開業すべき場所はここ! 美容室の出店エリアパターンと攻略法

公開日:2019/11/05  更新日:2019/11/05
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
開業場所 選び

開業無料相談に訪れる際に、「どんなサロンを作るか」が明確になっているオーナーはほとんどいません。

 

しかし、多くのオーナーが相談の段階ですでに決めていることがあります。

 

それは“出店エリア”です。

 

コンシェルジュ室の無料相談に訪れた方たちのヒアリングシートを読み返すと、実に9割の相談者が出店エリアを事前に決めています。

 

この出店エリアを整理してみると、いくつかのパターンが見えてきました。

 

どこで出店するかによって、「事業計画書の作成」や「融資面談」で注意すべきことが変わってきます。一方、どのエリアで出店するにしても抑えなければいけないポイントもあります。

 

今回は、出店エリアのパターンとその特徴について考えてみたいと思います。

 

現在働いているサロン周辺での出店

最も多い出店パターンが、この「現在働いているサロンの近くに出す」というものです。

 

最大の理由は自分の“固定客”でしょう。お客さまが通いやすい場所を考慮すると、今のサロンから近いところで出すのが最善です。

 

長年働いていると、そのエリアについての知識がついてきます。ターゲットの消費行動や、新しい施設の情報など、街の事情にも詳しくなります。

 

このパターンは、日本政策金融公庫の融資担当者にも好まれる傾向にあると思います。見込み客を計算できるからです。

 

懸念点は、前オーナーとの関係性です。多くの美容室では、スタッフに競業避止義務を課しており、サロンの近くでお店を出さないよう制限しています。

 

お客さまの流出だけでなくスタッフの引き抜きなど、前オーナーとのトラブルは避けなければいけません。「駅の反対側に出す」「二駅ほど離れた場所に出す」など、オーナーへの配慮も必要になります。

 

プラットフォーム駅周辺での出店

プラットフォーム駅とは、渋谷・新宿・銀座など、路線・施設・ビジネス・人が集まっている駅を指します。

 

プラットフォーム駅にはさまざまな可能性があります。

 

客数のボリュームが大きいだけでなく、異業種のビジネスと協働できるチャンスも転がっています。成功すれば大きな利益を手にすることができるでしょう。

 

とはいえ、銀座や表参道など有名サロンが軒を連ねるエリアへの出店は、大きなステータスになる反面、競争が激しいのは言うまでもありません。

 

ホットペッパービューティーの掲載件数も多く、高額プランでなければ掲載効果が望めないのが実情です。

 

また、賃料などの固定費もかなり高くなり、開業資金も膨らみがち。自己資金をしっかり貯めておくだけでなく、どうすれば激戦区で生き残れるかという戦略も考えなければなりません。

 

地元へUターンしての出店

都心に出て働いていたとしても、「開業は地元で」と決めている人も一定数います。

 

「実家が土地を持っている」「実家を改装して美容室にする」など、何らかのメリットがある場合が多いようです。

 

このパターンでは、現在働いているサロンでの固定客は期待できません。そのため融資審査では、どのように集客していくかを説明していく必要があります。

 

新規だけでなく、リピートから固定客への定着についても施策を講じなければなりません。

 

反面、地元で開業するメリットは費用の安さです。都心よりも賃料が安いため、損益分岐点を低く設定できます。また、実家で暮らす場合には生活にかかる費用も抑えられるのです。

 

友人や家族のネットワークを使って紹介客を増やしていけば、利益が出せるような売上は確保できるでしょう。

 

その他エリアでの出店

自分の働いているエリアでもなく、人が多く集まるエリアでもない。まして自分の地元でもない。ゼロベースで出店エリアを選ぶパターンもあります。

 

この出店パターンの動機は主に2つ。

 

ひとつは、自分のライフスタイルに合わせるためです。たとえば、「子育てに適したところに引っ越しする」「プラットフォーム駅へのアクセスが良く便利な土地がいい」といった住環境を考えた出店が考えられます。

 

もうひとつは、“逆張り”を狙った出店。今や、美容室はありふれていて、有名なエリアでは競合が多すぎます。そこで、サロンが少なく、かつ伸びしろがあるエリアへ打って出ようという考えです。

 

ここでのポイントは“市場調査”です。もちろん、そのエリアで出店したいと決めているので調査はしているはず。

 

しかし、ここでビジネスを行う以上、できるかぎり詳しく調べる必要があります。十分に調べたうえで出店を検討しないと、お客さまが来ないリスクが高まってしまいます。

 

人口動態だけでなく、周辺の施設やホットペッパーに掲載しているサロンなど、さまざまなデータをもとに意思決定しましょう。

 

融資の観点からは、「なぜそのエリアで出店するのか」を十分に説明できるようにしなければなりません。

 

まとめ:最終判断はサロンが儲かるかどうか

どのエリアで出店するにしても、「利益が出せるか」を検討しなければなりません。

 

利益=売上-経費ですので、

・売上=客数×単価
・経費=固定費+変動費

について考えることが重要です。

 

売上の要素では「客数」、経費の要素では「賃料」が繁盛のポイントと言えます。

 

「客数が見込めないなら賃料を抑えられるか」
「賃料が高そうならどうやって人を呼び込み売上を作るか」

 

これらをシミュレーションしなければなりません。

 

特に集客に関しては、いかに説得力のある計画が立てられるかが肝です。

 

具体的には、集客施策の実績や、お客さまからの反応など自分の体験を棚卸しすること、そして市場調査を行い潜在的な客数を割り出すことが大切です。

 

それぞれの出店パターンの特徴をもとに、自分に合った出店エリアを考えていってほしいと思います。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

関連記事

開業事例