経営の安定化と顧客ロイヤリティ向上!美容サロンにおける「サブスク」成功戦略

フィットネスジムや脱毛サロンで定着しているサブスクリプション(定額制)モデルが、近年、美容室やヘッドスパ専門店、トリートメント専門店といった分野でも大きな注目を集めています。
毎月安定した収益を確保し、顧客の囲い込みを図るサブスクは、美容サロン経営の新たな柱となりつつあります。
しかし、単に価格を定額に設定すれば成功するわけではありません。
美容サロンならではの複雑な原価構造と予約管理に対応するためには、「セッション単価」の設計と「キャッシュフロー」の管理が極めて重要です。
この記事では、サブスクモデルの基本的な特徴とメリットを整理しつつ、成功に不可欠な価格設定と財務管理の考え方を深掘りします。
参照記事:サブスクリプション(サブスク)のメリット・デメリット
目次
サブスクサロンの特徴と導入メリット
サブスクリプション型のサロンビジネスは、お客様とサロン双方にメリットをもたらします。
サブスクサロンの一般的な特徴定額制: 毎月一定額を支払うことで、料金を気にせずサロンに通えます。
通い放題・多回数: 多くのサービスで、利用回数に制限がないか、回数が多く設定されています。
多様なサービス: 美容室ではカット、カラー、シャンプーなどのセットが利用できたり、エステサロンでは特定の施術が利用できたりと、サービス内容は多岐にわたります。
通いやすさ
「カット通い放題」などのサービスでは、仕事や予定の合間など、自分の都合に合わせて手軽に通える点がメリットです。
サロン側のメリット安定したキャッシュフロー
月々定額の売上が確実に入るため、経営の安定化に直結します。
ロイヤリティ向上
顧客が定期的に来店することで関係性が深まり、リピート率が向上します。
稼働率向上
空いた時間帯の集客にもつながる場合があり、店舗の稼働率を上げられます。
アップセル・クロスセル: サブスク対象外のトリートメントや店販品など、付加価値の高いサービスへの誘導が容易になります。
サブスク成功の鍵:「セッション単価」の考え方
サブスクモデルのプライシングにおいて、最も重要な指標が「セッション単価(実質的な一回あたりの単価)」です。
この単価設計を誤ると、赤字に転落するリスクがあります。
セッション単価とは何か?セッション単価とは、お客様が支払う月額料金を、想定される月間来店回数で割った、サロン側が実際に得られる一回あたりの売上のことです。

たとえば、月額15,000円のカット通い放題メニューで、お客様が平均月3回利用すると想定した場合、セッション単価は 5,000円です。
サブスクにおけるプライシングの鉄則は、このセッション単価が、施術に必要な「原価」と「時間コスト」を下回らないよう設定することです。
プライシングのステップ原価の算出
施術に必要な材料費(シャンプー、トリートメント、カラー剤など)を算出します。
変動費・時間コストの算出: 施術時間、技術者の給与(人件費)、水光熱費などを考慮し、一回あたりのコスト(最低限確保すべき売上)を計算します。
理想のセッション単価を設定: 設定したコストに、利益を上乗せした金額を、理想のセッション単価とします。
月額料金の決定: 理想のセッション単価に「平均来店回数」をかけ、月額料金を決定します。
この際、利用頻度が低い顧客の売上で、利用頻度が高い顧客のコストをカバーできるよう、統計的な調整が必要です。
プライシングの注意点利用回数の予測: 顧客の平均来店回数は、最初は低く見積もり、データが蓄積されるごとに見直す必要があります。
予約管理
既存の通常顧客の予約枠を圧迫しないよう、サブスク顧客専用の予約枠や時間帯を設けるなど、稼働率のバランスを保つ工夫が不可欠です。
キャッシュフローの難しさと管理方法
通常メニューと比較して、サブスクモデルはキャッシュフロー(現金の流れ)が複雑になりがちです。
キャッシュフローが難しい理由
前払いによる売上の先取り: サブスクの月額料金は前払いで入金されます。
この入金時点ではまだ売上ではなく、「前受金」(将来サービスを提供する義務)として計上されます。
時間差の発生
現金が入ってくるタイミングと、サービスを提供して売上として計上するタイミングにズレが生じます。
キャッシュフローの考え方前受金の管理
入金された月額料金は、サービスを提供し終えるまで「本当の利益ではない」と認識し、会計上も「前受金」として厳密に管理します。
資金繰りの正確化
資金繰り表を作成する際は、入金日ベースの現預金残高だけでなく、前受金の消化状況も把握し、資金が枯渇しないか常にチェックする必要があります。
解約率と損益分岐点
解約率(チャーンレート)を常に追跡し、新規顧客獲得のコストと生涯価値(LTV)が、定額料金による収益で十分に回収できるかを把握することが、長期的なキャッシュフロー安定の鍵です。
美容サロンで導入されるサブスクの事例
美容サロンにおけるサブスクは、施術以外にも多岐にわたります。
施術・サービス提供型のサブスク例MEZON(メゾン)
幅広い美容室で、カット・カラーなどのサービスが利用できる月額制サービス。
Jetset(ジェットセット)
美容室の定額制サービスで、月額料金が設定されている。
EN men’s subscription cut salon
男性向けのカット、シャンプー、スタイリングが通い放題になるサービス。
ideal(イデアル)
定額制のサブスクリプションコースを提供。
経営支援型のサブスク例
タオルのサブスク
美容室が利用する鉄板のサブスクであり、レンタルタオルで洗濯コストや手間を大幅に削減できます。
ハサミのサブスク(シザスク、ToGEAR®など)
高額なハサミを定額でレンタルでき、初期投資を抑えたり、常に新しい状態のハサミを使えたりします。
シャンプー・トリートメントのサブスク(MEDULLAなど)
パーソナライズシャンプー・トリートメントを定期通販で提供。
美容室でのオンライン物販の一環として導入されています。
まとめ
サブスクモデルは、お客様の「こまめなメンテナンス」ニーズに応えつつ、サロン経営に安定をもたらす強力な手段です。
成功には、セッション単価の緻密な計算と、財務の管理体制の構築が不可欠であることを理解し、戦略的に導入を進めましょう。
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●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。







