面談で何を聞かれる? 融資審査で抑えておくべき必須ポイント ~職務経歴書編~
美容室を開業するときに足りない資金は、借入れをする必要があります。資金調達の方法はさまざまですが、一般的なのは“日本政策金融公庫”からの借入れです。
この日本政策金融公庫で借入れをするためには、面談を受ける必要があります。
提出した書類をもとに、融資担当者がいろいろな質問をして、サロンの可能性やオーナーの資質を確認していきます。
開業相談に訪れる方からも、「融資の面談ではどんなことを聞かれますか」という質問を受けることがあります。
質問内容は融資担当者によってさまざまですが、実際に審査面談を受けたオーナーに話を聞いてみると、いくつかの共通点があります。
今回から数回に分けて、日本政策金融公庫の融資審査で抑えておくべきポイントについてお話しします。
今回は、“職務経歴書”に関してよく質問される項目を見ていきましょう。
【関連記事】美容室開業ならココ! 日本政策金融公庫で資金調達する3つのメリット
美容師としてのキャリア
日本政策金融公庫は、「開業者が同業の経験が一定以上あること」を融資審査の条件にしています。
借入れをして美容室を開業するためには、美容師としてのキャリアがもっとも重要だと言えます。
そのため、融資担当者は開業者のキャリアについて細かく聞いてきます。
開業者が美容室の経営について知っているのか、美容業で生計を立てられるのか。それを確かめるために融資担当者は質問します。
個人の実績
美容師としての実力を測るのに、実績ほどわかりやすいものはありません。
特に、現サロン(開業する直前に働いていたサロン)での固定客や月間の売上は答えられるようにしておきましょう。
このとき実績がわかるものを用意しておくと説得力が増します。会社が出している個人の売上管理表などがあると担当者は安心します。
また、コンテスト経験や得意な技術なども実績としてアピールしましょう。
その際も「コンテストは何人中何位だった」とか「毎月数店舗で技術指導を行っている」など具体的に話せるようにしておきましょう。
マネジメント経験
面談では、美容師としてだけではなく、経営者としての資質も見られます。店長経験などがあれば自然と話を振られます。
ここでのポイントは、「自分が美容室の経営やサロンワークにどう関わって、どんな結果を出してきたか」です。
店長になってから売上を○○%伸ばしたという数字だけでなく、自分が取り組んだことも含めて伝えられるようにしましょう。
また、マネジメント経験がない場合でも、教育や仕入れ、販促など、自分が主体的にサロンを動かしたという経験があれば十分プラスになります。
たとえば、ホットペッパーのクーポンを発案して、新規顧客を○○人呼び込んだなど、取り組みとその結果を話せるようにしておくことが重要です。
自分には特別何もない、という人は単に自分の仕事を棚卸しできていないだけです。第三者に話を聞いてもらったり、今までのキャリアを細かく書いてみたりして、自分の強みを見つけましょう。
出店エリアでの勤務年数
美容室は人につく商売とも言われています。まったく知らない土地で開業するよりも、自分の固定客が来店できる見込みのあるエリアで開業するほうがリスクは少なくなります。
それゆえ、出店エリアでの勤務年数もよく聞かれているようです。その際は、開業するエリアをよく知っていることをアピールできると良いでしょう。
たとえば、自分の固定客がどのエリアに多く住んでいるのか、ターゲット客がどこに買い物に行くのか、街がどう変わっていくのかなど、自分がそのエリアに詳しいことをアピールできるとプラスになります。
開業するエリアが違う場所の場合、なぜエリアを変えるのかを説明する必要があります。
勤務エリアから2~3駅離れて開業するという場合、現サロンへの配慮があったり、物件が見つからなかったり、いろんな理由があると思います。しっかり伝えられるようにしましょう。
Uターンや特別な事情などでエリアが大きく変わる場合には、その理由と共に戦略を聞かれることがあります。つまり、どうやって集客していくのか、です。
ゼロから新規客をとっていく計画ならば、根拠を示す必要があります。
新規客数やリピート率など、自分のこれまでの実績や出店エリアでのポータルサイトの平均集客数など、データとして示せるものがあると心強いです。
まとめ:キャリアについての質問は自己PRのチャンス
融資面談は自分のキャリアを披露する場です。職務経歴書には、働いたサロン名と期間だけを羅列するのではなく、自分の実績やこれまでの取り組みをしっかり書き込みましょう。
さらに、自分の主張を裏付けるために、実績を証明できるものを準備しておくのもよいでしょう。
雑誌に載ったらその雑誌を持っていく。SNSでフォロワーが多いならばスマホでそれを見せる。またはコンテストの賞状を用意するなど、美容師としての実力を存分にアピールしていきましょう。
事業経験のない人の融資判断をするとき、担当者は申込者の経験に頼るしかありません。したがって、自分の経験や実績を存分にアピールすべきです。
現サロンでの固定客が見込めれば大きなアドバンテージにはなりますが、エリアが変わっても、過去の実績や取り組みから、融資担当者の集客に関する不安を払しょくできます。
そのことを念頭に職務経歴書を書いていただければと思います。
●文/コンシェルジュ室:安斎
ビューティガレージ コンシェルジュ室
日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。
15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。
事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。