タンス預金は認められない!? 融資を実現するための自己資金の貯め方
『自己資金の額について』でもお話しさせていただきましたが、資金まわりの中では最初に把握しなければならない自己資金。今回は自己資金の“貯め方”について説明をしていきたいと思います。
自己資金は額より“貯め方”が大事?
自己資金は多ければ多いほうが良い。これは事実です。でも、実は金額と同じくらい、もしくはそれ以上に重視されるのが、自己資金の“貯め方”なんです。
たとえば、
A:宝くじに当たって手にした100万円
B:毎月1万円ずつ10年近くかけて貯めた100万円
もう気づいた方も多いと思いますが、この2つの100万円は全く価値が違います。言うまでもなく、Bの毎月貯めてきた100万円のほうが圧倒的に価値が高いんです。
なぜなら、「いつか独立開業開業をするぞ!」と心に決めて、まだ給料が少ない時代から貯めてきたお金です。
いつか開業するために貯めてきた、という「計画性」
給料が少ないときでも頑張って貯めた、という「情熱」
この「計画性」と「情熱」という2つの要素が、金融機関の担当者に伝わるのです。
計画性をもっている方は、きっと開業しても資金繰りや事業プランをしっかり計画していくでしょう。情熱を持っている方は、成功に向かってしっかり歩んでいくし、もし苦しい事態になっても簡単に諦めないでしょう。
金融機関はそう考えるのです。今日から自己資金はコツコツ貯めていきましょう!
自己資金は貯め方を証明できないとダメ?
自己資金はコツコツ貯めるのが大切と書きました。でも、もうひとつ重要なことがあります。それは、「他者にも経緯を証明できるよう貯める」ということです。
むかし、金融機関の方からこんなケースがあったと聞きました。
開業希望者・Aさんの通帳に自己資金として200万円記帳されている。しかし、通帳の入金記録では、1か月前に突然200万円の入金記録。
金融機関の担当者は、Aさんに対して「この200万円はどうしたんですか?」と聞きました。
Aさん:「私は開業を夢見て、数年掛けてコツコツとブタさんの貯金箱に貯めてきたんです。私はそのブタさんが増えていくのが自分の夢に向かっているようで嬉しくて、ブタが目標の20匹になったので、全部を割って200万円にして記帳しました」
素晴らしいと思います。きちんと計画を立てて、情熱と目標を持って貯めてきたのです。でも残念ながら、この200万円は自己資金と認められなかったそうです。
なぜか?
それは、この200万円が本当にAさんが貯めてきたお金かどうかがわかるのは、Aさんしかいないからです。いわゆる“タンス預金”ですね。
開業者が金融機関の担当者と面談するのは、ほとんどが1回、1~2時間ぐらいです。
経験豊富な金融機関の担当者でも、その短い時間で人間性を把握するのは不可能です。
「Aさんは自己資金と言いつつ、どこかからお金を一時的に借りてきて記帳したのではないか?」と疑ったのです。
「まとまったお金を手元においておくのは怖いから、銀行に預ける」というのが、いわゆる普通の考え方です。
でもAさんはきっと、「銀行に預けてもたいして金利はつかないし、自分の手元で増えていくのが楽しみ」と思っていたのでしょう。でもそれを他人に証明することはできないのです。
自己資金を貯めるときには、銀行に預金するなど、他者に証明できるように心がけましょう。
まとめ
自己資金は、コツコツ貯めることによって、開業に向けての「計画性と情熱」を証明できる。
自己資金は、第三者に証明できるよう、預金など記録に残る形で貯めましょう。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。