「予約が取れない」が原因の機会ロスを防ごう!時間を意識した価格戦略!

公開日:2021/07/30  更新日:2021/07/30
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美容室 開業

美容室は排他性を持つサービスです。ある人が利用しているとき、他の人が利用できません。

 

しかも、時間・空間だけでなくスタイリストという人にもサービスが付帯します。だから、顧客が求めるスタイリストには通常料金に加えて指名料がつくのです。

 

サロンビジネスは時間ビジネスともいわれます。お客さまの時間にサロンの時間がマッチしなければ、サービスが成立しないのです。

 

サロンが提供するサービスは、時間という軸でとらえることも大切です。メニュー価格を設定するときに、競合との比較やコストからの逆算だけでなく、時間価値を加えてみましょう。

 

時間に対しての価値観は人によって異なります。したがって、同じサービスでも価格が変わることは十分ありえるのです。価格を変動させることで、サロンのチャンスロスを減らすことができます。

 

予約が取れないから、別のサロンに行く

サロンビジネスで失客の原因になる一つに「予約のとれなさ」があります。その日その時間に美容室に行きたい。だけど、その日時で予約が取れなかった。

 

特に小規模サロンでは予約枠が少ないので、希望する予約時間はかぶりやすくなります。

 

予約が取れなかったときの選択肢として、お客さまは別のサロンを探します。

空席

そして、たまたま空いていたサロンに予約して、いつも通っているサロンよりもよいサービスを受けたとしたら、次回もそのサロンに通う可能性が出てきます。

 

サービスや技術が原因による失客よりも、実にもったいない失客です。

 

しかも、電話での予約が少なくなった昨今、予約が取れないことで失客したことすら気づけなくなるのです。

 

予約を分散させる

どの美容室も忙しい時間と暇な時間があります。

 

平日よりも土日祝日は忙しい。午前中は予約が埋まりやすいが、昼過ぎから夕方にかけては暇、などサロンによって状況が異なりますが、忙しいときと暇なときの差はあります。

 

理想としては、通ってくれるお客さまが一定の時間帯に集中せず、まんべんなく予約が埋まることです。

 

予約が取れないために、他のサロンに行こうとするお客さまを、サロンの空いている時間に誘導することで、機会ロスを防ぐことを考えなければなりません。

 

しかし、これを実行するにはかなり難しい。なぜなら、お客さまがサロンに来たいという時間を変えなければならないからです。

 

土曜日の10時に行きたいお客さまに、火曜日の午後に予約をずらしてもらうためには、どうしたらよいでしょうか。

 

プライシングの変動

お客さまが時間をずらしてもよい、と思わせるには何が必要でしょうか。それは、お客さまにインセンティブを当たることです。

 

お客さまにとってのインセンティブ、それは価格です。

 

つまり、繁忙期には少し高めに価格を設定する、あるいは閑散期に少し安めに価格を設定することです。

 

これをダイナミックプライシングと言います。

 

時間と空間を扱うビジネスでは、ダイナミックプライシングはよく行われています。例えば、飛行機のチケットやホテル。時期によってチケット代や宿泊代金が大きく異なります。

 

「どうしてもその時間に利用したい人」は多少高くてもその時間の枠をとる。逆に「すこし時期を変えれば安くなるなら、ずらしてもよいと思う人」は閑散期を狙います。

 

実は、美容室でもこのダイナミックプライシングを行って集客を行っています。ホットペッパーなどの平日限定クーポンなどがそれにあたります。

 

通常10,000円のカットカラートリートメントを平日なら8,000円で提供できれば、土日に予約を取る予定だった何人かの人は平日に流れます。

 

空席対策

価格を時間によって変えることで、かえって「繁忙期のお客さまがいなくなるのでは」という不安もあると思います。

 

しかし、時間とお金に対する価値観は人それぞれです。全員が時間よりもお金をとるわけではないのです。

 

お金を重視する人は、突然の雨でも、駅で500円の傘を買って30分歩いて帰るでしょう。時間を重視する人は、駅から1,000円でタクシーに乗って、5分で家に帰ります。

 

それぞれが自分の価値観に従ってサービスが受けられるほうが、満足値は上がるという考え方は注目すべきです。

 

戦略的に価格を動かす

クーポンサイトが登場してから、「値引き」についての論争が絶えません。しかし、空席への対応や、お客さまの時間に対する価値を考えれば、価格が変動することは悪いことではありません。

 

ダイナミックプライシングを導入することで、予約が集中してして取り逃してしまう客数を分散させたり、空席の多い時間帯を集客で埋めることができれば、サロンの売上に大きく貢献します。

 

開業時にも、価格を決める時、「あまり安売りをしたくない」「高すぎてもお客さま来ない」という声をよく聞きます。

 

しかし、サービス自体の価値に加えて、時間の価値を考慮すれば、価格を変動させることも重要な戦略になります。

 

ぜひ柔軟にメニュー価格を考えてみてください。

 

※参照『見逃せない空席への貢献度! ネット予約から考えるポータルサイト活用法

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

 

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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