの数字に責任を持っている立場です。お店のマネジメント経験の有無は大きいでしょう。
しかし、店長経験がないからといって開業できないわけではありません。
そもそも経営とは多様な業務を含みます。管理だけでなく売上を作ることも仕事ですし、人材育成も仕事です。
サロンの経営にプラスになる経験がなかったのか、別の視点でキャリアを見直してみましょう。
例えば、店長でなくても個人実績がよい人は、それだけでサロンの売上に貢献しています。
「組織で一番の売上をあげ、サロン売上の○○%を占める」というのも十分すばらしい資質だと思います。
また、サロンで与えられた役割に対して責任を果たした経験があれば、それも重要なポイントになります。
「集客を担当していて、ホットペッパー担当者と一緒にお店のクーポンを考案。売上アップに貢献した。」
「教育担当として、スタイリストを育てた。その中では売上100万円を叩き出すスタイリストになっている。」
自分のやったことがサロンにどのように貢献したのかを振り返ると、サロン経営にプラスになる要素は見つかります。
指名客が少ない
融資担当者は、開業後の収支計画について慎重に審査します。したがって、現サロンから引き継ぐことのできる指名客がいるほうが安心感を持ちます。
しかし、中には指名客がほとんどいないスタイリストもいます。「指名客がいない」という事実にも色んな背景があります。
例えば、今働いているサロンで指名客がついていないだけの場合は、それまでのキャリアでの売上実績を振り返りましょう。
客層が違うのか、単価が違うのか、出るメニューが違うのか、など現勤務先と指名客を持っていたときのサロンの差を認識したうえで、集客しやすい計画を立てましょう。
一方、どこで働いていても指名客が少ない場合には、2つの考えがあります。
一つは、客数が少なくても儲けがでる計画にすること。テナント選びも賃料を最優先に考えて、固定費を抑えることを意識しましょう。経費を管理するのも経営者の仕事です。
もう一つは、一緒に働くスタッフを確保することです。自分に自信がないなら、売れているスタイリストに頼るのも一つの手です。
例えば、人間関係の構築が得意な人は、人を誘うのも上手です。また色んなサロンで働いた経験がある人は、知り合いの美容師に声をかけることもできます。
自分の売上は50万円だけど、月100万円を売り上げるスタッフが一緒に働いてくれることで、十分な収支が見込めればそれでも開業はできます。
スタッフの見込み客を頼りに、実際に融資が通るケースもありました。
あくまでオーナーは経営者。技術者としての自信がないならば、人を集めて売上を上げるマネジメント力で勝負します。
一店舗でしか働いていない
正しい統計データはありませんが、美容師の職務経歴書を見ると大小色んなサロンで働いている人が多い気がします。
むしろ一つのサロンでずっと働いている人は、大手サロンのスタイリストくらいだと思います。
確かに、色んな場所で働いている人のほうが、どこでも活躍できるというアピールになります。(あまりに多すぎると逆に心配されますが。)
一方で、一つの場所で長く働くことにはそれなりのメリットもあります。
あるサロンオーナー様は20年同じ小規模サロンで働いていました。生涯顧客を多く持っており、独立後もほとんどのお客さまが通ってくれています。
小学校の時から通っているお客さまがいたり、自分と同年代で一緒に年を重ねたお客さまがいたり、長い付き合いゆえの強い絆があります。
遠方での開業の場合は難しいかもしれませんが、別のサロンオーナーのケースでは、「電車で1時間かけて通ってくれている」といったエピソードもあります。
そのスタイリストに髪を切ってもらうことが習慣になっている人も多くいるはずです。
また、小さいサロンでは長く働くことで、サロンのよい時も悪い時も経験しています。
「危機をどうやって乗り越えたのか」なども、安定しているサロンでは味わえません。サロンを経営していくうえで貴重な経験です。
まとめ
融資にあたっては、オーナー自身に経営者としての資質があるかを判断されます。
だからといって、必ずしも店長経験があるとか、指名客を持っているとかで判断されることはありません。
自分の強みを見つけてそれをもとに計画を立てていきましょう。また、自分の弱点(不足)を認識し、別の方法で克服できるようにしていきましょう。
自分には目立ったキャリアがない、指名客が少ない、一つのサロンしか知らない、などマイナス面に目を向けるのではなく、視点を変えてキャリアを眺めてみましょう。
サロン経営をしていくためのヒントは必ず自分のキャリアの中にあります。
開業無料相談では、オーナー様一人ひとりのキャリアの話もうかがいながら、事業計画や融資のアドバイスをさせていただいております。
ぜひお問い合わせください。
●コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。