計画を練って時期を待つ!これから開業準備を始める人へのアドバイス

公開日:2020/04/09  更新日:2020/10/28
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美容室開業

コロナウイルス感染症の拡大によって、緊急事態宣言が出されました。

 

多くのサロンが休業や営業時間の短縮を余儀なくされています。幸いにも、美容業は国民の生活に必要な産業であるとして、自粛を求められることはありませんでした。※

 

しかしながら、美容室はどうしても密室で人と人の接触が発生する業種です。客足が遠のくサロンも増えています。

 

政府は緊急事態宣言の期間を5月6日までと定めていますが予断を許しません。

 

こうした状況の中で、これから開業をしようとしている人はどのように準備をすべきでしょうか。あるいは、いま開業に向けて動くのは無謀なのでしょうか。

 

今回は、コロナウイルス感染症の影響が続く中でのサロン開業について考えてみたいと思います。

 

※BeuTOPIA『【速報】 「美容室、小規模な理容室は休業要請の対象外」 NHKが西村経済再生担当大臣の談話報道

 

今すぐの開業はおすすめしない

開業の準備は物件が見つかる前と後で大きく変わります。物件が見つかると、物件申込→融資審査→融資決定→物件契約という流れで進みます。この段階になると、開業費用の支払いも発生します。

 

物件の申込をしたら、できるだけ早くオープンできるように進めなければなりません。色んな業者ともかかわるため「途中で降りる、延期する」ということが難しくなります。

 

コロナウイルス感染症の影響が広がっている今、様々な理由で物件申込後のプロセスに障害が出ています。

 

それゆえ、私たちコンシェルジュ室でも、この数ヶ月でのサロンオープンを避けるべきと、お客さまに伝えています。

 

融資プロセスが遅れている

前回の記事で述べたように、現状、どの金融機関もコロナウイルス感染症で影響を受けた事業者に対する融資審査に追われています。

 

したがって、創業融資の審査に人手が回らず融資決定が遅れています。通常1ヶ月程度で決まる融資が、2ヶ月かかる可能性があります。

 

そうなると物件契約が伸びる、あるいは自己資金で先に契約をしなければならなくなります。

 

融資が決まっていないのに、自己資金だけで開業準備を進めるのはリスクがあります。どこまで物件契約を待ってもらえるかはわかりません。不動産を通じて大家との調整が必要になるでしょう。

 

今後、不動産状況が大きく変わる

コロナウイルス感染症で影響を受けているのは美容業界だけではありません。

 

中でも飲食店はより厳しい経営を強いられています。倒産や閉店に追い込まれる事業者も今後増えてくるとの予測も出ています。

 

こうした状況で、不動産では次の動きが起こると予想できます。

 

  • 退店によって空きテナントが増える。
  • 空きテナントを増やさないように(あるいはすぐテナントを埋めるために)大家さんが入居条件を緩和する。

 

今積極的にお店を出そうとする人は少ないと言えます。需要が下がっているので、物件の賃料は下がる可能性もあります。

 

融資審査が遅れたことで、物件契約が伸びるとしても、大家さん側が「入居希望者を囲い込みたい」と考えて、2~3ヶ月の猶予期間を設けてくれるかもしれません。

 

こうしたことが起こるのはしばらく経ってからでしょう。こうした状況を見極めることも大事です。

 

消費が落ち込んでいる

緊急事態宣言を受けて、多くの人が外出を自粛することになります。多くの人は感染リスクの高い場所に行くことを避けるでしょう。

 

先述したように美容室は「密室で人と人との接触」が起こる場所です。

 

コロナウイルス感染症が落ち着かない限り、集客を見込むのは難しいといえます。

 

開業すれば、ただでさえ新規集客が必要となります。赤字が続くことを覚悟して経営しなければなりません。そうすると、より多くの運転資金が必要になります。

 

また、現行のコロナウイルス感染症対策では、開業者に対する特別融資制度はありません。コロナ融資は開業4ヶ月後の事業主が対象です。

 

運転資金を増やすには、創業融資で借りるしかありません。創業融資では、自己資金が審査基準の一つですので、多く借りるには自己資金も増やさなければなりません。

 

今は我慢。物件探しの前まで進めておく

物件が決まると、開業準備は一気に進みますが、その分トラブルも増えます。コロナウイルス感染症の拡大によって、ますます先が読めない状況です。

 

もうすでに物件の申込を行っている人は、準備を進めていかなければなりませんが、まだ物件探しを行っていない人は、少し開業時期をずらすことをお勧めします。

 

時期をずらすことをマイナスと捉える必要はありません。いくつかメリットもあると思います。

 

じっくり事業計画書を立てる時間ができる

開業者の多くは物件が決まってから、事業計画書を本格的に作り始めます。

 

そうするとどうしても、その物件ありきで計画が作られるため、本来の計画書の意味をなしません。計画書をもとにして出店エリアを決定するのが正攻法です。

 

時間に余裕ができる今だからこそ、じっくりと事業計画書作成に取り組んでみましょう。

 

自己資金を貯めることができる

外出自粛の中で、飲食店やショッピングに行くことを制限されています。そのお金を貯金に回し、少しでも自己資金の積み立てを増やしましょう。

 

出店の環境が整ってくる

美容業が国民生活事業として認められている通り、髪を切る、染めるといったニーズが減ることはありません。今は厳しい状況でもお客さまは必ず戻ってきます。

 

また、先ほど述べたようにテナントの空き状況や賃貸条件にも変化があらわれると思います。

 

妥協して条件の厳しいテナントで借りるよりも、選択肢が増えた状況になってから最適な物件を選ぶほうがよいでしょう。

 

コロナウイルス感染症によって社会が変わる

コロナウイルス感染症の影響によって社会や人間の行動が大きく変わります。

 

例えば、リモートワークによって働き方が大きく変わると思います。我々もそうですが、オンラインで業務を行うことが増えてきます。

 

「人と会う価値は何か」をあらためて考えさせられています。

 

また、製造業では機械メーカーがマスクの製造を始めました。会社が自分の分野を超えた範囲の仕事を行うようになってきています。

 

「餅は餅屋に」という発想ではなく、社会に求められることに「自分がどう貢献できるか」を考えなければいけません。

 

これからサロンを作る人はこうした社会と人間行動の変容を観察しつつ、これから求められる価値とは何かを考えるべきだと思います。

 

ビューティガレージでは開業無料相談をオンラインでも始めました。マンツーマンでの開業を支援する『開業プロデュース(有料)』も承っております。ぜひご活用いただければと思います。

 

厳しい状況が続く中で、これからの開業について一緒に考えていきたいと思っております。

 

※2020年10月現在、日本政策金融公庫も通常の業務に戻りつつあります。とはいえ新型コロナの感染状況によっては4月時の忙しさに戻るかもしれません。まだ予断は許しません。早めに動くことは大切です。

 

 

●文/コンシェルジュ室:安斎

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ビューティガレージ コンシェルジュ室

日本最大級のプロ向け美容商材のオンラインショップ&ショールームを運営する株式会社ビューティガレージで、サロンの開業・経営支援のコンサルタント業務を担当。

15年以上のサポート実績と、数多くの開業事例、データに基づいた分析で、年間600件以上の開業に携わっています。

事業計画書の作成からお店のオープンまで、サロンオーナーと二人三脚で開業準備を行う「開業プロデュース」が好評。成功サロンを多数輩出しています。

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