ベストな決定よりも自分の納得する決定を!開業準備のための判断基準づくり

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美容室 開業

今回、開業事例で紹介したお客さまは、物件探しに9ヶ月もかかりました。

 

しかし、選んだ物件は必ずしもベストの物件ではありませんでした。

 

それでもこの物件を選んだのは「9ヶ月我慢してようやく見つけたから」というわけではありません。

 

物件選びに大切な「判断基準」を絞っていたのです。

 

つまり「千葉駅徒歩圏内」を最優先に考えていて、他の条件が下回っても、その条件を満たしていればそこで行こうと判断したのです。

 

開業準備においては、物件選びも含めて、ベストな決定ができないことがほとんどです。様々な制約があるからです。

 

今回は、そうした制約の中で、よりよい決定をするために大切なことをお伝えしたいと思います。

 

※参照

我慢して待った1年間!ターゲットを学生に絞って立地で勝負!「プチプラ×ハイセンス」美容室|千葉

 

合理的な意思決定はできない

人は常に制約された条件のなかで意思決定しなければならないと言われています。

 

経済学では「限定的合理性」と呼びます。

 

合理的な決定とは、物件で言えば、必要な情報を収集して、収支シミュレーションした結果、費用を抑えて開業でき、かつ収益が十分に見込める物件を決めるということです。

 

しかし当然、情報収集には限界があり、将来への予測にも限度があります。

 

情報を調べても調べても知らない情報が沢山あります。いくつかの不動産を回って複数の物件を見つけたとします。

 

しかし、また別の不動産がそれよりも条件のよい物件をもっているかもしれません。

 

あるいは、あと1ヶ月経てば駅前のテナントが募集をかける可能性もあります。

 

このように情報は無限です。時間をかけて探せば探すほど、もっと情報が出てくるかもしれないと探し続ける悪循環に陥いります。

 

また、将来への予測も完ぺきではありません。

 

この物件なら集客が見込めると思っても、実際に来るかどうかは正確には読めません。

 

もしかすると、物件に面している通りが路面工事をして、しばらく通行が制限されるかもしれません。

 

いくら予測しても完璧な条件かどうかを判断することは不可能です。

 

したがって、ベストな決定にこだわると結局決定できなくなります。

 

自分が納得できる条件を探す

完璧に合理的な決定ができないため、人は自分が満足できるギリギリのところで決定をしていきます。

 

例えば自宅から歩いて5分のスーパーでは牛乳が180円で売っているとします。

 

さらに歩いて10分のスーパーでは170円で売っています。

 

さらにもうちょと歩いて、徒歩15分のスーパーでは160円です。

 

合理的な判断であれば160円を選ぶかもしれませんが、近くても180円の牛乳を選ぶ人がいます。

 

それは「180円でもよい」と自分で納得しているからです。

 

このように意思決定には自分の満足度が作用するのです。

 

開業事例のオーナーは、もう少し時間をかけて家賃が安いところなどを探すこともできました。

 

しかし、自分の中で納得できる条件だったのです。

 

判断基準をつくる

開業の準備は、牛乳を買うのとは違います。

 

より合理的にオープン後の利益や開業費用などを考える必要があります。

 

その中で、自分が納得して決定するためには、自分の判断基準をつくる以外にありません。

 

判断基準をつくる作業が事業計画書の作成なのです。

 

計画書の中でサロンを作るために大切にすべきことを明確にしていきます。

 

開業事例のお客さまにとっては<ターゲットが来やすい立地>が最も大切な判断基準でした。

 

もちろん賃料や内装費用も考慮すべき点でした。そして、その物件は基準よりも家賃が高かったのです。

 

しかし、オーナーにとっての納得感がありました。

 

多少賃料が上がっても「この立地なら自分の描いているサロンが作れる」と判断したのです。

 

完璧に合理的な決定ができない以上、自分の納得感がないと後悔します。

 

まとめ:判断基準をつくるのは事業計画書の役割

私たちは、様々なオーナーの開業サポートをさせてもらっていますが、理想とする物件が見つかることはほぼありません。

 

だからこそ、自分の価値判断にしたがって納得できる決定を目指すべきです。

 

物件探しでは何かしらの制約が発生します。

 

「家賃は安いけど狭い」「駅から近いけど4階でエレベーターがない」「家賃も立地もいいんだけど広すぎる」

 

こうした状況で何の判断基準も、優先順位もなく悩んでいると、完璧な物件を探し続けることになります。

 

それを防ぐには事業計画書しかありません。

 

事業計画書の作成は、自分の目指すサロンを言語化して、数値化して、大事な判断基準を設ける作業なのです。

 

オーナーの仕事は「決めること」です。しかし合理的でベストな決定を求めるといつまでも決定できません。

 

判断基準をもって自分が納得できる決定を目指してください。

 

※参照

理想のサロンに出会えない! 物件選びで失敗しないための判断基準作り

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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