自宅サロンの間取りはどうすればよい?必要なスペースや注意点
店舗を借りる「店舗型」よりも少ない資金で開業できる「自宅サロン」。
店舗営業を見据えつつ、まずはリスクの低い方法で開業したい方や、家事・育児と仕事を両立させたい方など、積極的に自宅サロン開業を考えている方も多いです。
しかし「間取りをどうすればよいのか?」「何に気をつければ?」など疑問を持つ方もいると思います。
せっかく自宅サロン開業に向けて準備していても間取りの取り方が悪く、後々困ったケースも…。
ここでは自宅サロンの間取りを考える上で重要なポイントをご紹介いたします。
目次
自宅サロンの間取りに必要なスペースは?
最近はネイルサロンやエステサロン・リラクゼーションサロンなど、自宅サロンを開業される方が増えています。
テナント物件のように広いスペースを確保できればよいですが、自宅の一部をサロンとして利用する自宅サロンでは、限られたスペースしか利用できないことが多いです。
サロンを開く上でどのようなスペースが必要になるのか、詳しくみていきましょう。
施術室
特に脱衣系のエステやリラクゼーションサロンの場合、プライベート空間が必要になるため、施術室は個室でなければなりません。
おおよそ6畳くらいの広さは欲しいところです。
美容室を開く場合は、美容所登録のため保健所の検査が必須です。したがって広さや設備の条件がほかの業種より厳しくなります。
保健所の要網を確認してください。
比較的自由に開業できるのはネイルサロンです。制約条件がないので、リビングの空きスペースを利用する形でもOKです。
待合スペース
自宅サロンは原則、完全予約制が望ましいと言えます。どうしても施術が押してしまって、次のお客さまを待たせるという場合に備えて、スペースを確保しておくことも選択肢です。
1室を待合室として準備できなくても、パーテーションを利用して待合のスペースを作る人もいます。
また、どうしても待合スペースを設置できないのであれば、次のお客様が来られるまでの時間に余裕を持たせ、絶対にブッキングしないように調整する方法もあります。
準備室
必ずしも必要ではありませんが、施術前後でドリンクサービスを提供したり、顧客カルテを管理したりと、施術室とは別に部屋を確保できると便利です。
特に、着替えが必要な施術では「お客さまに着替えてもらう場所を確保するか」もしくは「一度スタッフが施術ルームを退出して待つか」になります。
また、お客様のカルテは個人情報ですので、管理を徹底します。紙・パソコンどちらで管理するにせよ、家族からも見られないように配慮が必要です。
これから自宅兼サロンを前提に家を建てる方は、設計の時点で準備室も考慮できるとよいでしょう。
お手洗い
お手洗いはどのサロンでも必須です。お手洗いをお客様専用にするのか、家族と兼用にするのか考えなければなりません。
もっともよいのは施術室のすぐとなりにお客様専用のお手洗いが設置できること。しかし自宅サロンを設計段階から想定していなければ難しいでしょう。
なるべくお手洗いに近い場所を施術室とするか、お手洗いまでの道のりにパーテーションを設置し、生活空間がお客様の目に入らないように工夫するとよいです。
家族と兼用する場合はお客様が来る前後でこまめに掃除し、家族にも利用した前後で簡単な掃除をしてもらうように協力してもらいましょう。
自宅サロンの間取りを考える上で気を付けること
自宅サロンの間取りを考える上で、注意点がいくつかあります。
この注意点を考慮せず自宅サロンの開業を進めると、コンセプトとかけ離れてしまったり、必要以上にお金がかかったり…。
最悪の場合、開業できないこともあります。
どのような点に気をつければよいのか、順番にみていきましょう。
基準を満たしているか確認する
エステサロン・リラクゼーションサロン・ネイルサロンを開業したい方は、基本的に保健所への申請・登録は不要です。
しかし理・美容所(理容室・美容室・まつエク)やマッサージ(はり・鍼灸・あん摩マッサージなど)のサロンを開業する時は保健所へ申請・登録をしなければなりません。
そのため各自治体で定められている基準を満たす必要があります。
理・美容所に関するチェック項目の中には、床面積や採光・照明・換気、洗い場、待合場所などさまざま確認事項があります。
細かい内容は自治体によって変わるため、間取りを考える前に確認しておきましょう。
生活感が出ないように動線を考える
サロンに来る多くのお客様が非日常を体験したいと感じています。
生活感のわかるものがお店の中に置いてあったり、部屋を移動する中で視界に入ったりしてしまうと雰囲気が台なしに…。
