広告は投資!美容サロンの広告効果測定キホンのキ
美容サロンの集客媒体といえばホットペッパービューティーが筆頭ですが、開業掲載時の打ち合わせではプランごとでの新規集客数しか聞いていないことも多いように思えます。
果たして選んだプランは本当に自分のサロンの計画に合っているといえるのでしょうか。
担当(集客プランナー)の提案を聞くことも重要ですが、経営者自身に基本的なリテラシーがないと本質を掴むことができません。
今回は開業者や開業後間もないサロンオーナー向けに広告効果測定方法の基本をお伝えします。
目次
損益分岐点から分析する
広告効果測定の前にまず大事なのが損益分岐点から広告費にいくらの予算が割けるかを考えることです。
これを下回るとサロンは赤字になるよ!という基本にして一番大事な分析です。
それでは具体的な例を挙げて説明しましょう。
例)スタッフがオーナー含め3人の15坪サロン
家賃が20万円で人件費が60万円、変動費率が相場である25%と仮定した場合。
下記が損益分岐点の売上と広告比率なります。
- 広告費5万円だと損益分岐点売上が約113万円(広告比率4%)
- 広告費10万円だと損益分岐点売上が120万円(広告比率8%)
- 広告費20万円だと損益分岐点売上が約133万円(広告比率15%)
- 広告費25万円だと損益分岐点売上が140万円(広告比率18%)
オーナー収入のことを考えると広告比率15%以上はかなりリスクがあることが分かるかと思います。
目標で【10%未満】、最低でも【15%】を広告比率の目安にすると良いです。
損益分岐点から広告費を考える時のボトルネック
通常、美容サロンの広告費は「固定費」で考えられることが多いですが、楽天ビューティーやMEO対策などの成功報酬型の広告が中心の場合は「変動費」で考えたほうが良いです。
ただ変動比率は半年~1年くらいの中長期で見ないとバラつきが出て正確な計測ができません。
また開業前の場合はあくまで予測になってしまうので成功報酬型の広告も「固定費」として考えたほうが分かりやすいかと思います。
参考記事:経費計算からスタート! 損益分岐点を使った売上目標の立て方【前編】
新規集客の効果測定方法
冒頭では新規集客数の測定だけでは足りないと言いましたが新規集客にも基本となる測定方法があります。
■新規顧客の集客効果の計算方法
効果値=(新規獲得数×クーポン単価)÷掲載費
例えば新規獲得が50人、クーポン単価が6,000円、掲載費が150,000円なら効果値は【2(倍)】です。
こちらの効果値が目標で【2】、最低でも【1.5以上】になるようなプランを考えていきましょう。
新規集客効果測定のボトルネック
それではこの効果値が【2】以上になる見込みであれば成功の確度は高いのでしょうか。
答えはNOです。
一つの目安としては有効なものの、この効果値だけを頼りに判断するのはあまりに早計です。
集客プランナーはエリア内の成功サロンの事例や平均実績をもとにプランを提示していますが、必ずしも自分のサロンがそのエリアに需要があるかは創業時には分からないためです。
ここで有効になるのが商圏分析となります。
商圏分析の重要性は当SALONスターターでも度々お伝えしてますので参考下さい。
参考記事:集客手段を決める前にすべきこと!エリアマーケティングの重要性について
参考記事:美容室開業に必要な商圏分析とその具体的な手法について
参考記事:そこで大丈夫? 物件契約前にすべき商圏分析と出店エリアの見極め方
CPA
次に考える測定方法がCPAです。
CPAとは「新規のお客様一人を獲得するためにいくらの広告費をかけたか?」です。
広告導入前の時には「新規のお客様一人を獲得するためにいくらまで広告費をかけられるか」を予測することができます。
■CPAの計算式
CPA=広告費÷集客数
先ほどの例だと広告費150,000円÷集客数50人=CPA【3,000円】になります。
CPA【3,000円】であればかなり健全経営です。
こちらは目標で【3,000円】、最低でも【10,000円】くらいを目安にすると良いでしょう。
「え!?新規一人を集客するのに10,000円もかけたら潰れちゃうよ!」という方、美容サロンが何より大事なのはリピート戦略です。
認知の機会さえ作ればリピートさせる自信がある!ということであればCPAが10,000円でも大丈夫な場合があります。
こちらは後述のLTVで詳しく説明します。
LTV
美容サロンにおけるLTVはざっくり言うと「新規を一人獲得するといくら儲かるか?」です。
■LTVの計算式
平均単価×平均リピート回数
客単価7,000円で平均リピート回数が10回ならLTV【70,000円】です。
※「いくら儲かるか」なので厳密には客単価から原価を引いた粗利益で考えて下さい
LTVが70,000円ならCPAが10,000円でも14%の広告比率なので何とか成り立ちそうです。
これがリピート15回(LTV105,000円)になるとCPAが10,000円でも広告比率が9%になるのでリピートの重要性が分かると思います。
LTVのボトルネック
通常、LTVの施策としてVIP制度やポイント制度などが考えられますが、いずれもすでにサロンのファンになっているリピーターを繋ぎとめる(浮気させない)ための施策です。
サロンのファンになっていないのに「VIPになりたいからまた行こう!」「ポイントが付くからまた行こう!」とはなりません。
新規、もしくは再来2~3回目の方をリピートさせる(ファンになってもらう)施策は必ず別で考えないとLTVの予測・分析は破綻します。
参考記事:販促ツールに頼らない! サロン集客の質を左右する考え方とリピート施策
まとめ
今回はホットペッパービューティーの費用対効果だけではなく、様々な角度から広告費用についてお話ししました。
リピート戦略が一番大事とは言いましたがロイヤルユーザーであっても引越しや病気など様々な理由で自然失客します。
新規集客は美容サロンにおける新陳代謝と捉え、最適な広告投資をしていきましょう。
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ビューティガレージの開業プロデュースでは今回ご紹介したような集客戦略についても綿密にサポートします。
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●文/コンシェルジュチーム:野呂
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。