美容室は地域密着型のビジネス!”近くの人”を意識した開業を目指そう

公開日:2021/01/21  更新日:2021/01/21
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地域密着型

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、銀座、青山といった一等地や都心の繁華街から多くのテナントが撤退しています。

 

つい先日はGINZA SIXでも改装のため14店舗が閉店しました。※1

また広告最大手の電通も六本木のビルを売却するというニュースも飛び込んできました。※2

 

商業ビルも空き店舗が目につくようになってきました。新しいテナントがなかなか決まらないとも聞きます。

 

我々がサポートしている美容室の開業者でも、一等地や繁華街に出店する人が減ってきています。

 

開業相談のデータを見ると、都心や市の中心部から外れた地域での出店を目指している人が増えています。

 

また、地元へ戻ってのUターン開業が前年に比べて増えていました。

 

いわゆる人が集まる商業的な立地での開業から、地元密着型のサロンを目指す動きが強くなってきたように感じます。

 

※1. https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2101/19/news137.html

※2. https://news.yahoo.co.jp/pickup/6382764

 

商業地域での開業リスク

4月の緊急事態宣言は美容室にも大きな打撃を与えました。特に苦戦したのは、都心や都市の中心部に店舗を構えたサロンでした。

 

人が来なくなる可能性が高い

東京・青山で経営しているオーナーから聞いた話では、集客が激減したとのこと。青山のサロンでは、多くのお客さまが遠方から電車で来店します。

 

しかし、4月から5月にかけての緊急事態宣言で、多くの人が移動を自粛しました。

 

その結果、客数が減ったのです。その後、サロンの売上は回復に向かっているものの、一度遠のいたお客さまの中には戻ってこない人もいるといいます。

 

一等地ならではの固定費の高さ

緊急事態宣言によって休業を余儀なくされたサロンもありました。

 

しかし、固定費(家賃や人件費)の支払いが大きいため、かなり苦しい状況に追い込まれました。

 

開業相談に来た、表参道で働いているスタイリストは、オーナーが資金繰りに苦しんでいるのを目の当たりにして、自宅のある京王線沿いでの開業を目指すことにしたそうです。

 

商業地域のメリットは多くの人が集まることでしたが、コロナによって動きが鈍くなりました。

 

もともと家賃の高い立地だったために、客数が減ることで予想以上に固定費が負担になりました。

 

こうしたニュースや話を聞いていると、商業地域で開業するメリットが魅力的ではなくなったのでしょう。

 

地域を理解する

一方で、郊外や住宅エリアでの開業にはどんなメリットがあるでしょうか。

 

それは、一等地や商業エリアよりも家賃が抑えられること。そして地元の住民がメインのターゲットになるため、住んでいる限り通ってもらいやすいこと、が挙げられます。

 

もともと美容室は地域密着型のビジネスです。その地域で生活している人々にとって必要不可欠なサービスを提供することが基本戦略になります。

 

それはどのエリアで開業しても同じです。

 

したがって、まず考えるべきはサロンから近くに住んでいる人への訴求です。

 

別の地域からわざわざ足を運んでくれるお客さまを増やす必要はありません。

 

そこで大切になるのはその地域を知ることです。

 

どのくらいの人口がいるか、どんな人が生活をしているのかを調査していきます。

 

市町村の人口動態データや国勢調査の統計データを活用して数を把握しましょう。

 

また、実際に街に出てみて、どの時間帯に誰がどんな行動をしているのかを観察してみましょう。

 

地域密着型である限り、地域を知ることが第一歩です。

 

地域でのNo.1を目指す

美容室は全国で25万件以上あります。都心エリアや都市中心部よりも競合が少ないにしても、周囲には数多くの美容室があるはずです。

 

の地域であれ、競合を意識しながら、お客さまの支持を勝ち取らなければなりません。

 

地域住民への宣伝を怠らない

美容室を探すときに「美容室 地域名」で検索するとします。例えば、そのときにGoogle マップ上に自分のサロンがないというのは、存在していないと同義です。

 

まずはその地域、細かく言えば「地区名」で検索したときに、発見されるようにしておく必要があります。

 

また、地域を限定するのであればチラシの折込やポスティングにも一定の効果が期待できます。

 

オープン時には、まずサロンの存在を知ってもらうことに力を注ぐべきです。

 

一つでも競合に勝るウリを作る

さらに、セグメントを細分化して勝てる分野を絞り込んで訴求しましょう。

 

・カット:似合わせカットが得意、ショートカットが得意、ボブカットが得意など

・カラー:デザインカラーが得意、ダメージレスなカラーがウリなど

・髪質改善:トリートメント、オーガニック、スパなど

 

例えば「美容室 地域名 髪質改善」で検索されたときに、このエリアで髪質改善に力を入れているサロンであることを住民に伝えることができます。

 

同時に、得意な分野でリピートを増やして実績を作っていきます。そうすれば「このエリアで髪質改善といえば〇〇」という評価につながるでしょう。

 

強みを磨いて尖らせていったほうが差別化はうまくいきます。

 

地域密着型ビジネスの強み

新型コロナウイルスによって、確実に消費者の行動が変わってきました。

 

リモートワークが実施されもはや都心で働かなくてもよくなりました。銀座や青山で買い物をせずともオンラインショッピングで欲しい物が手にはいります。

 

生活に不可欠なものは身近にあればそれで十分と考える人が増えているように思えます。

 

混み合う繁華街やプラットフォーム駅(渋谷や新宿のような大きな駅)に出かけなくても、近くに同じクオリティのサロンがあれば勝機が生まれます。

 

他の業種と比べて、美容室がコロナ禍でも堅調に収益を上げていられるのは、1)代替のきかない生活に不可欠なサービスであること、2)固定客が定期的に通ってくれるという循環ができていることだと思います。

 

美容室は地域密着型ビジネスなのです。まずは近くにいる人に価値を提供していけるサロンを目指しましょう。

 

※参照

開業すべき場所はここ! 美容室の出店エリアパターンと攻略法

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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