生活感が出ないようにインテリアだけでなく、お客様の動線も踏まえた間取りを考えましょう。
できれば家族とお客様の動線が交わらないよう、別々にできるとよいです。
自宅兼サロン新築は原則2つのローンを組むことになる
自宅サロンを開業する前提で家を建てる方もいるでしょう。
居住スペースとサロンスペースを分けやすく、内装や外装も初めからコンセプトに合わせたものにできます。
家を建てる時、ほとんどの方が住宅ローンを組むと思います。しかしこれはあくまで住居に適応できるローン。
一般的に店舗部分の工事には適応されません。そのため自宅兼サロンの家を建築する場合は、店舗部分にかかる金額を住宅ローンとは別に事業ローンを組みます。
ただ金融機関によって基準が異なるため、住宅ローンを申請する時に必ず相談してください。
自宅の一部をサロンにするなら内装費用がかかる場合も
自宅サロンは物件の取得費用や賃貸料がかかりません。そのため物件を借りてサロンを開く店舗型より初期費用を抑えることができます。
しかし全く店舗にかかる費用がかからないわけではありません。多くの方が内装工事を行います。
どの程度こだわるかにもよりますが、解体費・運搬費なども内装費に含まれるのです。
またお客様の駐車スペースを確保したり、コンセプトに合う外装にしたりすると外装費が必要になる場合も。
保健所の基準を満たすため、水回りの環境も整えるとなると、想像以上に費用がかさむことになります。
店舗型より費用のかからない自宅サロンですが、内外装費には、ある程度まとまった費用が必要だとみておきましょう。
※自宅サロンの注意点について詳しく知りたい方はこちらも
「自宅をサロンにしたいならココに注意!住居兼美容室の開業で気をつけたいこと」
部屋が狭い!自宅サロンを広くみせるコツ
サロンを開くスペースは確保できたものの、狭さが気になる方もいるでしょう。
特にリラックスできる空間を提供したい方にとって、狭くて圧迫感のある部屋はコンセプトから逸脱してしまいます。
しかし物理的に部屋を広くするのは難しい…。
そんな悩みを持つ方に、狭くても部屋を広く見せるコツをご紹介します。
鏡を置く
鏡をうまく活用しましょう。
人は天井が広かったり、床が多く見えたりすると広いと感じます。
鏡を置けば視覚に床の面積が増え、奥行きを感じられるため、実際の部屋より広く感じてもらえるでしょう。
特にエステサロンやリラクゼーションサロンでは施術前後に着替えてもらったり、身体の変化を感じてもらったりするために大きめの鏡を用意しておくとよいです。
床に置くタイプの鏡はそれだけでスペースを取ってしまうため、壁掛けタイプがおすすめです。
低い家具にする
天井の高さも広く感じてもらうためには必要です。同じ広さの部屋でも、天井が低いだけで圧迫感を感じます。
しかし実際に天井を高くするとなると、高額な工事費がかかります。
工事をしなくても、部屋にある家具を全体的に低くすると視界に入る壁や天井が増え、天井が高いと感じてもらえます。
余分な家具を置かない
雰囲気を出すため、観葉植物やインテリア雑貨を置きたくなりますが、なるべく必要最低限のものに留めておきましょう。
たくさんのものを置くとごちゃごちゃした印象になり、より狭く感じます。
落ち着いた雰囲気を出したいのであれば、なおさら家具はシンプルな方がよいです。
「殺風景になるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、カーテンや壁紙の色・間接照明を利用すれば十分高級感のある空間を演出できます。
広さを優先して、施術に必要なものだけを置くようにしましょう。
家具の色を統一する
家具の色を統一させることで落ち着いた雰囲気になり、部屋を広く見せられます。
ベッドやテーブル、ソファや椅子などそれぞれに多くの色を使っていると、雑然とした印象になります。
統一感のない空間は狭く感じるだけでなく、お店のコンセプトも伝わりにくくなるなどデメリットもたくさん。
家具の色はベースカラー・メインカラー・アクセントカラーそれぞれ1~2色くらいに抑えると統一感が出て広く見えます。
明るい色をベースカラーにすると、さらに効果的です。
コンセプトカラーを選ぶ時はお客様にどのような視覚的イメージを与えたいのか、ブランドイメージだけでなく、部屋のことも考えながら選びましょう。
また色だけでなく、家具の高さや奥行きもなるべく統一させるようにすると、より広く見えます。
間接照明を活用する
部屋の奥の壁や天井を間接照明で照らすと奥行きが感じられ、部屋を広く見せられます。
