【美容室開業のリアル】脱トラブル! 独立前にやるべき現オーナーとの関係作り

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オーナーとの関係性

開業相談に訪れるお客さまの多くが、今働いているサロンの近くで物件を探しています。理由は簡単。自分の固定客を呼び込める可能性が高いからです。

 

融資審査でも、まったく集客の見込みが立たない計画よりも、ある程度自分の固定客を計算できる計画の方が好まれます。

 

しかし一方で、固定客は美容師個人のお客さまであると同時に、サロンのお客さまでもあります。そのため、現在働いているサロンのオーナーとの関係性も、開業時の重要なポイントになります。

 

今回は、私が相談を受けたAさんのケースを取り上げながら、円満な独立について考えてみたいと思います。

 

Aさんの身に起きたトラブル事例

スタッフの独立に理解あるオーナー

Aさんの働いていたサロンは「セット面5席、スタッフ4人」の小さな美容室でした。Aさんはそのサロンで働いて5年。

 

固定客が増えてきたことや、自分のやりたいことが明確になったことから、独立を考えだします。

 

独立にあたって、Aさんは事前にオーナーに相談をしていました。自身も独立開業した経験があったため、独立には理解を示してくれていたオーナー。

 

資金調達の方法や内装会社についてもいろいろと教えてくれており、オープン日が決まったらお客さまに告知することも了承してもらっていました。もちろん過度な営業はしないという条件で。

 

オーナーの理解に安心してAさんは開業の準備を始めました。

 

オーナーの態度が急変

不動産から空き物件を紹介されたAさん。その物件は働いているサロンから駅をはさんで反対側にありました。

 

広さ、アクセスの良さ、そして何より今のサロンから離れていないことなど、Aさんにとっては最高の場所でした。急いで融資を受けて物件契約をしました。

 

物件が決まり、いよいよオープンに向けてサロンを辞めようと、オーナーに相談に行きました。Aさんは、きっとオーナーも喜んでくれるだろうと思っていました。

 

ところがオーナーは突然、「同じエリアで開業なんて認めない」と言い出したのです。Aさんは、あれだけ親身になって応援してくれたオーナーが急に態度を変えたことに困惑しました。

 

理由を聞いてみると、契約違反だと言います。「独立するときは同エリアで出店しない」と就業規則に書いてあると言うのです。

 

Aさんは就業規則を確認しました。そこには競業避止義務について書かれてありました。

 

オーナーは、Aさんがその内容を理解して独立を準備していると思っていました。Aさんは競業避止義務があったことなどまったく知らず、オーナーから応援してもらえていると思っていました。

 

理由がどうであれ、すでに物件も契約をしてしまったため、Aさんはサロンを辞めてそこで開業しなければなりません。

 

結局、オーナーから追い出される形でサロンを去りました。もちろん、固定客への挨拶も告知もできず、「Aさんは急に辞めた」ということにされたのです。

 

競業避止義務に注意

Aさんの独立で問題となった“競業避止義務”。これは、サロンで働くスタッフが、同じエリアで同業種のビジネスを行い、サロンに不利益を与えてはいけないというルールです。

 

競争の激しい美容業界では、雇用契約に記載されたり、誓約書を書かされたりすることがあります。

 

ここでは競業避止義務の法的拘束力については触れませんが、この条件で雇用契約を結んでいる以上、これを守らないと違反です。

 

なにより問題なのは、法的な解釈よりも、オーナーとの関係が悪くなることです。

 

Aさんはこのサロンで5年間働きました。ここでの経験や実績があって独立できたわけですから、当然、円満にサロンを去りたかったのです。

 

しかしオーナーからすると、近くに店舗を出されることは脅威です。同エリアで出店されてしまうと固定客が流れる可能性が格段に上がるからこそ、オーナーは同エリアでの出店を禁止したのです。

 

法の問題ではなく、感情の問題

サロンを作るときには、今働いているサロンへの配慮が必要です。

 

今回のケースは、就業規則で競業避止義務が明記されていたためにトラブルが起こりました。では、競業避止義務がなければ問題ないのでしょうか。

 

オーナーの立場になって考えてみましょう。一緒に働いていた仲間が突然、駅の反対側にサロンをオープンしたらショックだと思います。

 

しかも、サロンの固定客を連れていかれたら経営にも大きな打撃です。裏切られたと感じるのではないでしょうか。

 

同じエリアで働く以上、顔を合わせる機会もあります。前のサロンとの関係が悪いと、とても晴れやかな気持ちでは働けません。

 

Aさんはオープン後、オーナーと街ですれ違って挨拶をしたときに無視されたそうです。

 

こうした気まずい雰囲気にならないためにも、独立には周囲の人への気遣いも忘れてはいけません。

 

「うちのオーナーは気にしない」という人もいます。しかし、実際にお店を出す段階になって態度が変わることはよくあります。

 

顧問のコンサルタントや税理士にも忠告されて、厳しい態度をとるようになったオーナーも少なくありません。

 

まとめ:あなたの独立は周囲の環境を変える

独立を必死で防ごうとするオーナーはいません。会社を辞めるのも仕方がないことです。しかしそれがサロンの脅威になる場合には、やはり不快感を露わにします。

 

自分の行動が、周囲に大きな影響を及ぼすことを理解しましょう。

 

「自分が辞めたあとは知らない」「自分の開業のことだけを考えればよい」と周囲への影響を無視して開業へ突き進むとトラブルが増えます。

 

独立する美容師は、これからサロンオーナーになる人です。自分がオーナーになったときに「やられたら嫌だな」と思うことは控えましょう。

 

オーナーの立場になって考え、行動しましょう。それでもうまく行かない場合、オーナーの気持ちを確かめながら、お互いに納得する形で独立できるように努力することが必要です。

 

せっかくの独立です。すっきりした気持ちで出店してほしいと思います。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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この記事のタグ

人間関係 独立 競業避止義務

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