開業を成功させるための必須条件!?オーナーの仕事は「決める」こと
サロンオーナーの大きな仕事は決定することです。開業においても、オーナーが決定して周囲(スタッフや内装業者などのパートナー)が動きます。
少ない情報であっても、時間がない状況であっても、オーナーは決断しなければなりません。
開業のプロセスは決定の連続です。
・どういうサロンを作るのかを決める。
・サロン規模や開業に使う資金額を決める。
・売上・利益目標を決める。
開業準備でうまく行っていない人を見ると、「決める」ことができずに悩んだり迷ったりしています。
決めないとどう動いていいかわからない
開業相談では「オープンに向けてどのように動いたらいいか」という悩みを受けることがあります。
こうした相談では、オーナーがすでに決めていることをもとに具体的なアドバイスをさせていただきます。
ところが、何も決めていない方にはそういったアドバイスができません。
ときどき以下のようなやり取りが発生します。
「どちらで開業を予定されていますか」
「ちょっと悩んでいて、今働いているところがいいか、別のところがいいか」
「サロンの規模はいかがですか?」
「それもまだ決まってないです。スタッフって今なかなか集まらないですよね」
決まっていないと提供できる情報がでてきません。
参考として、開業費用のデータを提示すると「けっこうかかりますね。もっと安くできませんか」と返ってきます。
「具体的なご予算の希望はありますか」
「そこまではわかりません。ただ安い方がよいなと思って」
こういう相談になってしまうと、一般的な開業の情報や金額を提示するだけで終わってしまいます。
そうした情報をもとに決める人もいますが、ある程度「どこで開業するか」「どのくらいの規模にするか」「いつまでに開業するか」などを決めている人のほうが「具体的にどうやって動くべきか」が見えてきます。
決めないと次のステップに進めない
決定する=前に進めるということでもあります。
美容室開業でのポイントは物件です。
物件の申し込みをしてから、資金調達を行って、物件契約になります。
この流れをスムーズに進めるためには、開業費用額と借入金額を決定して融資審査を受けることです。
「いくら借入するか」「足りない部分をどう調達するか」を決定しないと、融資審査に時間がかかり、物件が取られてしまう可能性が高まります。
確かに、内装工事や物件取得に想定以上にお金がかかるとわかると悩みます。
もっとよい条件の物件があったり、安く請け負ってくれる内装業者がいたりするのではないかと調べ始めます。
しかし、事業計画書の作成時に開業予算の上限を決めていたり、予算オーバーの場合の別の資金調達方法を決めていたりすると素早く判断できます。
また、思い切って決断することで、一緒に開業準備をするパートナーが様々な提案をしてくれることもあります。
例えば、内装業者が減額できる部分を提示してくれたり、器具メーカーが違った資金調達方法を教えてくれたりします。
決めることで全員が前に進むことができます。
決めないと時間がなくなってしまう
融資が決まって内装スケジュールがでてくるとオープン日も決まります。
約1ヶ月の工事期間の中で、今度は営業に必要な準備をしていきます。
このフェーズではオープン日が決まっているため、必要事項の決定が遅れると準備の時間が減ってしまいます。
例えば、オープンに合わせて販促物を考えるとしましょう。
その時、ホットペッパーに掲載するかどうかを決めなければいけません。
ホットペッパーの申込みには〆切があります。
それを逃したら1ヶ月掲載できない状態になります。
ギリギリで決定して申し込んだとしても、掲載内容を考える時間が少なくなってしまい、思うような訴求ができなくなります。
同様にホットペッパーをやらない場合でも、別の予約システムなどを導入するならば、その準備にも影響がでます。
また電話についても同様のトラブルが起こります。
電話回線にするのか光回線にするのかを迷って様々なサービスを検討するのに時間をかけすぎると、いざ申し込んだときには回線工事がオープンに間に合わない、という状況に追い込まれるかもしれません。
こうした営業準備に関してはあらかじめ決めておく方がうまくいきます。
どんなに不十分な情報だったとしても、決断すべきときに決断しないとオープンに間に合わなくなる可能性もあるのです。
まとめ:決定こそがオーナーの醍醐味
改めて、オーナーの仕事は決めることです。
実行することは他の人に任せることはできますが、決めることはオーナーにしかできません。
自分で決めることは大きな責任を伴います。
しかしそれこそがオーナーの醍醐味です。
私たちは数々な開業のお手伝いをしてきました。
しかし、私たちはオーナーの代わりに決定することはできません。
オーナーの決定、決断に必要な情報を提供したり、決定事項を実現するためのアドバイスをしたりするだけです。
以前記事にも書きましたが、成功するための条件や情報が完璧にそろうことはありません。
しかし、その中でオーナーは決めなければならないのです。
決めることができれば、どうやって実現するかは周りが手伝ってくれます。
開業準備はオーナーになるための準備期間です。ぜひ「決める」を実践してください。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。