下北沢のユニークな美容室『FRUITS』大林さんに聞いた一人サロンのメリット・デメリット

ビューティガレージのコンシェルジュ室で日々開業相談を受けていると、「一人サロンを開きたい」という人が増えているように感じます。

 

美容師の方が一人サロンを開きたい理由はいくつか挙げられます。

  •  自分の固定客にしっかり丁寧に対応したい。
  •  一緒に働く人が見つからない。
  •  資金が少ない。

 

しかし一方で、一人サロンへの不安もあるようです。

  • 売上の上限が決まっている。
  • 自分が倒れたら終わり。
  • 何かあったときに相談する人がいない。

 

そこで今回は、下北沢で10年ものあいだ、ヘアサロン『FRUITS』を一人で経営してきた大林さんにお話を聞いてみました。

 

今年、晴れて路面店でリニューアルオープンを果たした大林さん。ビューティガレージもお手伝いさせてもらいました。

 

「一人サロンってどうなの?」という疑問にこたえるべく、一人サロンの面白さ、大変さを聞いてまいりました。

 

一人サロンのきっかけ

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〉一人サロンを開業しようと思ったきっかけは何でしょうか。

本当はそれなりに規模の大きいサロンを作りたかったんです。でも、開業した当初、十分な資金を貯められておらず、身の丈にあった規模で考えたときに一人サロンに行きつきましたね。

 

〉もう少しお金を貯めてから、という手もあったのでは。

美容師になったときから、30歳で独立と決めて動いていました。だから、引き延ばすつもりはありませんでした。とりあえず小さくてもお店を出す決断をしました。

 

もちろん、開業がゴールじゃないんですけど、当時は早くスタートに立ちたいという気持ちだったんです。

 

〉ずっと一人で運営するつもりだったのでしょうか。

もちろんスタッフを雇えたらとは思っていました。でも、当初はまず自分が食べていけることが優先。だから正直10年間はスタッフのことは考えていませんでした。

 

今、ようやく今後の展開を意識し始めました。

 

“固定客がいる”という強み

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〉オープンしてどのくらいで軌道に乗せられたのでしょうか。

自分には前のサロンからの固定客がついていましたから、店舗を継続できるだけの売上は最初からありました。

 

〉一人サロンだとどうしても売上の上限が決まってしまいます。新規集客の余裕はありましたか。

ありました。でも、なかなか新規獲得は難しいです。1席しかないので、来客がかぶったら断らなければいけません。

 

あとは、そこまで集客にお金をかけてこなかったこともあります。固定客でなんとかやっていけるので、リスクを冒してまで広告を打ちませんでした。

 

実際に売上を伸ばすことは容易ではないですね。

 

〉Fruitsのメインターゲットはどんな方ですか。

下北沢のファッション関係の人ですね。ほとんどみんな10年以上の付き合いですね。特に音楽やファッションの趣味があう人が多いですかね。

 

もちろん、美容に気を使ってはいるんですけど、美容室に求めているものが少ないというか、シンプルに髪を切りたい、カラーしたい、というお客さんがほとんどです。

 

だから店販もしてないし、特にこだわったメニューや商材っていうのも打ち出してはいないです。

 

〉なんとなく、大林さんに会いに来ているという感じを受けます。

それもあるかもしれない。実際、美容室っぽくないでしょう?

 

自分らしさを体現できる

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〉すごく個性的な雰囲気ですよね、サロン自体が。良い意味でサロンっぽくないというか。

サロンに置いてある雑誌は自分が美容師になりたてのころから、開業のために買って取っておいたものです。

 

一人でやるんだから、自分の好きな感じにしたいと思ってサロンを作ったら、こんな感じになりました。

 

〉一際目を引くのが、このレコードとDJセットですね。

テクノ系の音楽が好きなんですよ。趣味でDJとかもやります。

 

〉そうなんですね。お客さまも気になりますよね。さっきもおっしゃっていましたが、音楽の趣味とかがお客さまと合うのですね。

音楽だけ聴きに来るお客さんもいたり、時間があるときは施術後も長居するお客さんもいたり、サロンというか同じ趣味の集まりみたいなところがあります。

 

一人サロンでいいなと思うのは、本当に自分のテイストに染められるという点かなと思います。振り切っているから趣味や嗜好が同じお客さまが集まってくるのだと思います。

 

スタッフ雇ってこれをやろうとしても、なかなかできないですよね。こういうモノって好き嫌いがありますから。

 

大変だったこと

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〉自分の思い通りにできるというのは一人サロンの特権ですね。逆に、一人サロンならではの悩みはありますか。

やっぱり一番は、困ったときに相談できる人がいないことですかね。一人でやっていると、自分がやっていることが正しいかどうか迷うことがあります。

 

そんなときにアドバイスをくれる人とか、励ましてくれる人がいないのは辛いですよね。

 

新規がまったく来ないときでもどうしたらいいかわからないので、とにかく悶々とした不安の中で働いています。

 

〉そういうときはどうするのですか。

開き直ります(笑)。楽観的でいられるのは固定客がいるからですが、固定客が来る限りどうにかなるという思いでやっています。

 

だからこそ、今のお客さまをもっと大事にしなきゃって思うんですよね。

 

〉他にはありますか。

美容業界の情報がわからなくなることですかね。今流行っているスタイルとかはお客さまから情報を得られるのですが、技術や薬剤なんて疎くなります。

 

今のお客さまが求めるスタイルを作っていくスタンスだし、積極的にトレンドを推していく必要がないので、困るということはあまりないですけど。

 

後は、お店の会計ですかね。一人でやっていても結構大変です。今回、融資を受けましたが、もうちょっとしっかりやろうと思いました。

 

インタビュー後記

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美容師になりたてのとき、30歳でお店を作ると誓った大林さん。腕に入れた“Fruits”のタトゥーをサロン名にしました。どうしても30歳でお店を持つには小さく一人で始めるしかありませんでした。

 

少し消極的な理由でしたが、一人サロンが10年続いて、ようやく路面店でリニューアルできました。

 

ここまで自分の好きなテイストにできたのは、一人でやっていたから、と振り返っていた大林さん。

 

今でこそ、「サロン=人が集まる場所」という価値を見出す美容師が増えてきていますが、大林さんは10年前からそうした付加価値を提供しているように思えます。

 

ちょうどインタビューしているときも、お知り合いの方が1ダースのコーラをリニューアル祝いに持ってきてくれていました。そのまま新しいDJセットについて談笑する一幕も。

 

“コミュニティで自分の居場所を作る”ということが、一人サロンの本当の醍醐味なのかもしれません。

 

大林さんありがとうございました。

 


店舗情報/プロフィール

『FRUITS』

住所:東京都世田谷区代沢
URL:http://www.fruits-tokyo.jp/

 

大林弘樹(おおばやし ひろき)

1999年 美容師活動を始める。
2006年 Freeの美容師として活動。
2009年 下北沢に『FRUITS』をOPEN。

BLOG:https://myspace.com/fruits-tokyo

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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