また間接照明はやわらかく反射した光が目に入るため、リラックス効果も期待できます。
特にエステサロンやリラクゼーションサロンの開業を考えている方は、間接照明を有効に使うとよいでしょう。
自宅サロンを開業する時の注意点
自宅サロンは開業しやすい一方、注意すべき点がいくつかあります。
この注意点を確認しないまま開業すると、大きなトラブルに巻き込まれる可能性もあるのです。
賃貸の場合は契約内容を確認する
アパートやマンション・借家など賃貸物件を利用して自宅サロンを開業する場合、どのような契約になっているか確認しましょう。
通常、住まいとして利用するための賃貸借契約は「居住用」として結びます。しかしサロンを開業するためには「事業用」の賃貸借契約を結ばなければなりません。
「居住用」で契約したのにもかかわらず、自宅サロンを勝手に開業してしまうと法律違反になることも。
また住むことを目的にした居住用の契約では、賃料に対する消費税はかかりません。しかし事業を行うことを目的にした場合、賃料に対して消費税がかかるのです。
「居住用」の物件を大家さんに無断で自宅サロンとして使用すると、この消費税を払っていないことになります。
そのため仕入れ税額控除も利用できません。
大家さんや管理会社に無断で自宅サロンを開業すると大きなトラブルになりかねません。契約書の確認も含め、必ず大家さんや管理会社へ許可を取ってください。
分譲マンションは管理規約などをチェック
賃貸ではない、分譲マンションの場合も注意が必要です。
マンションにおける店舗の営業など営利目的の利用は、マンション管理組合が規定する管理規約などで制限されていることが多いです。
必ずマンション管理規約を確認してください。
家族の許可を取る
お客様とはいえ、自宅に他人を招き入れることになります。それをあまり快く思わない方もいるでしょう。
また居住スペースとお店をしっかり分けていても、家族とお客様が同じ建物内にいることになります。
お客様が来られている時間帯は、「お店には来ない」「騒音を出さない」など家族の協力が不可欠です。
自宅サロンの成功は家族の協力にかかっていると言っても言い過ぎではないでしょう。
近所の方へ必ず挨拶を
近所の方への配慮も忘れないようにしましょう。開業のために看板を設置したり、内装工事のために業者が出入りしたり周囲の方へ迷惑をかけることもあります。
また開業後もお客様が頻繁に行き来します。お客様と近所の方との間でトラブルが発生する可能性もあるのです。
どのようなお店を開くのか、ご説明も兼ねて必ずご挨拶に伺いましょう。ご近所トラブルを防ぐことにもつながります。
自宅でサロン開業なら「ビューティガレージ」にご相談を
自宅サロンの間取りについてご説明してきました。
しかし実際の間取りを見るとどうすればよいか迷う方もいるでしょう。また本当にこの間取りでよいのか心配になる方もいると思います。
ぜひ「ビューティガレージ」の開業無料相談をご利用ください。一人ひとりのお話をお聞きした上で、開業コンシェルジュがアドバイスいたします。
間取りに関してだけでなく、開業に関するお悩みもOKです。お気軽にご相談ください。
まとめ:自宅サロンでもプロであることを忘れない
自宅サロンを開業する上で、どのような間取りにするかはとても大切です。開業するために最低限必要なスペースを確保しなければなりません。
どのようなスペースや環境が必要なのかは、サロンの業種によっても異なります。
エステサロンやリラクゼーションサロンでは個室の施術室が必須ですが、ネイルサロンなら個室である必要はありません。
また美容室やまつエクサロンを開くのであれば、各自治体が定める基準を満たさなければなりません。必ず間取りを検討する前に問い合わせをし、確認しましょう。
自宅サロンでは、店舗型のように広いスペースを確保できないことが多いです。しかし工夫次第で、実際より広く感じてもらうことができます。
どのような家具を置くのか、鏡や間接照明もうまく活用して、コンセプトに合った理想のサロンを作り出しましょう。
自宅サロンであろうと、店舗型サロンであろうと、お客さまから対価を得る以上、プロです。開業することが目的になってしまっては元も子もありません。
開業のしやすさに惑わされず、技術・知識の習得が前提であることを忘れないようにしましょう。
特に、未経験の場合は、自宅サロンを始める前に、しっかり技術を学び、サロンで働く経験を積むことをお勧めします。
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。