オープン時に残しておきたいキャッシュはいくらが妥当?注意しておきたい運転資金についての考え方

公開日:2021/12/08  更新日:2021/12/08
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貯蓄

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあってか、オープン時にキャッシュを十分に確保しておきたいという相談が増えました。

 

ビューティガレージでは、固定費、特に家賃と人件費の3ヶ月~6ヶ月分の現金を用意してスタートさせるべきだと提案しています。

 

開業準備では、オープン時に残しておくお金を含めて事業計画書を立てます。

 

お金を残すことを優先させるとどうしても、内装費や美容器具といった設備資金を削らなければならなくなります。

 

特にスタッフを雇用する場合、人件費の3ヶ月~6ヶ月分を確保するとなると金額が大きくなってしまいます。

 

トータルの開業費用が大きくなるため、融資金額も増えてしまいます。今回は、オープン時に確保しておくべきキャッシュについて、もう少し踏み込んで考えてみましょう。

 

確保したキャッシュが役に立つとき

オープン時に残しておいたお金はどんな時に使うのでしょうか。

 

今の開業者の頭にあるのは、コロナ禍における営業自粛や営業時間の短縮です。

 

2020年4月の緊急事態宣言では、多くのサロンが営業自粛を余儀なくされました。こうした有事の時には、売上=入ってくるお金が、なくなる一方で、サロンを維持する費用だけが発生します。

 

あるサロンオーナーから聞いた話によると、緊急事態宣言の時は約2ヶ月分の販管費が預金口座から消えたと言います。

 

オープンして間もない中で、万が一の事態が起こって、キャッシュがなくなったらお店を続けることができません。そのために確保しておくキャッシュなのです。

 

また、オープン時は売上が読めません。指名客が来るかどうかも不透明ですし、思ったように新規集客ができないかもしれないからです。オープン後数か月赤字がでることも十分予測されます。

 

オープン時に残しておいたお金はそうした赤字を補填する役割も担います。

 

さらに、オープン前後に発生する思わぬ出費に備えるためにキャッシュを残しておきます。

 

内装工事で思ったよりも費用がかさんでしまった。オープン前にホットペッパーを掲載したため、売上が立つ前に掲載費を払わなければならなかった。

 

特にオープン前後は、発生する費用のパターンが読めません。売上が立つまでは、このキャッシュから支払いをしていかなければならないのです。

 

原則は営業で稼いだお金でサロンを回していく

オープン時に残しておいたお金は使わないでおく。事業計画書では、売上や利益の目標とその戦略を作ります。

 

利益を出すことを目的に事業を行うのです。不安だからと言って、オープン時にお金を残すことを第一に考えて計画を立てるのは本末転倒です。

 

固定費の3ヶ月~6ヶ月を現金として残すというのは、その期間までにサロンを軌道に乗せるという意思表示でもあります。

 

必ずしも「6ヶ月分を現金として取っておかなければならない」というわけではありません。

 

計画の中でリスクを考えて、残しておくキャッシュを決めるべきなのです。

 

事業計画で、初月から黒字経営ができそうな確度が高いならば、3ヶ月分でもよいかもしれません。

 

あるいは、スタッフの指名客の見込みが全くない場合には、そのスタッフにしっかり売上がつくまでの給与分を確保しておくべきかもしれません。

 

あくまでも収支計画をベースに「どの程度お金を残しておくべきか」を考えるようにしましょう。

 

融資でキャッシュを確保する場合は注意が必要

ある開業者のサポートをしたときの話です。

 

本来であればトータル1000万円で開業ができたところ、キャッシュを少し多めに確保したいとの理由で1200万円まで増やし、自己資金200万円で1000万円を借入れました。

 

その時に日本政策金融公庫の担当者から次のように言われたそうです。

 

「運転資金に余裕がありそうなので、それを少し設備に回せば借入れを減らせますよ」

 

結局1000万円満額を獲得しましたが、この話は重要なことを示唆しています。

 

つまり、必要以上にキャッシュを持とうとすると融資にも影響するということです。

 

オープン時に残しておくお金が多すぎると「事業が不安定なのか」と思われるかもしれません。

 

自己資金にも余裕がある場合、「借入れを増やすよりも自己資金を増やしたほうが財務が安定するのではないか」と言われることもあります。

 

「将来不安だからお金が欲しいです」と言って、キャッシュを増やそうとすれば、今度は「リスクの低い計画に修正すべき」と突っ込まれます。

 

万が一のために取っておくキャッシュを借入れするのはハードルが高いのです。

 

万が一のためのお金は自己資金で補い、サロンを作るためのお金を借入れする計画こそが王道だと言えます。

 

キャッシュが必要なら借入れに頼らず自分で工面を

オープン時にある程度のキャッシュを残しておくことは、サロンを安定させるために不可欠です。

 

しかし、同時にあくまでそのお金は、万が一の時の支払いや赤字の補填に使われるべきものです。

 

サロンを回していくためのお金は、計画で立てた売上で稼いでいきます。

 

どうしても不安で現金を確保しておきたい場合には、以下の方法を取ります。

 

・ローンや分割の支払いを利用して、器具・内装にかかる費用を浮かせる。

・自己資金を増やす。

・親族からの支援金を、残しておくキャッシュに充てる。

 

融資はあくまで事業計画を遂行するために必要なお金です。融資では、万が一のために取っておくお金を増やしたい=事業がうまくいかない可能性がある、という風にとらえらるので注意しましょう。

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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